不動産投資を始めると不動産取得税がかかり、1回の投資で数十万円、数百万円になることも。しかし軽減措置を活用すれば、納税額を抑えられます。今回は、不動産取得税を節税するための4つのポイントをお伝えします。

不動産投資で必ずかかる不動産取得税とは

不動産投資,節税
(画像=Pcess609/stock.adobe.com)

不動産投資では、物件を購入する際に以下の税金を納めることになります。

不動産取得税土地や建物の取得に対して課税される
登録免許税不動産などの登記に対して課税される
印紙税売買などの契約書や領収書に対して課税される

不動産取得税は「どのように取得したか」「登記しているか否か」に関係なく、不動産取得そのものにかかる税金です。そのため、購入だけでなく贈与でもかかります。ただし、相続による取得の場合は非課税です。

不動産の登記や契約書・領収書の作成を遅らせると、その分登録免許税や印紙税の支払いを先延ばしできます。しかし、不動産取得税は払わざるを得ません。その意味で、他の税金よりも不動産投資に密接な税金といえます。

不動産取得税の計算方法

不動産取得税は、原則的に「課税標準×4%(税率)」で計算します。課税標準とは、固定資産税評価額のことです。

ただし、新築に関しては取得したときの価格で評価され、経年減点補正が入りません。そのため、固定資産税評価額よりも若干高くなります。

不動産取得税の軽減措置に注目

課税の原則は上記のとおりですが、現在は以下のような軽減措置が設けられています。

軽減措置1:土地と住宅用建物は税率3%

本来の税率は4%ですが、土地と住宅用建物の税率は3%になります。したがって、物件が居住用のアパートやマンションなら税率は3%です。一方、事務所用や店舗用の建物は4%です。

軽減措置2:宅地だと課税標準額が半分に

さらに土地が「宅地」、つまり建物の敷地だと課税標準額が1/2になります。土地が駐車場用など雑種地ならば「課税標準額=固定資産税評価額」ですが、アパートやマンションの敷地だと「課税標準額=固定資産税評価額×1/2」になるのです。

軽減措置3:新築住宅の課税標準が減額される

賃貸用に購入した物件が新築住宅の場合、課税標準額から1,200万円が控除されます。その結果、不動産取得税の計算式は以下のようになります。

(固定資産税評価額-1,200万円)×3%

ただし、床面積が以下の条件を満たしている必要があります。

  • 戸建住宅……50㎡以上240㎡以下
  • 戸建住宅以外(アパートやマンションなど)……40㎡以上240㎡以下

アパートやマンションの床面積は、共用部分の床面積を専有部分の床面積割合で按分した床面積を含めて計算します。事業用と居住用の併用住宅については、居住用部分の床面積で考えます。

なお、購入した新築住宅が認定長期優良住宅だと、控除額は1,300万円になります。

軽減措置4:新築住宅の宅地の税額が減額に

賃貸用に新築物件を購入し、これとほぼ同時期に宅地も購入すると、宅地の不動産取得税も軽減されます。計算式は以下のとおりです。

(固定資産税評価額×1/2×3%)-控除額(以下の1と2のいずれか多いほうの金額)

  1. 4万5,000円
  2. (土地1㎡当たりの固定資産税評価額×1/2)×(課税床面積×2(200㎡が上限))×3%

ただし、以下の要件を満たす必要があります。

  • 上物である建物が「軽減措置3」の対象であること
  • 土地を先に取得している場合は、土地取得から3年以内に建物を新築すること
  • 土地を借りるなどして建物を先に新築した場合は、新築後1年以内に土地を取得していること

軽減措置を受けるための手続き

軽減措置を受けるには、地方自治体での手続きが必要です。ただし、自治体や適用を受ける軽減措置によって、提出期限や提出すべき書類が異なります。

例えば、東京都で賃貸用に新築未使用の建物と土地を同時に取得したケースにおける軽減措置の場合は、不動産取得の日から30日以内に以下の書類を管轄の都税事務所や都税支所、支庁に提出する必要があります。

  • 不動産取得税申告書
  • 売買契約書と最終代金領収書
  • 登記事項証明書
  • 平面図
  • 賃貸借契約書

不動産取得税の軽減措置の注意点

不動産取得税の軽減措置には、以下のような注意点があります。

非住宅用建物は節税できない

軽減措置の対象となる建物は、居住用のみです。事務所や店舗といった事業用の建物の不動産取得税は、「固定資産税評価額×4%」で計算します。

建物が中古だと節税できない

投資用物件の場合は、新築でなければ軽減措置の対象になりません。中古物件で軽減対象になるのは「持ち主自身の居住用」のみで、中古物件の宅地も同様です。建物が持ち主の自宅でなければ、宅地も軽減措置の対象になりません。

期限に注意

この軽減措置には、期限があります。もともと2021年3月31日まででしたが、2021年度税制改正で2024年3月31日まで延長されました。経済の状況によっては、今後の税制改正で再延長になる可能性もありますが、投資を決めたなら早めに着手したほうがよいでしょう。

今回ご紹介した4つのポイントを活用すれば、初期投資を節約でき、その分を他の投資に回せます。ご自身の投資物件が要件に合う場合は、早めに手続きを行いましょう。

(提供:YANUSY

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