不動産投資の経験が浅い投資家に起こりがちな失敗例の一つとして、高い利回りに目を奪われ、ハイリスクを看過して高利回り物件に投資してしまうというケースが想定されます。

経験が浅い投資家は、どこにどのようなリスクが潜んでいるか、背負うことになるリスクが期待リターンに見合っているかといった点が分からないこともあるでしょう。

本記事では、不動産投資をする際に初心者の段階で致命的なミスをしないようにするために、高利回り物件においてチェックすべきポイントを5つの観点から解説します。

投資において、リスクとリターンは表裏一体

高利回り物件,ポイント
(画像=beeboys/stock.adobe.com)

ハイリターンが期待できる投資においては、リターンの高さに比例してハイリスクになる傾向があります。リスクとリターンが表裏一体の関係にある理由の一つとして、リスクが高い投資先は、リターンを高くしなければ投資家からの出資を受けにくいという点が挙げられます。

新興国通貨建ての債券等の金融商品が先進国のものよりも押し並べてハイリターンな傾向にあるのは、一般的に新興国は先進国よりもカントリーリスクや為替リスクなどの点においてハイリスクである場合が多いことが主な要因の一つです。

不動産投資では、高利回り物件にはハイリターンに応じたハイリスクが潜んでいることが多くあります。高利回り物件は、人口減少が続いている地方や立地に難がある物件、築古物件などに多く見受けられるのが実情で、空室リスクや突発的な修繕費がかかるリスクが潜んでいます。

高利回り物件への投資を検討する際は、高い利回りで流通させている理由を確認したうえで慎重に判断するのが得策といえるでしょう。

高利回り物件においてチェックすべき4つのポイント

不動産投資をする際は、数千万円ないし数億円規模の融資を受けることになるのが一般的であるため、物件選びでの判断ミスは再起不能な失敗につながることもあり得ます。物件選びの段階での大きな失敗を避けるために、高利回り物件においてチェックすべきポイントは以下の4つです。

・賃貸需要が旺盛か
・耐震性に問題はないか
・問題のある入居者がいないか
・維持管理が適切にされているか

賃貸需要が旺盛か

賃貸需要が旺盛か否かは、不動産投資の成否を決める生命線といえるでしょう。賃貸需要が不振な物件は、満室想定時の利回りが高かったとしても借り手を見つけにくい物件であることが多く、満室状態を実現・維持できないリスクがあります。

人口減少が予測されるエリアの物件や築年数の経過で老朽化が著しい物件などは一般的に賃貸需要が少ない傾向があるため、満室想定時の利回りが高く設定されて売りに出される場合が少なくありません。あくまで満室状態を実現できた場合の利回りであるため、「満室状態を実現し、かつ維持できるほどの賃貸需要があるか否か」を判断基準の一つとするのが得策です。

耐震性に問題はないか

耐震性に問題がある物件への投資には、以下2つのデメリットが想定されるため耐震性についてはチェックしておく必要性が高いでしょう。

・地震発生時に大規模な被害および損失が出るリスクが高い
・融資を受けにくい

耐震性とは、建物がどの程度の地震に耐えられるかを表す指標のことで、当該建物が建てられた時期によって「旧耐震基準」と「新耐震基準」に分けられます。

一般的に耐震性が弱いのは旧耐震基準の物件で、1981(昭和56)年5月31日以前に建てられた物件が該当します。旧耐震基準の耐震性は、震度5強程度までならば建物が倒壊しないという基準にとどまっており、震度6以上の地震がいつ発生するか分からない日本においては必ずしも十分な耐震性を備えているとはいえないでしょう。

賃貸中の物件が倒壊または大きく損傷すると、多額の修繕費がかかるうえに修繕工事期間中に部屋を貸し出せなくなる(家賃収入が入ってこない)という事態が想定されます。

また、耐震性に問題があることが疑われる物件は、金融機関からの融資を受けにくい傾向があるでしょう。その理由の一つに、地震発生時の倒壊や大きな損傷のリスクが高い物件であるとして、金融機関からの評価が低くなりやすいことが挙げられます。

融資を受けて物件を買うことが前提となる不動産投資において、融資を受けにくいという点は投資の根本を揺るがすレベルのデメリットといっても過言ではないでしょう。

問題のある入居者がいないか

問題のある入居者とは、夜間に騒音を出したり住戸内に大量のゴミを溜め込んだりする入居者や、賃料を長期に渡って滞納し続けている入居者のことです。入居者の起こすトラブルに売主が困窮して、価格を下げてでも早く物件を手放したいと考えている場合は周辺の相場よりも高利回りで売りに出されることがあります。

購入後に発生し得るトラブルの例として、近隣住民と頻繁にトラブルを起こす、賃料を長期間滞納したために追い出し訴訟に発展するという事態が想定されます。

不動産投資をするうえで、入居者は長期的な利害関係を持つお客様ともいえる存在であるため、良好な関係を築ける相手であることが望ましいでしょう。物件を購入する前に、現入居者についての情報(賃料滞納の常習性の有無やトラブル、マナー上の問題がないか等)を売主側から聞き出しておくことが得策です。

維持管理が適切にされているか

自主管理の状態で管理が行き届いていなかった物件や、賃貸経営に疎い相続人に承継され長期間に渡って放置されていた物件をオーナーが整理したい場合は、売り急がれて周辺の相場よりも高い利回りで売りに出されることがあります。

維持管理が適切にされていない物件を購入すると、購入後に大規模な修繕工事や設備の一斉交換、建て替えをする必要が出てくる可能性があり、多額の費用を要することが想定されるでしょう。

日常的な清掃や設備のメンテナンスおよび交換等が適切にされているかをチェックする方法としては、現地への訪問や設備の交換履歴および大規模修繕の実施状況の確認といった方法が挙げられます。

維持管理が適切にされていない物件は、入居付けが難航する可能性が高いため、日常的な管理状況は要チェック項目の一つでしょう。

リスクとリターンを正しく理解して健全な不動産投資を

投資におけるリスクとリターンは表裏一体の関係にあるため、高利回りの背後には相応のハイリスク要因が内在している可能性があります。高利回りで売りに出されている理由は何か、どのようなリスクがあるのかという目線でリスクとリターンを正しく理解し、リスクとリターンのバランスの取れた健全な不動産投資を目指しましょう。(提供:Incomepress


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