ブロックチェーン技術を活用した認証プラットフォームなどを手掛けるKeychainは22日、関西電力と共同で電力P2P取引ビジネスを想定した取引データの健全性を高める実証実験を2021年2月に実施したと発表した。

Keychain
(画像=月刊暗号資産)

この実証実験では、Keychainのブロックチェーン技術を活用することにより、既存技術だけでは解決できないサイバー攻撃にも対処可能であることを明らかにした。

電力P2P取引ビジネスには多数のプレーヤー参入が予想され、様々なサイバーセキュリティ攻撃からどのように取引データの健全性を守るかが重要な課題となる。

現在、一般的に利用されているhttps通信では、特定の発信者と受信者間の安全なデータ通信が可能だ。

ただし、中間サーバーを経由するネットワーク構成の場合、万が一中間サーバー内部でデータ改ざんが行われた場合には対処できず、また電力取引サーバーからは、どの端末からのデータなのか、データは改ざんされていないか、などのデータ健全性の担保ができない。

しかしKeychainのブロックチェーン技術を活用することで、個々のゲートウェイ機器(GW)内に唯一無二のデジタルアイデンティティが組成でき、電子取引サーバーと相互端末認証が可能となる。

また、GWから発信される全データには、GWごとの唯一無二の電子署名添付と暗号化処理されることで、電子取引サーバー側でのデータ健全性が担保できるようになる。

今回の実証実験では、電力P2P取引への参加プレーヤー宅に設置されるGWとP2P事業者の電力取引サーバーがインターネットを通じて取引データの送受信を行うことを想定した模擬的な実験環境を2種類(従来方式とKeychainブロックチェーン技術を搭載したもの)構築。通信経路上に存在する中間サーバー内部で悪意あるハッカーがデータ改ざん攻撃などを行った場合、電力取引サーバーでの受信データの健全性について、双方に違いがあるかを検証した。

その結果、従来方式の場合、電力取引サーバーでは改ざんされたデータをGWからの真正データとして受諾した。

一方、Keychainブロックチェーン技術を搭載した電力取引サーバーでは、真正なデータではないことを検知し、受信を拒否できることを確認。今回の結果を踏まえ、今後は電力P2P取引や環境価値取引など新たなサービスの安全な実用化に向けた取り組みを進めていくという。

Keychainは様々な業種の企業に対してブロックチェーン上でデータセキュリティとアイデンティティ基盤を実装できる「Keychain Core」を提供している。

Keychain Coreはどのブロックチェーン基盤上でも利用できるアプリケーション開発フレームワークとなっており、企業は既存のインフラやアプリケーションと簡単に統合ができるだけでなく、IoT、スマートフォン、PC、スマートウォッチなどのデバイスを問わず対応できる。(提供:月刊暗号資産