どうしても急にお金が必要になってしまった!そんなピンチの解決策となるのが「お金を借りる」という方法です。しかし、多くの金融機関ではお金を借りるサービスを利用できるのは「20歳以上」という制限があります。
では未成年の場合はどうすればいいのでしょうか。未成年がお金を借りる方法について解説します。
未成年が銀行や消費者金融から融資を受けることは難しい
銀行や消費者金融などの金融機関では、個人向けにお金を貸し出すサービスを提供しています。しかし、申し込みできる人の条件を確認すると「20歳以上」となっている場合がほとんどです。
法律上、20歳未満はまだ大人ではないという扱いなので、未成年が単独で重要な契約をすることは基本的にできません。
また、お金を借りるときの条件には年齢以外にも「安定した収入がある方」という決まりがあるのが一般的です。未成年ではこの条件を満たせない方も多く、満たせても収入が少ない場合が大半です。
お金を貸す側の金融機関からすると「未成年は返済に充てられるお金があまりないうえに、トラブルに繋がる可能性も高い」と感じてしまうため、20歳未満だと申し込みすらできないところが多いのです。
ちなみに、この記事の公開日時点では「成人=20歳」ですが、法律が改正され、2022年4月からは「成人=18歳」となる予定です。成人とみなされる年齢が変われば、金融機関が定めている申込条件の年齢ルールも変わる可能性があります。 馬場愛梨(ばばえりFP事務所 代表)
18歳からお金を借りられる5つの方法+α
未成年は基本的に金融機関でお金を借りるのは難しいでしょう。しかし、「18歳以上」であれば利用できる方法も、少ないですが存在します。それが、以下の5つです。
・奨学金
・ゆうちょ銀行の自動貸し付け
・ろうきんカードローン
・学生ローン
・クレジットカードのキャッシング枠
いくつか選択肢がありますが、できる限り金利が低いものを選びましょう。
金融機関でお金を借りたとき、借りた金額(元本)だけでなく「利息」も上乗せして返済する必要があります。金利が低いものほど利息が少なくて済むため、返済の負担が軽くなります。
では、どのような借り方があるのか1つずつ見ていきましょう。
奨学金……金利:年0%~0.2%程度
大学院、大学、短大、高専、専修学校などの学生の方は「奨学金」を利用できる可能性があります。
これは親ではなく学生自身が、学生生活を無事に送れるようにするために借りるものです。
親の収入や学校での成績など一定の条件を満たせば「給付型奨学金」といって、返済の必要がない奨学金を利用できる場合もあります。
今は新型コロナウイルスの影響を受けた方への特別な支援も行われています。親が失業するなど家計が急変した場合や、学生自身のアルバイト収入が減って生活が苦しい場合、ほかの災害の影響を受けた場合などは、「応急採用奨学金」を借りられたり「学生支援緊急給付金」を受け取れたりする可能性があります。
日本学生支援機構のホームページをチェックするか、学校に問い合わせて確認してみましょう。
ゆうちょ銀行の貯金担保自動貸付……金利:年0.25%~0.5%程度
ゆうちょ銀行で自分名義の「担保定期貯金」や「担保定額貯金」がある方は、申込手続きや利用可能かどうかの審査なしですぐにお金を借りられます。
「担保定期貯金」や「担保定額貯金」があるかどうかは、郵便局の窓口で確認してもらうとすぐにわかります。
借りられるのは、「担保定期貯金」や「担保定額貯金」の金額の90%以内まで、上限は300万円です。ちなみに定期貯金や定額貯金は、たとえ満期前でも解約してお金を引き出すことができます。
ろうきんカードローン「マイプラン」……金利:年4%~9%程度
カードローンは住宅ローンやマイカーローンと違い、目的を限定せずに利用できるローンです。利用限度額の範囲内であれば、毎回申し込みをしなくても何度も借りたり返したりを繰り返すことができる仕組みになっています。高校を卒業し働いている方には、中でも「ろうきんカードローン」が選択肢のひとつです。
ろうきんとは、「労働金庫」のことです。ろうきんのカードローンは、親の同意が必要であり、年収150万円以上などの制限はあるものの、18歳以上なら利用できる可能性があります。
なお医療費、介護代、災害復興などに使う方向けに「福祉ローン」という通常より金利が低いローンもあります。
地域ごとに「中央労働金庫」「近畿労働金庫(近畿ろうきん)」などにわかれていて、自分が住んでいるか勤務地があるエリアのろうきんを利用することになります。
同じ「ろうきん」でも、どこで申し込むかによって申し込みできる人の条件や金利が違いますので、近くのろうきんを検索してみましょう。
学生ローン……金利:年12%~18%程度
学生ローンは、その名のとおり学生専用のローン商品です。学生でも「20歳以上」と制限がある場合も多いですが、なかには高校卒業以上なら申し込めるようにしているところもあります。
ただ、デメリットは金利の高さです。もし年18%で10万円を借りて、毎月5,000円ずつ返していく場合、全額返し終わるまでに2年かかり、元本(借りた金額)に上乗せして支払う利息は2万円近くになります。
クレジットカードのキャッシング枠……金利:年15%~18%程度
クレジットカードの多くは、親の同意が必要ですが「高校生を除く18歳以上の方」であれば申し込むことができるようになっています。クレジットカードには普段のお買い物で使われる「ショッピング枠」とは別に「キャッシング枠」を付けられるものがあります。
このキャッシング枠では、あらかじめ与えられた利用限度額の範囲内でお金を借りることができます。利用できるかどうか、いくら利用できるかはカード会社の審査次第です。
未成年がキャッシングの審査に通過するのは難しく、通過できても上限が5万円など少額に設定されることがほとんどです。親の同意も必要で金利も高いため、あまりおすすめしません。
親から借りる……金利:-
ここまでおもに金融機関で借りる方法についてご紹介しましたが、お金のピンチに陥ったときは、「親など親族から借りる」ということも考えましょう。
特に自分の不手際でお金に困っている場合や遠方で1人暮らしをしている場合など、「親には知られたくない」と思うかもしれません。ただ、「我が子が困っているならどんなことでも相談してほしい」と思っている親は多いものです。
勇気を出して親に相談した結果、「親がすぐに立て替えて支払ってくれた」「利息も返済期限もなくお金を貸してくれた」などその場をうまくしのげたという方もいます。相当険悪な仲などでなければ、親や祖父母など親族を頼るのも1つの方法です。
ちなみに、友人や知人に借りると、万が一返せなくなったときにトラブルに発展したり人間関係が終わってしまったりする確率が高いです。できる限り避けましょう。
20歳未満でも「成人」とみなされるケースも
20歳未満であっても、結婚している方は「成人」としてみなされます。金融機関等によっては、通常は「10代NG」でも、結婚している場合は例外的にローンの申込などができるようにしているケースもあります。
選択肢の幅が広がりますので、よく調べてみましょう。
融資以外でお金を用意するには
お金を借りられるにしても、未成年のうちはなるべく借りる金額が少なくて済むようにしておきたいものです。
お金の調達方法は「借りる」だけではありません。ほかの方法についても知っておき、実際にお金を借りる前に取り組めることがないか検討してみましょう。
アルバイトなど労働で対価を得る
まず思い付くのが、「働いてお金を得る」ということではないでしょうか。未成年でも高校生でもアルバイトとして雇ってくれるところはあります。
時間と体力さえあれば、複数のアルバイトを掛け持ちすることもできます。急ぎでお金が必要な場合も、「日払い」の仕事を選べば働いた日のうちにお金が受け取れることもあります。
お金を借りるときの条件として「安定収入がある方」と明示している金融機関も多いですが、それはアルバイトであってもクリアできます。収入があればお金を借りるときにも有利になるため、まずはできる限り働きましょう。
不用品を売る
身の回りの物を売ってお金を作るのも1つの方法です。
漫画、ゲーム、服、家電など自分の周りで売ってもいい品物がないか探してみましょう。最近は便利なフリマアプリもあります。もし近所に買い取ってくれるお店がなかったとしても、買ってくれる人を見つけられるかもしれません。
ちなみに、フリマアプリ大手のメルカリでは、未成年が利用する場合は保護者の同意が必要というルール(規約)がありますので気を付けましょう。
本やCDなどさまざまな品物を買い取ってくれるBOOKOFF(ブックオフ)では、基本的に18歳未満は保護者同伴が必要であり、18歳以上は自分で売れることになっています。
未成年がお金を借りるときの注意点
もしどうしてもお金を借りるしかない状況になっているのであれば、以下の3点に気を付けて利用しましょう。
借りすぎない
「借りられる金額」と「返せる金額」は違います。自分が返せる金額をオーバーして借りると、途中で返済できなくなる可能性が出てきます。お金を返すために、また別のところから借りるなど、どんどん負のループにはまってしまって余計に大変なことになってしまうかもしれません。
お金を借りる前に、毎月いくらずついつまで返し続ける必要があるのか、利息(元本に上乗せして支払う分)はいくらなのか、必ず確認しておきましょう。
金融機関のホームページなどにある「返済シミュレーション」を使えば、かんたんに計算できます。借りる金額は、無理なく返し終われる範囲内にとどめておくことが大切です。
闇金融は絶対に使わない
違法な業者やSNSで知り合った個人からお金を借りるのは、絶対にやめましょう。
もしかしたら「未成年でもOK」「もっと借りられる」など正規の金融機関よりも魅力的な条件を提示してくるかもしれません。でもいったん契約してしまうと、かなり高い金利で返済を求められたり、返せない場合の取り立てがひどかったりするため危険です。
日本貸金業協会のホームページでは、正規の貸金業者かどうか確かめられる「協会員検索」というコーナーがあります。ヤミ金融なのか判断できない場合は検索してみましょう。
1人で抱え込まない
お金に困ってしまったとき、誰にも相談できずに悩んでしまう方も少なくありません。でも、自分だけでなんとかしようとするより、ほかの人に頼った方がよりよい解決方法が見つかるかもしれません。
できればまず親に事情を話すのがいちばんですが、それができずに困っている場合は、国や自治体、NPOなどが運営している相談窓口を利用することもできます。
匿名で、電話だけでなくLINEなどで相談できる場合もあるでしょう。どうしようもなくなる前に、早めに助けを求めましょう。
お金を借りるときは慎重に
未成年でもお金を借りられる方法は、少ないですが存在します。ただ、お金を借りるということはそのあと借りた金額以上のお金を返済していく必要があるということです。安易に利用するのはやめましょう。
あくまでも、ほかの方法をすべて試してどうにもならなかったときの最終手段だと思って、慎重に判断したいところです。
文・馬場愛梨(ばばえりFP事務所 代表)
関西学院大学商学部卒業後、銀行・保険・不動産などお金にまつわる業界での勤務を経て、独立。自身が過去に「貧困女子」状態でつらい思いをしたことから、むずかしいと思われて避けられがち、でも大切なお金の話を、ゆるくほぐしてお伝えする仕事をしています。AFP資格保有。
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