どうしてもお金が必要なのにあと少しだけ足りない……そんなときは「公的な融資制度を利用して乗り切る」という方法もあります。公的な融資制度なら無金利または低金利でお金を借りられるかもしれません。今回は、個人や事業で利用できる融資について解説します。

「事業目的」で使える公的な少額融資制度

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(画像=PIXTA)

起業資金や運転資金など事業のために利用できる融資制度には、以下のようなものがあります。

・日本政策金融公庫の一般貸付
・マル経融資(小規模事業者経営改善資金)
・新規開業資金(新企業育成貸付)

それぞれの対象者や金利などは次の表のとおりです。

  対象者 金利 借入限度額 申込先
日本政策
金融公庫
の一般貸付
ほとんどの
業種の中小企業
年0.05~2.8%
(担保の有無
などによる)
4,800万円 日本政策金融公庫
や商工会議所など
マル経融資
(小規模事業者
経営改善資金)
商工会議所などの
経営指導を
受けている
小規模事業者
年1.21% 2,000万円 日本政策金融公庫
や商工会議所など
新規開業資金
(新企業育成
貸付)
新規に事業を
始める方など
一定の条件を
満たす人
年0.05~2.8%
(担保の有無
などによる)
7,200万円 日本政策金融公庫
や商工会議所など

日本政策金融公庫は、国が100%の株式を所有する株式会社です。中小企業や個人企業などへの小口融資をたくさん扱っており上記以外にもさまざまな種類があります。

「個人」で申請できる公的な少額融資制度

事業を行っていない人でも申請できる融資制度もあります。例えば以下のようなものです。

・緊急小口資金
・総合支援資金(生活支援費)
・母子父子寡婦福祉資金貸付金

  対象者 金利 借入限度額 申込先
緊急小口資金 緊急かつ一時的に
生計の維持が
困難になった人
無利子・
保証人不要
最大10万円
(新型コロナ関連等は
特例で最大20万円まで)
市区町村の
社会福祉協議会
総合支援資金
(生活支援費)
生活が困窮し
生活再建までの
一定期間お金が
必要な人
保証人あり:無利子
保証人なし:年1.5%
(新型コロナ関連は
特例で保証人
不要で無利子)
単身:月15万円まで
2人以上:毎月20万円まで
(原則3ヵ月)
市区町村の
社会福祉協議会
母子父子寡婦
福祉資金貸付金
20歳未満の
子どもを育てる
ひとり親
保証人あり:無利子
保証人なし:年1%
月額数万円や
一度に数百万円まで
さまざま
(生活資金、
事業継続資金、
修学支援資金など
利用目的によって
異なる)
市役所や
区役所の
福祉担当窓口

このほか日本政策金融公庫が提供する「教育一般貸付(国の教育ローン)」なども個人で利用できます。

新型コロナウイルスにより拡張された融資制度は?

新型コロナウイルスの影響を受けた人を支援するために、新たな支援制度が多数つくられたり、拡充されたりしています。

事業用融資が拡充された例

日本政策金融公庫では、従来から展開していた融資業務が拡充され、新型コロナウイルスに特化した貸付制度も増えました。

具体的には次の内容です。

  対象者 金利 借入限度額 申込先
新型コロナウイルス
感染症特別貸付
最近1ヵ月の
売上高または
過去6ヵ月の
平均売上高が
前3年のいずれか
の年の同期と
比較して
5%以上減少
している方
6,000万円を
限度として
融資後3年目
までは基準利率
(年0.05~2.8%)
-0.9%、
4年目以降は
基準利率
8,000万円 日本政策
金融公庫

個人用融資が拡充された例

個人向けの融資としては、先述の「緊急小口資金」や「総合支援資金(生活支援費)」が内容を一部拡充しています。従来からある制度でも、新型コロナウイルスの影響を受けた人向けに特別に支援を拡大しています。

・緊急小口資金
借入限度額が最大10万円のところ、新型コロナウイルスの影響を受けて収入が減った場合などは最大20万円に拡充

・総合生活支援金
新型コロナウイルスの影響を受けて収入が減った場合などは保証人不要で無利子貸付が可能に

2度目の緊急事態宣言後は、返済開始時期が延期されたり最大貸付額が200万円にアップしたり、さらに拡充が図られました。

公的融資には自治体や業界限定のものも

融資制度には、自治体独自のものや業界限定のものなどもあります。

新型コロナウイルスの影響で、補助金や給付金も増えています。利用できる制度がないか日本政策金融公庫や商工会議所、業界団体、お住まいの自治体などのホームページをチェックしてみましょう。

公的な機関からの借り入れ以外に少額の融資を受ける方法

もちろん民間の金融機関でも少額のお金を借りることは可能です。

営利目的で行っている事業のため、公的機関での融資よりも金利が高くなるのがネックですが「公的機関で借りられなかった」「借りられてもまだ不足分がある」といった人には役立つでしょう。

サービス内容は金融機関により異なりますが、おおまかな目安は以下の通りです。

  金利 融資にかかる期間 借入限度額
カードローン 年3~18%程度 最短即日 1万~数百万円
フリーローン 年3~10%程度 1週間~1ヵ月程度 10万~数百万円
クレジットカードの
キャッシング
年15~18% 手元にクレジットカード
があれば即時
0~数百万円
スマホ融資 年0~18% 数日~1週間程度 ~数百万円

カードローン

カードローンは、金融機関が提供する個人向けの融資サービスの一つです。さまざまな用途に利用でき、決められた上限額までなら何度でも借りたり返したりすることが可能。銀行や消費者金融などで申し込みます。

金利の低さを重視するなら銀行カードローン、融資までのスピードを重視するなら消費者金融を選ぶとよいでしょう。法人で利用できる「ビジネスローン」もあります。

フリーローン

金融機関のフリーローン(多目的ローン)も少額の融資に対応しています。

「カードローンよりも融資までに時間がかかる」「借り入れのたびに申し込みと審査が必要で手間がかかる」といった点はデメリットです。

しかしカードローンよりも低い金利で借りられることはメリットといえます。返しやすく都度手間がかかる分借りすぎを防ぎやすいでしょう。

クレジットカードのキャッシング

手元にあるクレジットカードに「キャッシング枠」が付いていればその枠の範囲内でお金を借りることができます。審査も申し込みも必要ないため、急ぎで借りたい場合に便利です。

ただその分金利は高めであったりキャッシングを利用した分ショッピング枠は減ったりする点はデメリットとなるため、どうしても急に少しだけ必要になったときの手段と考えましょう。

スマホ融資

近年「LINE Pocket Money」「CREZIT」などスマホ一つで簡単にお金を借りられるサービスが続々と誕生しています。

その他のローンと比較して借りられる金額が少ないものの、無利息で借りられるなど銀行などが提供するサービスとは一線を画しているのが特徴です。

公的機関でも少額の融資は受けられる

どうしてもあと少しお金が足りない……そんなときは、その分をどこかで借りてしのぐことも考えなくてはなりません。金融機関はもちろんですが公的機関にも融資制度はあります。

「新型コロナウイルスの影響で以前より拡大している」「低金利または無金利で借りられる」といったものなど多岐にわたるため、あきらめずに探してみましょう。

文・馬場愛梨(ばばえりFP事務所 代表)
関西学院大学商学部卒業後、銀行・保険・不動産などお金にまつわる業界での勤務を経て、独立。自身が過去に「貧困女子」状態でつらい思いをしたことから、むずかしいと思われて避けられがち、でも大切なお金の話を、ゆるくほぐしてお伝えする仕事をしています。AFP資格保有。

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