スイーツでは数量限定品がよく話題に上ります。すぐに完売してしまうものもあり、開店前の長蛇の列も見慣れた光景と言えるでしょう。味や品質、見た目の美しさだけでなく、「入手困難なレアもの」という付加価値が、おもてなしの気持ちを示すという考え方もあり、贈り物としての価値を高めているという側面もあります。
そんなスイーツ業界に、老舗料亭のような完全予約制&紹介制の洋菓子店が存在するのをご存知でしょうか。その洋菓子店は、皇居西側の半蔵門からほど近い場所にある「村上開新堂」です。特にクッキーの人気が高いといわれていますが、いったいどんな洋菓子店なのでしょうか。紹介制のシステムやその洋菓子について解説します。
日本における洋菓子の先駆「村上開新堂」とは?
“日本で初めての洋菓子店”としても名高い村上開新堂の歴史をひも解くと、日本の歴史と深く関わりのあることがわかります。明治維新を経て発足した新政府は、海外諸国と対等な関係を築くため、西洋文化を積極的に取り入れようと腐心します。
そのひとつが「洋菓子」です。なぜなら諸外国の要人を接待する際に、必要不可欠だったからです。
そんな国策の中で、白羽の矢が立ったのが、のちに「村上開新堂」を創業することになる村上光保氏でした。宮内省(現在の宮内庁)の料理人であった光保氏は、命を受けて横浜の外国人居留地に派遣され、フランス人のサミュエル・ペール氏のもとで洋菓子製造の修行を積みました。
それから数年後の1874年(明治7年)に、村上光保氏は「村上開新堂」を現在の東京都・麴町に開きます。宮内省や各国大使、華族、財閥の方々を対象に、洋菓子の製造販売を始めました。
それ以来、五代150年弱にわたって、村上開新堂の伝統と味は受け継がれているのです。
なぜ完全予約&紹介制なのか
伝統の味をいまに伝える「村上開新堂」。そんな同店が、頑なに守り続けているのが「手づくり」による製造です。多くの人員で大量に生産することを選ばず、お客さまに納得のいく味を届けることをポリシーとしているため、1日に生産できる量が非常に限られています。これが、村上開新堂が完全予約&紹介制をとる最大の理由です。
一方で、その時代に合わせた新しい挑戦にも取り組んでいます。現在、第五代当主の山本道子氏は1990年(平成2年)、村上開新堂の隣に「山本道子の店」を開業し、本店とは異なる、村上開新堂の“新しい味”を提案しています。同店ではクッキーを中心とした焼き菓子のほか、ジャムなども販売しています。
村上開新堂の洋菓子を予約・購入する方法
実際に、村上開新堂の洋菓子を購入するにはどうすればよいのでしょうか。初めての方は、以下のような手順を踏まねばなりません。
(1)すでに商品を購入したことのある人から、村上開新堂に紹介の連絡を入れてもらう
(2)本人からも村上開新堂に連絡をし、名前を登録する
(3)予約・購入が可能になる
ただし、(2)で登録できたとしても、残念ながらすんなりと予約・購入へと進めるわけではありません。なぜなら、商品によっては「予約待ち」という次なるハードルがあるためです。
クッキーは予約から1年待ち!?
村上開新堂では、クッキーやケーキ(生菓子)、半生菓子、ゼリーなど季節に合わせた商品が展開されていますが、特にクッキーについては、予約から実際に商品が届くまで1年以上を要する状態となっています。2020年9月の時点で、2021年12月までの販売分が売り切れてしまっていることが、ホームページで告知されています。
このような状況を受けて、2021年1月からは、1人のお客さんが新しく紹介できる人を1年間で1人だけに限る措置も講じられています。今後、さらに待ち期間が長くなることも予想されます。
入手困難なクッキーを手に入れるために
日本一入手困難とも言われる村上開新堂のクッキーを、一度は食べてみたいと思われる方もいると思います。しかし、多くの方にとってはやはり、紹介してくれる人を見つけるというハードルは高いでしょう。友人や知人、場合によってはSNSなどの人脈を駆使し、何とかして探し出すしかありません。
運よく手土産などで同店のクッキーを味わえた方は、贈り主に、紹介をお願いするのもよいかもしれません。また、顔の広い経営者などに相談してみれば、紹介してくれる人が意外に早く見つかるかもしれません。
村上開新堂のクッキーは、大切な人に贈れば最高のギフトとなるでしょう。(提供:JPRIME)
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