歯科衛生士に長く働いて欲しい、サービスの質を向上させたいと考えるなら、的確なマネジメントを意識すべきです。こちらの記事では歯科衛生士のマネジメントが重要な理由や、マネジメントにおける課題と、成功させるために必要なポイントを詳しく解説していきます。
歯科医院経営で歯科衛生士のマネジメントが重要な理由
歯科衛生士のマネジメントが重要な理由としては、歯科衛生士に対する求人が非常に多く売り手市場なことが挙げられます。マネジメントを疎かにするとスタッフがすぐ離職してしまい、定着しにくいでしょう。以下では歯科衛生士のマネジメントが大切な3つの理由を解説していきます。
スタッフの満足度が上がる
歯科医院には、「周りよりも頑張っているのに評価されない」、「なぜあの人が評価されるのか」といった疑問を多かれ少なかれ抱えているスタッフはいるものです。
こういった「不満」は退職の大きな引き金となりますが、マネジメントに取り組み人事評価制度を適正化し、明確で公平な評価が実現すれば、上記のような不平不満も出にくくなります。また、評価に見合った待遇を用意することで納得して働けるようになり、仕事へのモチベーションも上がります。
さらに福利厚生や適正な仕事の割り振りなど労働環境を整備すれば、満足感を持って働くことができるので、離職率の低下にもつながるでしょう。
サービスの質が向上する
マネジメントが行き届かずに歯科衛生士の抱える業務が過多であったり職場に不満を抱えていたりすることは、単なる個人のモチベーションの問題のみならずサービスの悪化へとつながります。個々人のこなせる仕事量を把握して仕事の割り振りを行うことで、患者へ迷惑をかけるようなミスを防ぐことができるのです。
さらに、適切な仕事量であれば歯科衛生士も無理せず働くことができ、仕事への満足度も高まるでしょう。また、仕事の割り振りに合わせた教育ができれば、技術・接遇の質向上へつなげることも可能です。
競合医院との差別化につながる
「歯科経営情報レポート」によると、患者が通っている歯科医院への通院を辞めてしまう理由として「納得できる説明が無い」、「臨床技術の格差がある」という声が挙げられていました。
歯科衛生士や歯科助手・受付など医院スタッフの満足度が高く定着率が上がると、スタッフ同士が共に働く時間が増えることでチームワークが向上します。結果として、受付から診察に入るまでスムーズに案内できるようなり、また1人ひとりの患者に対する対応が向上します。
サービスや接客の質を向上できれば、高額な機器を導入しなくても競合医院との差別化を図ることが可能なのです。
歯科衛生士をマネジメントする際のポイント
ここからは歯科衛生士をマネジメントする際に押さえておきたいポイントを解説していきます。
教育機会を確保する
歯科医院の経営を成功につなげるためには、歯科衛生士の教育機会を確保し成長しやすい環境を整えることが大切です。教育を通して身につけたスキルや接客方法を仕事に活かすことで、成長を実感できてスタッフ本人の満足度も上がります。
また冒頭に述べた通り、歯科衛生士の転職市場は売り手市場にあり、教育制度が整っていることは人材確保の際にもアピール材料となります。教育制度を整えると在籍しているスタッフの満足度も高めることができ、そういった働きやすさは自然と伝わるので、さらに新規採用時の強みにもなるでしょう。
高い定着率を維持するためには
歯科衛生士の入れ替わりが激しいと、教育のコスト・時間が無駄になり、マネジメントの負担も大きくなります。先述したように公正な評価制度を整えたり教育機会を確保したりすることで長く働いてもらえる環境を整えることが重要です。
しかし、働くことに対してスタッフ1人ひとりが満足を感じるポイントは千差万別で、普遍的な答えがありません。スタッフの幅広いニーズに応えられる仕組みを整えることは、マネジメントの課題といえるでしょう。
院長の意識・行動を変える
歯科医院の運営において、中心的立場にある院長自身の意識や行動は、歯科衛生士などスタッフの見本であり指針となります。
「マネジメントや教育が重要」という意識を院長自身がしっかりと持ち、実際に行動していくことが大切です。具体的には、「今後どのような歯科医院にしていくのか明確な計画の提示をする」「歯科衛生士の仕事を詳細に把握して、どういった教育制度・評価制度が必要かを考案する」「どういった福利厚生があれば、仕事へのモチベーションが上がるのかなど、スタッフの立場からの働きやすさを検討すること」が挙げられます。
歯科衛生士のマネジメントで成功するためのポイント
ここからは歯科衛生士のマネジメントに成功するためのポイントを詳しく解説していきます。
積極的にコミュニケーションを行う
スタッフのマネジメントの基本はコミュニケーションです。院長から積極的にコミュニケーションを行うと、スタッフの考えていることが把握しやすくなります。また、何気ない話題のなかから、スタッフの抱えている悩みや要望も汲み取れたり、スタッフも何か問題を抱えた時に伝えやすくなったりするでしょう。
コミュニケーションを増やすことは、院内の環境改善にもつながるので、院長先生は積極的な関係づくりを意識することをおすすめします。
魅力ある職場環境・制度を整える
マネジメントの効果を高めるには、教育機会を確保したり、コミュニケーションを増やしたりすることが大切です。加えて、働きやすい環境・制度を整えることも重要になります。
例えば、「教育機会を増やして欲しい」という要望があれば、その部分の増強が必要ですし、バースデー休暇など休暇を充実して欲しいという意見があれば、休暇制度を拡充することが必要となる場合もあるでしょう。環境・制度を整えることが、スタッフの満足度を高め、最終的には患者満足度の向上にもつながります。
まとめ
今回の記事では、歯科医院でのマネジメントの重要性、課題とポイントについてお伝えしてきました。同じように歯科医院を運営していても、ポイントを押さえてスタッフと接している医院といない医院では、スタッフの満足度は雲泥の差です。
スタッフとしっかりとしたコミュニケーションを行い、そこから見えてきた課題に取り組むことは、長く利用される歯科医院を実現するために大切です。
《情報収集で参考したサイト》
引用元:日新税理士事務所 歯科経営情報レポート 歯科医院の収益力向上策マーケティング戦略策定のポイント
(提供:あきばれ歯科経営 online)