新型コロナウイルスへの対応が長期化する中、さまざま事情から退職を検討する看護師が増えています。勤務先を退職して1日でも離職期間がある場合は、必ず健康保険の手続きを行わなければなりません。今回は、退職する看護師が知っておきたい健康保険の手続きについてまとめました。

コロナで退職を選ぶ看護師が増えている

退職,健康保険
(画像=shanti-photo/stock.adobe.com)

第三波が本格的に到来し、コロナの影響が長期化する現在、やむを得ず退職を選ぶ看護師も増えてきています。退職理由は「仕事の負担があまりにも重すぎる」「本来の専門分野の患者を診られないのがストレス」「子育て中で、家族への感染が怖い」などさまざまです。

勤めていた病院を退職すると、在職中に加入していた健康保険の被保険者資格を失います。すぐに転職する場合、勤め先が手続きをしてくれるため、自分で手続きする必要はありません。しかし、転職までに1日でも離職期間がある場合は、次に紹介する3つの選択肢のうちのどれかを選ぶ必要があります。

退職後、すぐに再就職しない場合の3つの方法

勤め先を退職したあと、すぐに再就職しない場合、「扶養」「任意継続被保険者制度」「国民健康保険」という3つの選択肢があります。それぞれの選択肢の意味や必要な手続きをみていきましょう。

家族の扶養に入る

両親や配偶者など、家族が勤め先の健康保険に加入している場合、条件を満たせば家族(被保険者)の扶養に入れる可能性があります。扶養に入るための条件は、家族が加入している健康保険によって変わります。

たとえば協会けんぽ(全国健康保険協会)の場合、「被保険者の3親等以内の親族」「年収が130万円未満」といった条件があります。

退職後すぐに働く予定がないなら、扶養に入ることを検討しましょう。手続きは健康保険組合によって異なりますが、家族が加入する健康保険組合に扶養に関する届出を提出することが一般的です。

まずは家族に頼み、扶養に入る条件や必要な手続きを職場に確認してもらってください。

任意継続被保険者制度を利用する

一定の収入があると、家族の扶養に入ることはできません。アルバイトや副業で一定の収入の見込みがあるなら、任意継続被保険者制度か、国民健康保険に加入することになります。どちらを選ぶこともできるので、それぞれの保険料を比較し、有利な方を選択しましょう。

任意継続被保険者制度とは、在職中に加入していた健康保険に、退職後も加入し続ける方法です。任意継続を利用できるのは、退職後2年間です。また、任意継続をするには、前職での2ヵ月以上の被保険者期間が必要です。

退職日の翌日から20日以内に手続きしないと、任意継続はできません。在職中に加入していた健康保険組合に手続き方法を確認し、早めに手続きをしましょう。

任意継続の保険料は、退職前より値上がりするため、注意が必要です。在職中は、勤め先が保険料の半額を負担してくれますが、任意継続の場合、全額が自己負担になるからです。その点も踏まえて、国民健康保険とどちらが有利かを検討しましょう。

国民健康保険に加入する

国民健康保険は、市町村が運営する公的な健康保険制度です。自営業者や無職者など、勤め先の健康保険や共済組合に加入していない人は、国民健康保険に加入する必要があります。

国民健康保険への加入手続きは市役所で行います。職場から送付された健康保険の資格喪失証明書を持参し、窓口で手続きしましょう。期限は、退職日の翌日から14日以内です。

保険料については、市役所のホームページで簡単なシミュレーションシートが公開されていることがあります。また、正確に知りたい場合、市役所に確認すれば教えてくれます。

もし他の制度を利用せず、国民健康保険にも加入しなかった場合、医療機関を受診した際の医療費が全額自己負担になります。また、遅れて国民健康保険に加入したとしても、保険料は本来加入すべき月の分までさかのぼって請求されます。

扶養に入らず、任意継続も利用しない場合、退職後2週間以内に忘れず手続きを終わらせましょう。

健康保険をどうするか考えてから退職しよう

看護師を辞めた後、再就職までに期間が空く場合は、必ず健康保険に加入する必要があります。選択肢は「家族の扶養に入る」「任意継続被保険者制度」「国民健康保険」の3つです。

どの方法を選ぶ場合も、手続きには期限があります。退職後に速やかに手続きができるよう、退職前から健康保険をどうするか考えておくとスムーズです。(提供:Medi Life

【おすすめ記事 Medi Life】
将来の備えはどうする?自分でつくる私的年金3種類を紹介
忙しい医師・看護師に不動産投資がおすすめの3つの理由
老後資金はいくら必要?30代40代の看護師も考えるべき資産運用
看護師だから大切にしたいワーク・ライフ・バランス
あなたのキャリアはどうなる?看護師が持つ豊富な選択肢