「株」と聞くと、「難しいもの」と身構えてしまう初心者の方は多いのではないでしょうか。しかし、株式投資は仕組みや用語を理解してしまえば、意外に簡単にスタートできるものです。

そこで本記事では、株の初心者の方が抱きがちな「10の疑問」にすべてお答えします。これから株式投資を始める方は、ぜひ参考にしてください。

株初心者からの10の疑問

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(画像=PIXTA)

株の初心者が抱きがちな10の疑問をピックアップしました。

1.そもそも株ってなに?
2.どうして株で利益が出るの?
3.景気が悪いのに、どうして株価が上がるの?
4.株の利益は確定申告する?
5.どの証券会社を選んだらいい?
6.口座を開いたらどうすればいい?
7.株価チャートはどう見ればいい?
8.どの銘柄を買えばいい?
9.株主優待&配当をもらうにはどうすればいい?
10.専門用語がわからない

それぞれ、わかりやすく解説します。

株の初心者よくある疑問1:そもそも株ってなに?

まずは、「そもそも株とはなにか?」を押さえましょう。

株とは「企業の利益の1部がもらえる権利」+「議決権」のこと

株は企業がお金を集める際に発行されます。もちろん、ただでは誰もお金を出しませんので、見返りとして以下のような権利が株主に与えられます。

【株主の主な3つの権利】
1.株主総会に出席して経営に参加する権利
2.配当金などで利益の一部を受け取る権利
3.企業の清算(倒産)時、借金などを支払った残りのお金を受け取る権利

【株価は、株主の権利の価値を反映したもの】
株価には、上記の「権利の価値」が反映されています。

たとえば「利益の一部を受け取る権利」の価値は、たくさん利益を出す企業ほど高く評価されます。また「倒産時に残りのお金を受け取る権利」の価値は、企業がたくさん資産を持っていると高く評価されます。

株主の権利の価値が高い企業ほど株価が高くなり、そうでない企業の株価は安くなる傾向があります。

若山卓也(ファイナンシャルプランナー)

株は証券会社で買える 

株を買うには証券会社の口座が必要です。ネット証券や対面証券会社で口座を開設しましょう。

株の初心者よくある疑問2:どうして株で利益が出るの?

なぜ株式投資で利益が出るのでしょうか。要点を確認しましょう。

利益のポイントは2つ「値上がり益と配当益」

株式の利益は以下の2つに分けられます。

【株式投資 2つの利益】
値上がり益:購入時の「株価」より高く売れた際の利益
配当益:企業が「配当」として利益の一部を株主に支払う際の利益

「株価」は常に変動しているため、購入時よりも高い株価で売却できるチャンスがあります。たとえば10万円で株を購入し、20万円で売却すれば10万円の利益となります。

「配当」は、企業から株主に支払われる利益の一部です。通常は企業の決算期に支払われますが、企業に利益がない場合など、支払われないケースもありえます。

株主優待がもらえる場合も

企業によっては、配当とは別に「株主優待」を出すケースもあります。自社製品や商品券などが投資家に配られます。

配当と同じく、出ない場合もあるので注意しましょう。

株の初心者よくある疑問3:景気が悪いのに、どうして株価が上がるの?

景気が悪いにもかかわらず、株価が上昇する場合があります。初心者が頭を悩ませるケースの代表ですね。ポイントは、「投資家の期待感」です。

「その価格で買う人がいる」から 期待感などが先行

景気が悪いのに株価が上がる理由は、「高い価格で買う人が一定数いる」からといえます。

株価をシンプルに考えると、「その価格で取引が行われた記録」と見ることができます。たとえば株価100円ということは、単に「100円で買う人がいた」という意味になります。

つまり極端にいえば、景気がどれほど悪くても100円で買う人がいる限り、株価は100円より下がりません。さらに105円で買う人がいれば、株価は105円に上昇します。

なぜ景気が悪いにもかかわらず、一定の価格以上で買う人がいるのでしょうか。さまざまな要因がありますが、1つは投資家の「期待感」です。

上述した「株主の権利」を思い出しましょう。株主は利益の一部を受け取る権利があります。景気が悪く、当期は利益がほとんどないケースもあるでしょう(もちろん赤字の場合も)。この場合、「利益の一部を受け取る権利」の魅力は乏しいといえます。

しかし、将来はどうでしょうか?将来業績が上昇するとすれば、「利益の一部を受け取る権利」の価値も上昇すると考えられます。

したがって、「今は状況が悪くても、将来業績が回復する」という期待感が広がってくると、「一定の価格以上で買ってもよい」と考える投資家が増え、株価は上昇する傾向があります。

逆に景気や決算がよくても下落する場合も 

逆にいえば、どれほど景気がよくても、一定の価格以上で買ってもよいという投資家が現れない限り株価は下落します。これには投資家の「失望感」や「一服感」が働いていると考えられます。

景気は株価に影響を与えますが、完全に連動するわけではないという点に注意しましょう。

【景気から考える場合、将来の視点を持ちましょう】
景気と株価は完全に連動しないものの、重要な関係を持っています。景気から株価を予測する場合、将来どうなるか?という視点で考えると理解しやすいかもしれません。

若山卓也(ファイナンシャルプランナー)

株の初心者よくある疑問4:株の利益は確定申告する?

株で利益を出した場合、確定申告は必要なのでしょうか?

「特定口座」なら申告不要 年内なら損益通算も自動

証券会社の口座には以下3つの種類があります。

〇一般口座:一定以上の利益の場合、申告が必要
〇特定口座(源泉徴収なし):一定以上の利益の場合、申告が必要
〇特定口座(源泉徴収あり):原則確定申告不要

「特定口座(源泉徴収あり)」で取引している場合、大きな利益を得ても、基本的に確定申告は不要です。

確定申告が必要になるケース

一方、「一般口座」や「特定口座(源泉徴収なし)」で取引している場合、一定以上の利益を得ると確定申告が必要になります。

確定申告が面倒だと思う方は、「特定口座(源泉徴収あり)」を選択しましょう。

株の初心者よくある疑問5:どの証券会社を選んだらいい?

株を取引する口座は、できるだけ手数料が低い証券会社で開設しましょう。

以下に株式手数料が0円の証券会社をまとめます。

SBI証券 1日100万円以下の取引の場合、株式手数料0円
(アクティブプラン)
楽天証券 1日100万円以下の取引の場合、株式手数料0円
(いちにち定額コース)
岡三オンライン証券 1日100万円以下の取引の場合、株式手数料0円
(定額プラン)
松井証券 1日50万円以下の取引の場合、株式手数料0円
LINE証券 買いの場合、いくらの取引でも株式手数料0円
(現物取引)

株式手数料が無料になるには、各種条件があります。事前にしっかり確認しましょう。

株の初心者よくある疑問6:口座を開いたらどうすればいい?

口座を開設したら、株を買う準備をしましょう。

入金 ネット証券は原則前金

証券会社の口座を開設したら入金しましょう。特にネット証券の場合、入金しないと取引できないケースが一般的です。

取引ツールのダウンロード スマホアプリも

証券会社はPCやスマホで利用できる取引ツールを提供している場合があります。ダウンロードし、準備しておきましょう。

株の初心者よくある疑問7:株価チャートはどう見ればいい?

取引ツールなどで表示される株価チャートはどのように見ればよいでしょうか。ここでは「ローソク足」と「移動平均線」について解説します。

ローソク足の見方と考え方

株価チャートでは、一般的に「ローソク足(あし)」が表示されます。ローソク足は、株価の以下4つの価格を表現しています。

【株価 4つの価格】
〇始値(はじめね):最初に付いた価格
〇高値(たかね):最も高い価格
〇安値(やすね):最も安い価格
〇終値(おわりね):最後に付いた価格

また、ローソク足は「陽線(ようせん)」と「陰線(いんせん)」に分かれ、それぞれの見方は以下のようになります。

移動平均線の見方と考え方

「移動平均線」は、一定期間の株価の平均を取り、折れ線グラフで表示したものです。一般的に、平均を取る期間が異なる2本の線が表示されます。

移動平均線は、株価の傾向を表しています。移動平均線が上を向いている場合、上昇傾向であることを意味し、逆に下を向いている場合、下落傾向にあるといえます。

ローソク足も移動平均線も初心者にとっては難しいかもしれませんが、株価チャートを見ながら少しずつ覚えていくといいでしょう。

株の初心者よくある疑問8:どの銘柄を買えばいい?

初心者だけでなく、多くの株式投資家を悩ませる問題が「どの銘柄を買うか」でしょう。

投資銘柄の選定にはさまざまな手法がありますが、最も基本的な方法を押さえましょう。

初心者は「東証1部」の大企業が無難 

まず、初心者は「東証1部」に上場している銘柄から選択するようにしましょう。

東証は上場に基準を設けており、東証1部が最も厳しい基準となっています。東証1部上場企業は、厳しい基準をクリアした優良な企業と考えられるため、初心者におすすめです。

ポイントは「業績」 現在だけでなく、過去と将来もチェック

ただし東証1部といっても、比較的小さな企業や業績がよくない企業もあります。必ず投資対象の「業績」を確認しましょう。その際、現在の業績だけでなく、過去からの推移もチェックしましょう。

その上で企業が公表する業績予想や業界の動向などから、将来の業績を予想します。成長が期待できる場合は買いの候補です。

株の初心者よくある疑問9:株主優待&配当をもらうにはどうすればいい?

株主優待や配当を受け取る方法を確認しましょう。

「権利付き最終日」までに買う 概ね2~3ヵ月後に受け取れる

株主優待や配当をもらう場合、「権利付き最終日」までに株を購入しましょう。株ごとに異なるので、事前のチェックが大切です。

権利付き最終日までに買えたら、2~3ヵ月後に株主優待や配当が届きます。

出ない可能性にも注意

株主優待や配当は、企業業績などによっては出ない可能性もあります。必ずもらえるわけではない点に留意しましょう。

【株の取引は平日の日中 権利付き最終日の15時までに購入】
株式の取引は以下の時間帯で行われます。土日祝日は取引していません。

平日9:00~11:30、12:30~15:00

株主優待や配当がほしい場合、権利付き最終日の15時までに購入するようにしましょう。

若山卓也(ファイナンシャルプランナー)

株の初心者よくある疑問10:用語の意味がわからない

株の情報を集めていると、よく意味がわからない用語に出くわすことがあります。よく出てくる言葉の意味をいくつかまとめてご紹介します。

バリュー投資/グロース投資

バリュー投資
株価の割安性を重視して投資する手法

グロース投資
今後の成長性を重視して投資する手法

大型株/小型株

大型株
時価総額が大きく、取引が頻繁に行われている株

小型株
時価総額が小さく、取引が少ない株
(中間を中型株と呼ぶ)

※時価総額=株価×発行済み株数

値がさ株/低位株

値がさ株
株価が大きい株

低位株
株価が小さい株
(中間を中位株と呼ぶ)

【大企業は大型株 値がさ株と混同しないように】
よくある間違いですが、株価が大きい=大企業というわけではありません。株価が大きい株は、単に「値がさ株」といいます。

大企業に投資したい場合、「大型株」を選択しましょう。

若山卓也(ファイナンシャルプランナー)

「これはNG」 株の初心者におすすめできない投資法

初心者の方は、以下のような投資方法は避けた方が無難です。

大金を集中投資

最初は1つの銘柄に大きなお金を集中して投資しないようにしましょう。リスクが高くなってしまいます。

いくつかの銘柄に分散投資し、リスクを下げましょう。

塩漬け

買った株が下がってしまい、売らずに長期保有し続けることを「塩漬け」といいます。塩漬けは資金が長期間拘束されてしまうため、避けたいもの。

別の期待できる株に資金を向けるためにも、損の状態でも売ってしまう「損切り」を選択肢に持ちましょう。

【買った後も「今この株を買いたいか」と考える】
損切りの判断は本当に難しいものです。「今この株を買いたいか」と冷静に考え、値上がりが期待できるなら保有し続け、そうでないなら損切りしましょう。

若山卓也(ファイナンシャルプランナー)

初心者でも基本を押さえれば大丈夫

ここまで、株の初心者によくある疑問をまとめて解説しました。誰でも最初は初心者です。基本をしっかりと押さえ、株式投資家としての一歩を踏み出しましょう。

文・若山卓也(ファイナンシャルプランナー)
証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業、保険募集代理業、金融系ライターとして活動しています。関心のあるジャンルは資産運用や保険、またお得なポイントサービスなど。お金にまつわることなら幅広くカバーし、発信しています。AFP、プライベートバンキング・コーディネーター資格保有。

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