日本でコロナ禍が発生してから、1年が経過しようとしています。リモートワークの普及などを背景に「コロナ禍はITやソフトウェア関連企業にとって追い風」との声も聞かれますが、新規プロジェクトがストップするなど、少なからずコロナの悪影響を受けているソフトウェア関連企業もあります。そんな中、コロナの悪影響を被りつつも「フルオンライン選考」で前年を上回る内定率を記録するなど、コロナ禍を逆に利用する形で前進している企業があります。ソフトウェアのテストを手掛けるバルテスです。今回は、金融アナリストの三井智映子さんが、ビジネスの内容や業績、将来の展望などについてバルテスの代表取締役社長を務める田中真史さんにインタビューを行いました(※インタビューでは、撮影時以外のマスク装着やソーシャルディスタンスの確保など新型コロナウイルスの感染防止に対する配慮を行っています)。
識者プロフィール
1962年、大阪府生まれ。高校卒業後、中小ソフトハウスに就職して4年間システムエンジニア・プログラマ―として従事する。退職後、フリーエンジニアとして活動。1990年にソフト開発会社を設立し、代表取締役に就任。約15年間の経営の末、後進に事業を譲渡。ソフトウェアテストのプロ集団の必要性を実感し、2004年にバルテスを設立、代表取締役社長に就任した。2019年5月、令和第一号となる東証マザー上場を達成し、順調に事業を拡大させている。
北海道小樽市出身。NHK教育「イタリア語会話」でデビュー。2011年東京にはモーターショーにてMCデビューを果たす。2014年1月に「五木ひろし特別公演」で八重次役を務めたほか、数々の番組に出演。2012年10月からフィスコリサーチレポーターとしてYahoo!ファイナンスで株価予想などを行うほか、テレビ、雑誌、Webなど活動の場を広げた。2013年に『最強アナリスト軍団に学ぶ ゼロからはじめる株式投資入門 』(講談社)を出版。2020年に独立し、解説投資の記事執筆やセミナー講師、動画配信( https://www.youtube.com/c/EventsIR/videos )などに従事。わかりやすい初心者向けの投資解説が武器。ツイッター@chiekomitsui、ブログ https://ameblo.jp/mitsui-chieko/
創業以来大きな不具合の発生なし!
三井 本日はよろしくお願いします。ソフトウェア関連のビジネスは、一般的にわかりづらかったり見えづらかったりしますので、まずは御社の売上高の約9割を占めるソフトウェアテストサービス事業について詳しく教えて頂けますか?
田中 ソフトウェアの開発工程は、大きく要件定義・設計、プログラミング、テストの3つに分けられますが、テストで全工程のだいたい30数パーセントを占めます。
三井 テストと聞くと最後の動作確認のようなイメージがありましたが、全体の3割を占める作業なのですね。
田中 ソフトウェア自体の品質に関わる重要な工程です。現在はテレビや冷蔵庫、炊飯器などの家電にも組み込み型のソフトウェアが入っていますし、スマートフォンのアプリ、通販サイト、数えたらキリがありませんが、ありとあらゆるものにソフトウェアが使われています。そうした全てのソフトのテストを手掛けるのが私たちです。
最近では、政府や自治体が関わるマイナンバー関連やGoToトラベル・イート、助成金申請システムなどで不具合が発生して問題になっていましたよね。きちんとソフトウェアのテストをしていれば、そのような不具合は発生しません。私たちがテストを手掛けていれば、起こらなかった問題だと思います。
三井 これまで、御社がテストを手掛けてきたソフトウェアに大きな不具合が発生したことはなかったのでしょうか?
田中 2004年4月に大阪で創業して以来、これまで17年近くにわたってテスト事業をやってきましたが、私たちが関わった範囲では大きな不具合は出ていません。
三井 それは素晴らしいですね。
「プロ集団」であるメリット
三井 どうしてテスト専門の会社を作ろうと思われたのですか?
田中 私は以前、大阪のソフトウェア開発会社に勤めていたのですが、ソフトウェア開発の分野では、常に品質に関する問題を抱えていました。当時は課題の解決に向けて色々と取り組みましたが、ひとつ難問がありまして・・・。テストの作業があまり好きではない開発部門のエンジニアが多かったんですよ(笑)