ビットコインの大型アップデート「Taproot」に向けて、コミュニティが実行に向けた会議を23日に行った。今回は、具体的なアップグレードスケジュールが確認された。
Taprootはシュノア署名とマークル化抽象構文木(MAST)と呼ばれる技術を組み合わせたものだ。2017年の「SegWit」以来の大幅なアップグレードとなる。
シュノア署名は、マルチシグにおける複数の公開鍵を1つに集約し取引のプライバシーや効率を高める技術である。
また、マークル化抽象構文木は複雑なスマート・コントラクトのデータ容量を節約する仕組みで、ビットコイン取引のプライバシー向上に加え、ブロックサイズの縮小、スマートコントラクトの柔軟性やネットワークのプライバシーを強化する。
今回の会議では、これまで未定だったアクティベーションの時期が2021年11月15日頃という見通しが示された。
今後、ビットコインのアップグレードに向けて「Speedy Trial」という方法を採用することが決定した。Speedy Trialは、安全性を犠牲にすることなくスピードを重視したTaprootの実験方法だ。Speedy Trialは今年の5月にリリースされ、約6ヶ月の間に問題が生じなければ11月15日前後にビットコインがアップグレードされる予定だ。
ビットコインの開発は最終的に決定する人物や組織がないため、アップグレードのパラメータやタイミングは常に流動的だ。
これまで行われてきたTaprootに関する議論でも、重要なことはビットコインコミュニティのコンセンサスを得ることが必要となっていた。
今年1月、ハッシュレートを担う大手マイニングプールの9割以上がTaprootの実装に賛同し、アップグレードに向けて準備が進められていた。以降、Taprootのアップデート案は、導入の方法を検討している段階だった。
今回、スケジュールが明示されたことにより、Taprootの実装が順調に進んでいることがうかがえる。(提供:月刊暗号資産)