資産を構築する手段として給与所得からの貯蓄と併せて、もう1つ「投資」があります。投資には、株式投資や投資信託、FXといった方法があります。

30代以上の会社員であれば、数ある投資方法の中で「不動産投資」は効率的な資産形成に有効な選択肢といえます。理由は、不動産投資をするのに“有利な立場”だからです。なぜ有利といえるのか、本稿で解説していきます。

不動産投資は金融機関からの融資を前提とする

会社員,不動産投資
(画像=gajus/stock.adobe.com)

不動産投資では投資額が数千万円や数億円規模になることが多く、物件を購入する際には金融機関からの融資を前提とする場合が少なくありません。融資を受ける際には審査があり、審査に通過しなければ融資を受けられないため物件を購入できなくなる場合もあります。

まずは融資審査がどのようなものかを理解した上で、金融機関への融資打診を行うのが得策といえるでしょう。

金融機関の融資審査項目6つ

融資の打診をして審査に落ちてしまうと審査NGの履歴が金融機関に残ってしまい、再度融資打診をする際に不利な心象を抱かれてしまう可能性があります。審査NGの履歴は半年から数年に渡って金融機関に残り、2回目以降の融資打診時に考慮されることもあるでしょう。事前に打診先の金融機関の審査項目や通過基準を把握し、通過する可能性を高める、有益な融資打診を行いましょう。

一般的に金融機関が融資項目としているのは以下の6つです。全項目を総合的に勘案して融資の可否がされる場合が多いため、融資打診をする際は全項目を俯瞰的に考慮するのが得策といえるでしょう。

1.職業および勤務先
2.勤続年数および役職の有無
3.年収および金融資産の状況
4.完済時の年齢
5.既存の借入残高
6.投資物件の収益性

1.職業および勤務先

融資の審査で一般的に有利といわれているのは、正規の会社員と公務員です。審査では「安定収入の有無」を重要視しているからです。会社員の中でも上場企業およびそのグループ企業に勤めている層は特に、金融機関から好印象を持たれやすい傾向です。

個人事業主や非上場企業の会社員であっても、収入の安定性や勤務先の資本金、設立年数といった要素によって有利な条件で融資を受けられる可能性はあります。

2.勤続年数および役職の有無

在籍している職場での勤続年数が長く、高い役職に就いている場合、金融機関からの印象が良くなる傾向があります。金融機関は安定的な給与収入を重んじる場合が多く、勤続年数が長い役職者は給与収入が途絶える可能性も低いという理由から好印象を抱かれやすいのです。

3.年収および金融資産の状況

「年収が高い」「金融資産が多い」ということは、高い返済能力があると判断されます。金融機関からすると、期日通りの返済を担保しやすくなるという理由から融資審査において有利になる可能性が高くなります。

返済能力の高さという基準からすると、年収が高くなくても担保となり得る、現金化可能な金融資産が多ければ、融資審査に通過する可能性はあるということです。

4.完済時の年齢

年齢という項目で考慮されるのは、一般的に完済時の年齢です。融資を完済する前に定年退職によって給与収入がなくなると、返済能力に影響が出る可能性が高いためです。不動産投資でも住宅と同様に35年ローンが組めるため、融資開始時の年齢と完済時の年齢から融資期間の妥当性を判断する必要があるといえます。

5.既存の借入残高

マイホームや自家用車のローン残高がある場合、クレジットカードで長期のリボ払いやカードローンを組んでいる場合などにおいては、不動産投資の融資審査時に支払残高や残存支払期間等考慮される可能性があります。具体的には、年収や金融資産の状況等から見積もられる融資可能額の大まかな上限があり、既存の借入残高が融資可能額の上限から差し引かれる場合があります。

ローンが残っている場合は、投資用物件の購入価格を抑えたり頭金を多く入れたりして、不動産投資用の融資額を抑える必要があるかもしれません。

6.投資物件の収益性

不動産投資におけるローン返済能力を高める方法として、投資家個人の年収や金融資産額を増やす方法と併せて、「投資物件の収益性を高める」という方法が副次的に機能する場合もあります。

投資物件の収益性とは、当該物件の担保価値や利回り、キャッシュフローを指します。収益性は当該物件の立地や賃貸需要も加味したうえで、いかに安定して収益を生み続けられるか、売却した時にどのくらいの価値があるかという観点から判断されるのが一般的です。

金融機関は、収益性の高い物件を評価する傾向にあります。ただし、金融機関は投資家に対して融資をするというスタンスのため、投資物件の収益性よりも投資家自身の返済能力に主眼が置かれる傾向があることには留意しましょう。

30代以上の会社員が不動産投資に有利な3つの理由

金融機関が一般的にどのような観点および基準で融資審査を行っているかという前提を踏まえて、30代以上の会社員が不動産投資に有利といえる理由は具体的にどのような点なのでしょうか。

30代以上の会社員にある社会的信用や定年退職までの期間といった要素を勘案したうえで、不動産投資に有利といえる理由は以下の3つです。

1.返済期間が長期の融資を狙える
2.投資に回せる余剰金を作りやすい
3.勤続年数が長い場合が多い

1.返済期間が長期の融資を狙える

融資審査の際にはローン完済時の年齢が判基準の一つとされるため、長期の返済計画を組むためには早いタイミングで返済を開始するほうが有利である場合が多くなります。現在は定年退職の年齢が上がっていることから、40代以上でも25年以上の長期ローンを組める可能性が十分にあります。

勤続年数や年収といった社会的信用性と融資を組める期間のバランスが取れているのが30代以上の会社員といえるでしょう。

2.投資に回せる余剰金を作りやすい

会社員であれば30代以上は給与水準が上がっている傾向があるため、可処分所得を増やしやすくなるといえます。定期預金や財形貯蓄制度を活用している場合は預貯金が十分に貯まっており、投資に回せる余剰金を作れている層も多いでしょう。

特に30代前半であれば、独身または既婚者であっても子供がいない層も少なくないでしょう。既婚者の中でもDINKs(Double Income No Kids:共働きで子供のいない夫婦)に分類される層はさらに可処分所得を増せる可能性が高くなります。

投資においては手元の自己資本が多いほうが有利であるのは事実であるため、修繕費等の突発的な出費や頭金として使える余剰金を多く作りやすい30代以上の会社員には投資上の優位性があるといえます。

3.勤続年数が長い場合が多い

20代前半で就職し、同じ職場に勤め続けていると仮定すると、30代以上の会社員は少なくとも10年近い勤続年数があることになります。10年前後以上の勤続年数があれば、不動産投資の融資審査では十分な信用性を得られやすくなります。

転職経験がある場合は、融資打診の時点で在籍している職場での勤続年数を見られることが多くなります。

優位性を活かせる分野でハイパフォーマンスな投資を

30代以上の会社員は投資に回せる余剰金を作りやすく、金融機関からの評価を高めやすいという観点から、不動産投資をするうえで有利な立場になる傾向があります。

有利な立場を活かして有利な条件で融資を受けることでパフォーマンスを最大限に高め、資産形成の加速を狙えるという点は不動産投資による資産形成の意義といえるでしょう。(提供:Incomepress


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