インド発の不動産ユニコーンベンチャー「OYO(オヨ)」が日本から撤退するという一部報道が2021年3月に流れました。OYOが日本国内でサービス提供をスタートさせたのは2019年のことです。ソフトバンクグループ傘下の企業と組み、鳴り物入りでスタートしたOYOがわずか2年で日本から撤退するその理由に迫ります。

「OYO(オヨ)」日本参入の経緯

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(画像=piter2121/stock.adobe.com)

OYOが日本に参入しサービスをスタートさせたのは2019年3月のことです。ヤフー株式会社と合弁会社を設立し、「スマートフォン一つで物件探しから退去までできる」賃貸サービス「OYO LIFE(オヨライフ)」を展開しました。

本格的な不動産テックの到来に、当時国内の各種メディアが大きく取り上げ、開始当初から注目を浴びていたOYO LIFE。同年6月には法人向けの賃貸サービス「OYO LIFE Biz」を、10月には「OYO Hotels」としてホテル業にも進出し、2019年国内50カ所、100軒以上のホテルを展開しています。

OYOの早すぎる浮沈

OYO LIFEは、若者向けの賃貸物件を中心として、一時期は7,000室以上の物件を取り扱っていました。日本上陸からわずか1年で4,000名以上のユーザーがOYO LIFEを利用しており、ホテル事業に関しては1日当たり4,000人以上のゲストが利用するという大成功を収めています。賃貸事業とホテル事業、それぞれ合弁会社を立ち上げ事業を営んでいたことも話題となりました。

このOYOの躍進劇に国内各種メディアが色めき立ったのもつかの間、業績が振るわず賃貸事業の人員を削減、さらに効率化を目指し2020年7月末には2つの会社を合併しています。

そして2021年3月には、「OYO日本撤退」のニュースが流れ始めました。

OYO撤退報道 広報は否定

OYOの日本からの撤退報道が流れたのは2021年3月17日のことです。「事業を拡大したものの稼働率が振るわず、物件数も500室以下に縮小している」との報道を受けて、OYOのPR事務局は「報道はOYOが発した情報によって書かれたものではなく、事実と異なる部分がある」と回答しています。

実は、OYO LIFEとOYO Hotelsの合併の約半年前にあたる2019年12月には、ヤフーがOYOとの合弁を解消しており、当時から日本撤退の噂がささやかれていました。

SNSではOYOに対する不満や苦情が数多く書き込まれており、大量に室数を確保したものの稼働率が振るわないなどの問題があったようです。

日本への進出からスピーディーな拡大、そして急激な失速。OYOはビジネスの拡大を急ぎすぎていたのかもしれません。

ホテル事業は継続の予定

スマートフォンから簡単に部屋を借りられ、家具やインターネットも完備されているとして若年層を中心に注目を集めていたOYO LIFEですが、日本の賃貸事情にはマッチしなかったのかもしれません。

OYO LIFEにおける賃貸事業は撤退の可能性が高いとされているものの、ホテル事業は継続する予定とのことです。(提供:YANUSY

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