14日、Gary Gensler(ゲイリー・ゲンスラー)氏の米証券取引委員会(SEC)の委員長就任が上院によって承認された。投票は賛成票53に対し、反対票45という結果となった。
ゲンスラー氏は1月にバイデン大統領によって次期SEC委員長として指名された。同氏はオバマ政権下で米商品先物取引委員会(CFTC)の委員長を務め、公務に就く前はゴールドマン・サックスで20年間勤務していたという経歴がある。さらに、マサチューセッツ工科大学(MIT)でブロックチェーンや暗号資産(仮想通貨)に関する講義を行っている。
暗号資産業界は、ブロックチェーンに精通するゲンスラー氏がSEC委員長に就任することで、今後の暗号資産に関する規制やその取り扱いに変化が生まれるのではないかと期待している。
3月に開催された上院との公聴会での同氏の発言が注目を浴びたのも記憶に新しい。
公聴会の中で、ゲンスラー氏は暗号資産について「変化のきっかけとなる」と発言。さらに、「ビットコインを筆頭とした暗号資産は、決済や金融包摂に新しい考え方をもたらしただけでなく、投資家保護に関して新しい課題を提示した」と上院で述べた。
公聴会の中で、ゲンスラー氏は技術革新を進める意向を示しつつ、投資家保護を主軸とする従来のSECの方針に沿うように発言をしたとみられる。
今後、ゲンスラー氏がSEC委員長を務める間に、暗号資産に関する課題がどのように対応されていくかに注目が集まるだろう。特に、現在係争中の暗号資産リップル(XRP)の有価証券問題の行方は多くの関心が寄せられるはずだ。
この一件は暗号資産業界の今後にも大きく関わってくることから、ゲンスラー氏の動向は非常に重要なものとなってくる。
また、過去10年間SECの委員長の意向で、どの暗号資産が有価証券として認められるかが判断されている。そのため、暗号資産を深く理解しているゲンスラー氏の判断が業界に与える影響は大きいものと言えるだろう。
14日は米暗号資産取引所コインベースがNASDAQに上場し、暗号資産業界に新たな歴史が刻まれた日でもある。そういった日にSEC委員長にゲンスラー氏が就任したというのも、何かの巡り合わせと言えるのかもしれない。(提供:月刊暗号資産)