築年数は、投資用マンションを購入する際に確認しておきたい情報の一つです。中古マンションは、築年数に応じて資産価値が変化していきます。そのため投資を始める前に築年数と資産価値の関係を理解することが大切です。今回は、築年数ごとの中古マンションの特徴や売買タイミングを見極める考え方などを紹介します。
マンションの築年数について
築年数とは、建物が完成した後の経過年数を表す数字のことです。中古マンションの築年数は、物件を購入する際の判断材料となります。新築とは、築年数が1年未満でまだ誰も居住したことがない物件のことです。築年数が比較的新しい物件のことを「築浅(ちくあさ)物件」、古い物件のことを「築古(ちくふる)物件」といいます。
厳密に決まっているわけではありませんが一般的にマンション投資では、築年数10年以内の物件を築浅と呼ぶことが多い傾向です。鉄筋コンクリート造のマンションの法定耐用年数は47年のため、適切な管理・メンテナンスが行われているマンションであれば長期にわたって使用できるでしょう。
マンションの築年数と資産価値の関係
投資用マンションの資産価値は、地価や立地、賃貸需要、物件の間取り、設備、周辺環境などさまざまな要素を総合的に判断したうえで算出されるものです。中でも築年数は、マンションの資産価値に大きな影響を与えます。築年数は、分かりやすい指標の一つで築年数が新しいマンションほど人気があるため、資産価値も高くなりやすい傾向です。
国土交通省の「中古住宅流通、リフォーム市場の現状」によればマンションの資産価値は新築から中古になった直後に10%程度下落します。その後は資産価値の減少ペースは緩やかになり築10年で新築の70~80%程度、築20年で新築の50~60%程度の価値です。築年数だけで資産価値が決まるわけではありませんがマンションの資産価値の傾向を大まかに把握する場合、築年数は一つの目安になるでしょう。
首都圏の築年数別中古マンション成約状況
築年数によって中古マンションの実際の取引価格はどの程度変わってくるのでしょうか。東京都区部における中古マンションの成約状況(2020年7~9月)をまとめました。
築年数 | 1平方メートルあたりの単価 | 資産価値の変化率 |
---|---|---|
~築5年 | 113万1,000円 | 100% |
~築10年 | 98万5,000円 | 87.1% |
~築15年 | 88万6,000円 | 78.3% |
~築20年 | 79万6,000円 | 70.4% |
~築25年 | 73万1,000円 | 64.6% |
~築30年 | 60万6,000円 | 53.6% |
築30年~ | 57万2,000円 | 50.6% |
資産価値の変化率は「~築5年」を基準(100%)とした場合における1平方メートルあたりの割合を表しています。「~築10年」で87.1%、「~築20年」で70.4%となっており資産価値の減少ペースは先程確認した国土交通省のデータとおおむね一致しています。また築30年超のマンションは、新築の約50%の単価で取引されている傾向です。
築年数ごとの中古マンションの特徴
築年数ごとの中古マンションの特徴は、以下の通りです。
築10年以内
築10年以内の中古マンションは、新築の80%程度が評価額の目安です。築浅物件は、入居希望者からの人気が高いことから空室リスクは低い傾向にあります。価格が高いため、利回りは低くなりますが長期の家賃収入が目的であれば長期保有しやすいでしょう。一方で築年数が経過していない物件は、修繕やメンテナンスの必要性が低いため、「建物管理に問題がないか」を確認するのが難しい可能性があります。
築11~20年
築11~20年の中古マンションは、新築の60~70%程度が評価額の目安です。築年数の経過によって評価額は下がりますが賃貸需要のあるエリアの物件であれば高い利回りが期待できるでしょう。マンション投資で利回りを重視するなら魅力的な物件が見つかるかもしれません。また築10年以内の物件に比べると資産価値の減少ペースも緩やかになってきます。
ただし大規模修繕が行われる時期のため、購入時には大規模修繕やメンテンナンスが問題なく行われているかを確認することが大切です。
築21~30年
築21~30年の中古マンションは、新築の50~60%程度が評価額の目安です。築年数が経過しているため、建物管理の状況によって資産価値は大きく変わります。大規模修繕や定期的なメンテナンスが実施されていれば収益物件としてまだ十分に稼働できるでしょう。物件価格が下がったことで利回りが向上するため、エリアや建物の状態によっては魅力的な物件が見つかるかもしれません。
ただし建物管理に問題がある場合は、修繕積立金が値上げされるといったリスクもあります。
築30年以上
築30年以上の中古マンションは、評価額が新築の40~50%程度まで下がります。法定耐用年数は47年のため、適切に管理されている物件であれば収益物件としてまだ稼働できるでしょう。家賃の相場も下がってきますが、家賃の安さを重視する入居希望者もいるため、賃貸需要が高いエリアであれば賃貸経営は十分に成り立つと考えられます。
ただし築年数が経過するほど買い手を見つけるのが難しくなるため、投資判断は慎重に行いましょう。また「1981年6月1日以降の新耐震基準で建てられた物件かどうか」で資産価値が変わる点にも注意が必要です。
投資用マンションを買うなら築年数は何年ぐらいまで?
マンション投資を始める場合、築年数が何年ぐらいまでなら購入しても大丈夫なのでしょうか。一般的には、築浅物件がよいといわれますが築浅と築古にはそれぞれメリット・デメリットがあります。
・築浅物件
設備が充実しており、売却しやすいのがメリットです。しかし物件価格は比較的高く利回りは低い傾向にあります。また築浅物件はメンテナンスの必要性が低いため、建物管理の状況を把握しにくい点がデメリットです。
・築古物件
建物や設備が古いものの物件価格は比較的安くて利回りも高めです。大規模修繕やメンテナンスが行われていれば建物を良好な状態に維持できるため、建物管理の状況を見極めやすいメリットもあります。
マンション投資では、築年数が浅ければよいわけではなく「建物管理が適切に行われているか」を見極めて物件を選ぶことが大切です。ただし1981年6月1日よりも前に建築された旧耐震基準の物件を選んでしまうと大地震が発生したときに大きな被害を受ける可能性があります。築古物件に投資する場合は、1981年6月1日以降の新耐震基準で建てられた物件を選びましょう。
マンション投資では築年数で売却時期を見極める
マンション投資では、家賃収入と売却損益の合計で利益が出るようにすることが基本です。毎月家賃収入を得られても売却時に大きな損失が出ればトータルでは収支がマイナスになってしまいます。そのため築年数の経過による資産価値の減少などを総合的に判断しながら適切な売却時期を見極めなくてはなりません。
ただし中古マンションの評価額は築年数以外の要素も含めて決まるため、エリアによって資産価値の減少ペースは異なります。保有しているマンションの資産価値を定期的に確認し状況に応じて売却を検討しましょう。購入後5年以内の売却は「短期譲渡所得」に該当し5年超保有してから売却する「長期譲渡所得」よりも税金が高くなるため、注意が必要です。
まとめ
中古マンションは、一般的には築年数が経過するほど資産価値は減少していきます。マンション投資では家賃収入だけでなく売却損益も含めてトータルで利益が出るようにすることが大切です。築年数の経過による資産価値の減少を考慮しながら適切な売却時期を検討しましょう。(提供:YANUSY)
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