日立製作所は3日、ブロックチェーン技術を使った「ハンコレス」を推進する電子署名サービス「日立電子署名サービス」を開発したと発表した。今月から自社内運用をスタートしており、7月には国内企業向けに販売開始予定だ。

ハンコレス
(画像=月刊暗号資産)

同サービスでは、ブロックチェーン特有の耐改ざん性の高さを活用した安全な電子契約を提供する。他電子契約サービスと連携し、署名済みの文書の一元管理や地域ごとの商習慣に合わせた署名や承認の流れをカスタマイズすることができる。

日立製作所はこのサービスにより、セキュリティ面に加え、コストカットや業務効率化などにおいて効果に期待ができるだろうとの認識を示した。また高いセキュリティが求められる医療や金融分野での活用を想定しているとのこと。

現在、コロナ禍でテレワークの推進が図られ、徐々に広がりを見せつつある中で、書類等への押印を廃止する「脱ハンコ」の機運が高まっている。

日本政府も昨年、「押印は必ずしも必要ない」との見解を示しており、同年9月には内閣府が行政手続きで求める押印の原則廃止を全府省に要請。また10月には、河野太郎行政改革相が約1万5000の行政手続きのうち、99%超の手続きにおいて押印を廃止できる見込みだと明らかにし、その後、脱ハンコを宣言した。

しかし脱ハンコに向けた道のりはまだ始まったばかりであり、広く浸透するには時間を要するものと言える。

日立製作所もプレスリリース内で言及しているように、企業間で交わす契約書などの紙の書類への署名・押印業務は今もなお継続して行われることが多く、さらに原本の製本や郵送、印紙購入・貼付け、保管などが時間とコストを奪っている状況だ。それが結果としてテレワーク推進の弊害にもなっていると言えるだろう。

今回明らかになった日立製作所の取り組みはこれらの課題を打破するために行われており、同社もまた2021年度中に社内の押印業務を全面的に廃止する方針を掲げている。

ブロックチェーンを用いることで、電子署名のセキュリティは格段に強化される。この取り組みが広がれば、企業などによる脱ハンコに向けた動きもさらに加速していくことだろう。(提供:月刊暗号資産