日々の生活のなかで急にお金が必要になる場面もあります。その一つが葬儀費用でしょう。しかし「葬儀にどのくらいのお金が必要なのか」「貯蓄以外ならばどうやって調達したらいいのか」など細かく把握している人は少ないのではないでしょうか。

今回は、葬儀費用の内容や調達方法について紹介します。カードローンやその他の方法で葬儀費用が借り入れできるのかについても解説していきます。

突発的に発生する可能性がある葬儀費用について知りたい人は、ぜひ参考にしてください。

葬儀費用はどのくらいかかる?

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(画像=PIXTA)

まずは「葬儀費用にはどのくらいのお金がかかるのか」「葬儀で入ってくる金額はどのぐらいなのか」を確認しておきましょう。

葬儀関連費用について

株式会社鎌倉新書の「お葬式に関する全国調査(2020年調査)」によると、葬儀関連費用として以下の項目がありました。

項目 平均費用
お葬式(火葬場使用料・式場使用料含む) 119万1,900円
葬儀の飲食 31万3,800円
葬儀返礼品 33万7,600円
お布施 23万6,900円

平均費用を合計すると、約208万円が葬儀にかかっているということが分かります。

入ってくるお金について

先ほど葬儀関連費用について紹介しましたが、葬儀は出ていくお金ばかりではありません。参列者がいれば香典を受け取るため、入ってくるお金もあります。

同調査によると香典の平均金額は71万1,400円です。これらの調査結果から、葬儀を行うと出ていくお金のほうが入ってくるお金の2倍以上もかかるということが確認できます。

葬儀費用をいつ支払うか?

葬儀費用の支払い時期は、一般的に葬儀後1週間以内のことが多いようです。葬儀後の支払いになっている理由は、弔問客の人数が確定しないと返礼品代、飲食費用も算出できないためです。

しかしすべての費用を葬儀後に一括で支払うのではなく前金・内金を葬儀前に請求されるケースもあります。前金・内金は、葬儀契約時や通夜の前に支払うことになるため、ある程度の現金を準備しておくと安心です。

カードローンで葬儀費用を調達可能?

葬儀費用の支払方法は、主に以下のようなものが挙げられます。

・現金一括で振込
・分割支払い(ローン)
・クレジットカード

「手元に葬儀費用に足りる程度の現金がある」「すぐに使える貯蓄が十分にある」という場合は、それほど心配する必要はありません。

ただ貯蓄がなく分割払いやクレジットの請求が来ても対応できない場合は、カードローンを利用することも方法の一つです。カードローンで葬儀費用を支払う際のメリット・デメリットを次項で見ていきましょう。

カードローンで葬儀のお金を借りる場合のメリット・デメリット

カードローンを利用すれば足りない葬儀費用を支払うことができます。しかしどんな注意点があるのでしょうか。メリット・デメリットをそれぞれにチェックしていきましょう。

カードローンで葬儀費用を借りる場合のメリット

葬儀費用の支払いにカードローンを利用することのメリットは、主に以下の3つです。

【即日融資も可能】
会社にもよっても異なりますが、即日融資可能なカードローンも多くあります。お金を急いで準備したい場合も迅速に対応してもらえます。

【融資限度額の範囲までならばお金の出し入れが自由】
すでにカードローンを利用している人であれば融資限度額の範囲でいつでもお金を引き出すことができます。

パソコンやスマホから振込依頼するだけでなく銀行・コンビニATMからの引き出しもできるため、時間を気にしないでお金を準備することが可能です。

【金利サービス期間があるカードローンも】
カードローンによっては「30日間金利0円」などのキャンペーンを行っている場合があります。すぐに返済できるめどが立っている場合は、金利負担なしで借りることも可能です。

ただし「はじめての契約の場合に限る」「金利0円期間は契約日の翌日から30日間」など金利サービスには条件が付いているため、よく確認してから利用してください。

カードローンで葬儀費用を借りる場合のデメリット

葬儀費用の支払いにカードローンを利用することのデメリットもチェックしてみましょう。

【金利が高め】
カードローンの金利は「3~18%程度」。カーローンや住宅ローンのような目的別ローンに比べて高めです。そのため「多額の借り入れをしたい」「長期間の借り入れをしたい」といった人にとっては金利だけでもかなりの負担になりかねません。

【借入金額が高くなると契約手続きが煩雑】
カードローンは、申込時に本人確認書類を提示しないといけません。また利用限度額が50万円を超えると源泉徴収票や給与明細書などの収入証明書の提出も必要です。

収入証明書の提出は、郵送やFAX、Web上にアップロードなどの方法で行うことができます(カードローン会社によって方法が違う場合があります)。申し込みする金額が大きくなる場合は、多少手間がかかってしまうため注意しておきましょう。

カードローン以外の葬儀費用の調達方法

カードローンで葬儀費用を調達することのメリット・デメリットを確認しました。では、その他の方法で費用を調達することはできるのでしょうか。

葬儀ローンを利用する

葬儀ローンとは、葬儀費用専門のローンです。借入後は、分割で返済する仕組みになっています。まとまったお金を貯蓄から出さなくていい点はメリットですが、以下のような注意点もあることを覚えておきましょう。

・多額の借り入れをして分割回数を増やした場合は、長期間(10年弱)にわたって返済をしないといけない
・金利が10%前後と比較的高い
・葬儀関連費用にしか利用できない
・葬儀会社によっては葬儀ローンの用意がないところがある
・審査次第では利用できないこともある。その場合は別の方法でお金を準備しないといけない

キャッシングを利用する

「クレジットカードのキャッシング枠を利用する」という方法もあります。クレジットカードを持ってさえいれば審査なしで利用できるため、すぐにでも葬儀費用を調達したい人には便利な手段です。

借り入れ手続きが銀行・コンビニATMなどで簡単にできる点も魅力。ただしキャッシングの金利は15~18%台とカードローンよりも高い傾向です。

またキャッシングを使うとクレジットカードのショッピングの利用枠がその分減ってしまいます。これらの点は、デメリットといえるかもしれません。

故人の生命保険や預金

2019年の相続税改正によって、預貯金の仮払い制度ができました。この改正で故人の預金を葬儀費用として使うことも可能です。

預貯金の仮払いで金融機関から引き出せるのは「相続開始時の預貯金残高×3分の1×法定相続分(相続人1人の取り分)」までの金額となっています。また引き出せる人数は1人、1金融機関につき150万円までという制限もあります。

なお仮払い制度を利用して引き出す際は、窓口での手続きが必要です。ATMでは引き出しができません。

一方で、故人が被保険者になっている生命保険の保険金を葬儀費用に充てたい人もいるでしょう。死亡保険金受け取りの際は一般的に以下の書類が必要です。

・保険金の請求書
・保険証券
・被保険者の住民票(除票)
・受取人の戸籍抄本
・受取人の印鑑証明
・医師の死亡診断書など

書類の準備や保険会社への送付など、手続きに時間がかかる場合があります。そのため葬儀費用は、別のところで準備し、後日保険金で使った分を補充することがおすすめです。

生活福祉資金貸付制度を利用する

「生活福祉資金貸付制度」とは、都道府県社会福祉協議会が実施する貸付制度です。貸付対象となる世帯は以下の通りです。

・低所得世帯:市町村民税非課税程度の世帯
・障がい者世帯:身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けた人の属する世帯
・高齢者世帯:日常生活上療養または介護を要する65歳以上の高齢者の属する世帯

冠婚葬祭費は、50万円まで貸し付け可能です。なお償還期間は3年、金利は連帯保証人を立てる場合は無金利、連帯保証人がいない場合は年1.5%となっています。

葬儀費用の出費を抑えるには

葬儀代をどうやって調達するかも大切ですが、葬儀費用の出費を抑えることも検討してください。例えば以下のような方法があります。

葬儀の規模や内容を見直す

葬儀内容を簡略化することも考えてみましょう。「通夜や葬儀を行わず火葬のみにする」という方法もあります。通夜や葬儀を省くことで葬儀代は大幅に抑えられるはずです。

ほかにも「小規模斎場を選ぶ」「家族のみで葬儀を行う(家族葬)」といった方法で葬儀費用を抑えることができます。「弔問客がどの程度来てくれそうか」についてもよく考えて斎場規模を決定しましょう。

相見積もりを取る

1社のみの費用を見ても葬儀費用の相場は分かりません。できれば複数の葬儀社から相見積もりを取って費用を見比べてみましょう。見積もりでは、以下の項目をチェックしてください。

・葬儀費用
・火葬費用
・車両費用
・返礼品費用
・飲食費用

市民葬・区民葬を利用する

居住する自治体の「市民葬・区民葬」を利用して費用を抑える方法もあります。自治体が指定する葬儀社を選ぶことで、一般的な葬儀社を利用するより低い費用で葬儀が行えます。

ただし棺などの装具の選択ができない場合もあります。内容をよく確認してから利用するようにしましょう。

自治体から給付金をもらう

国民健康保険に加入している人が亡くなった場合は、自治体から葬儀を行った人へ葬祭費が支給されます。金額は自治体によって異なりますが数万円ほどです。

ちなみに全国健康保険協会(協会けんぽ)加入者、共済組合加入者および加入者の家族が亡くなった場合も、葬祭費が支給されます。勤務先に問い合わせてみましょう。

葬儀のお金の準備についてよく考えておこう!

斎場の規模や弔問客の数によっても異なりますが葬儀には百万円単位のお金がかかることが一般的です。貯蓄からすぐに葬儀費用が出せない場合は「どうやって葬儀費用を準備するか」について早いうちに考えておきましょう。

預金が足りない場合は「カードローンを利用する」「葬儀ローンを活用する」という方法も選択肢の一つです。

しかし借り入れにはメリットだけでなく「金利負担がある」「分割回数によっては返済期間が数年間にわたることもある」などのデメリットもあります。そのため内容を把握してから利用するようにしましょう。また自治体や協会けんぽ、共済組合にも葬祭費の給付金制度があります。これらの制度も上手に活用してください。

田尻宏子
複数の金融機関での勤務経験や証券外務員第一種、ファイナンシャル・プランニング技能士2級の資格を活かし、金融関連専門のライターとして活動中。生損保・不動産・ローンの情報を中心に「誰でも分かりやすい記事をお届けする」をモットーに執筆。

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