これまでも二転三転してきたインドの暗号資産(仮想通貨)事情だが、再び事態は混沌としてきているようだ。

インド政府高官がロイターに語ったところによると、現在インドでは暗号資産を禁止する法律を提案する準備が進められているとのこと。

インド,暗号資産
(画像=月刊暗号資産)

この法案では国内で暗号資産取引をするだけでなく、保有しているだけでも罰則が課せられるという非常に厳しいものになるという。

政府高官は暗号資産の存在そのものを「ネズミ講」と痛烈に批判し、この法案は世界でも最も厳しい規制になるとした上で、暗号資産の所有および発行、マイニング、取引、譲渡といった行為は犯罪と認定すると語った。

もしこの法案が可決された場合、インド国内の暗号資産保有者に対して最大6ヶ月間の清算期間を与え、それ以降に保持していた場合には罰則を科すことになるという。

世界でも有数の暗号資産規制国として知られる中国でさえ、一部の地域を除いてマイニングや暗号資産の保有に対して罰則を規定していないことから、現在持ち上がっている法案がいかに強力なものかが伺える。

一方で、この暗号資産規制法案が明らかになってからわずか数時間後にインドのNirmala Sitharaman財務大臣が全面禁止を真っ向から否定した。

現地メディア・India Todayのインタビューで、Sitharaman財務大臣は「暗号資産やブロックチェーン、フィンテックについて、インド政府は全ての選択肢を遮断することはない」と答え、改めて暗号資産の全面禁止を行うものではないとの姿勢を見せた。

さらに同氏は、「暗号資産をどのように定義するかは準備中で、完成間近の内閣法案を含め近々閣議決定する」と語り、政府方針が明らかになるまで時間がかからないとした。

昨年3月、インドの最高裁は同国の中央銀行であるインド準備銀行(RBI)が2018年に講じた暗号資産禁止措置に対して違憲判決を下した。

政府内でも意見が分断していたインドの暗号資産情勢に出口が見えたかと思われたが、その後も状況は二転三転していた。

そういった状況下でもインド国内における暗号資産取引は増加している。

同国の暗号資産取引所であるBitbnsは、ユーザー登録数および資金流入額が前年比で30倍にまで増加していることを明かした。

現在の暗号資産市場の活況ぶりと同国における政府機関との温度差は露骨に相反しているものと言えるが、どのような法案が提出されたとしても、再び物議を醸すものとなりそうだ。(提供:月刊暗号資産