株をやっているものの、思いどおりに儲からないとお悩みの方は多いことでしょう。株はギャンブルではないので、運任せで勝ち負けが決まるわけではありません。株で負ける、失敗することには必ず理由があります。

そこで今回は株で失敗する典型的なパターン、そして成功するパターンのそれぞれを解説します。ご自身の行動パターンに当てはまるものがないか、ぜひチェックしてみてください。

目次

  1. 株で儲かる仕組みはシンプル
  2. 8割の投資家は負けている
  3. 株式投資で失敗する典型例11パターン
  4. 株で儲かっている人の特徴8パターン
  5. まとめ:失敗するパターンを知るだけでも成功に近づく

株で儲かる仕組みはシンプル

株で儲からないのにはワケがある。失敗する11の典型例と成功する8つのパターン

「株で儲ける」というのは、仕組み自体はとてもシンプルです。しかしそのシンプルさゆえに決して簡単ではないのが、多くの株式投資家にとって共通の認識でしょう。最初に、「株で儲かる」とはどういうことなのかをしっかり認識しておきましょう。

安いところで買って、高いところで売る

株価は変動しているので、その価格差を利用して利益を上げるのが基本です。安いところで買い、値上がりしたら売る。そしてその差額が利益となります。その逆に「高いところで空売りして、安くなったら買い戻す」というパターンもありますが、これも株価の差額を利益につなげていることに変わりはありません。

「期待値」の高い勝負をすることで勝つ確率は上がる

株式投資には期待値という概念があります。期待値というだけあって、これが高いほど勝率が高くなるので株で勝つためには理解しておく必要があります。安く買って高く売るためには割安になっている銘柄に投資をするのが有効ですが、それを知るための代表的な指標がPER(株価収益率)です。

株の期待値として用いられている株式益回りという指標がありますが、これはPERの逆数で求められます。逆数なのでPERが20倍であれば益回りは20分の1、つまり5%です。この益回りが高いほど株価が割安であると判断されるため、期待値の高い勝負ができることになります。

より有利な勝負をするためにも、こうした期待値の概念をマスターして実践していきましょう。

8割の投資家は負けている

株式投資はギャンブルではないので、勝つためのさまざまなノウハウが確立されています。しかし、実は株式投資家の8割は負けているという残念な現実があります。これはなぜなのでしょうか。

長期で投資をしたほうが勝つ確率が高い

株式投資の勝率は、投資の時間軸によって大きく変わります。短期よりも中期、中期よりも長期で投資に取り組んだほうが高勝率なので、時間をかけることが重要です。

株を保有すると配当金が入るので、長期的に保有していると株価の変動にかかわらず配当金が入り、それが利益となります。また、長期保有であれば売り時のチャンスもその分多くなるため、「時間を味方につける」というのは投資の基本です。

「長期投資=長期でずっと保有」ではない

それでは、買ったものの思うような値上がりをせず、逆に値下がりしてしまった株を持ち続けるのがよいのでしょうか。これは投資の世界では「塩漬け」と呼ばれるもので、損切りができずに問題を先送りにしているだけと解釈されています。

塩漬けは株を売らなければ半永久的に損失が確定しないので有効な手法に見えますが、その株に資金が長期間拘束されることになり、他の投資機会を損ねてしまいます。こうした見えない損失が含まれているため、塩漬けは長期投資とはいえません。

長期投資というのは業績が伸びる可能性が高く有望な銘柄を長期的に保有し、株価の成長を資産増につなげていく手法のことをいいます。すでに株式投資をされている方のなかで長期保有している株があるとしたら、それは長期投資なのか塩漬けなのか、ぜひ一度考えてみてください。

株式投資で失敗する典型例11パターン

それでは、株式投資で失敗してしまう11の典型的なパターンをご紹介します。もちろんその数が多いほど失敗するリスク要因を多く抱えていることになります。

株で失敗する典型例1:感情的になる

勝負事は、感情的になった者が負けるという道理があります。株式投資も感情的になると負ける確率が跳ね上がってしまいます。損をしたことで頭に来てしまい、すぐにでも取り返そうとして無茶なトレードをしてしまって傷口を広げてしまうというのは、まさに大負けの典型的なパターンです。

株で失敗する典型例2:一喜一憂する

相場は水物で、株価は常に上下を繰り返しています。そこから利益を狙っていくのですから、株価が上下することは理解しているはずです。しかし人間心理として株価が上がれば喜び、下がれば恐怖を感じます。こうして一喜一憂するあまり、相場に振り回されてしまって冷静な判断ができなくなるのはきわめて危険です。

相場の世界には「プロスペクト理論」と呼ばれる損失回避の法則があります。損失を回避したいあまりにわずかな利益であってもすぐに確定をしてしまい、逆に損失が出るとそれを一刻も早く取り戻したい一心で無茶なトレードをしてしまうことをいいます。理想とされる「損小利大」とは真逆の思考なので、株で損をする大きな原因となります。

株で失敗する典型例3:価値ではなく価格に翻弄される

株で儲けるためには株価に敏感になる必要があるのですが、それゆえに株価にばかり関心を持ってしまうのは失敗のもとです。企業には価値があり、株価はそれを反映したものです。しかし株価は常に変動しており、本来の企業価値よりも割安になることもあります。そんなときこそ投資のチャンスですが、株価にばかり目を奪われてしまうと価値を見失ってしまいます。

株式投資の本質は、企業価値への投資です。この原点を見失わないようにしましょう。

株で失敗する典型例4:理由もなく売買する

株を買い、そして売るという投資行動には必ず理由や根拠が必要です。一時的に株価が下がっている様子を見て慌てて買うといった投資行動に心当たりがある方は、その投資にどんな理由があったか思い出せない人が多いのではないでしょうか。

一時的に株価が下がっているから飛びついたものの、長期的に見たらまだまだ高値圏で高値掴みをしてしまったという失敗例は数えきれません。投資判断には必ず、なぜその銘柄なのか、なぜその価格なのか、そしてどうなったら手仕舞いをするのかという戦略が不可欠です。

株で失敗する典型例5:人任せにする

投資は自己責任で、というのはさまざまな投資本や教材などに登場する注意書きです。これだけ各方面で口酸っぱく注意喚起されるのは、自己判断ではない投資はきわめて危険だからです。

先ほど投資には理由や根拠が必要であると述べました。それらは自分で相場や外部環境を分析した結果下した判断であり、それに基づいた投資であれば自己責任といえます。しかし、他人から聞いたことを鵜呑みにする投資は理由や根拠がブラックボックスのままです。想定外の展開になったときに対処ができませんし、負けたときになぜ負けたのかも検証できません。投資を人任せにするのは絶対にやめるべきであると認識しておきましょう。

株で失敗する典型例6:資金管理が疎かになっている

投資はお金を増やすための方法論です。お金を増やすことが「攻め」であれば、それと双璧となる「守り」は資金管理です。手持ち資金のうちいくらまでを株式投資に回すのか、その資金でどれだけのリスクを取れるのかといった資金管理をしなければ、いつしか株式投資はギャンブルのようになってしまいます。

資金管理に基づかない投資は感情的になりやすく、また歯止めが利かなくなってしまうため、とても危険です。どれだけのお金でどれだけのリスクを取るのか、そして最悪の事態になったときにどう資産を守るかといった戦略を立てたうえで投資に臨みましょう。

株で失敗する典型例7:売買ルールが無い

売買ルールとは、「いくらになったら買って、いくらになったら売る」、そして「いくらになってしまったら損切りをする」というルールのことです。このなかでどれが最も重要かというと、言うまでもなく損切りです。

損切りのルールを設定して、それを正確に実行することが重要です。損切りの水準に近づいてきたときに「もしかしたら値を戻すかも」と思って勝手にルールを変えてしまうのはプロスペクト理論そのものですが、ここで冷徹に損切りができる投資家はトータルで利益を残していける人だと思います。

株で失敗する典型例8:SNSや雑誌で紹介された銘柄に飛びつく

株の世界には情報過多と思えるほど、実に多くの情報が乱れ飛んでいます。情報の質は玉石混交で、怪しげな情報も少なからずあります。このような情報に飛びついて売買をしてしまうのは、他人任せの投資をしているのと同様のリスクを伴います。

株で失敗する典型例9:無駄な短期売買を繰り返している

デイトレードやスキャルピングといった短期売買の手法で大きな利益を上げている投資家の話を見聞きすることは多いかもしれませんが、だからといって短期売買をするだけで勝率が高くなるわけではありません。売買をするたびに手数料は発生しますし、1,000円の利益を10回積み重ねるよりも1万円の利益を1度に取れるほうが効率的です。最初に立てた売買戦略を放棄して、無駄な短期売買を繰り返すのは失敗のもとです。

株で失敗する典型例10:取引の振り返りをしていない(振り返りができない売買)

理由や根拠のあるトレードであれば、成功しても失敗してもあとで振り返りができるはずです。なぜ成功したのか、なぜ失敗したのかを検証することでトレードの技術はどんどん磨かれていきます。しかし、理由や根拠に乏しい山勘トレードだと振り返りをしないでしょうし、振り返ろうにもそれができません。そしていつか山勘トレードで大きな損失を出してしまうことになります。

株で失敗する典型例11:リスクの高いマザーズなどの新興銘柄への投資が多い

値動きの幅のことをボラティリティといいます。ボラティリティが高いほど利益を出せるチャンスは多くなりますが、逆に損失のリスクも膨らみます。東証マザーズなどベンチャー市場に上場されている銘柄は全体的にボラティリティが高いので、あまり欲張ってこうした銘柄にばかり手を出すのは大損のリスクも高めてしまいます。

株で儲かっている人の特徴8パターン

株で負ける人の典型的な11パターンをご紹介しましたが、次に儲かっている人、勝っている人の特徴を8つのパターンにまとめました。

株で儲かっている人の特徴1:勉強熱心

投資は知識と経験の世界です。株式投資は簡単に始めることができますが、そこから先は勉強をできるかどうかで進む道が大きく変わります。新しい知識をどんどん吸収して過去のトレードから学んでいける人は技術が向上し、しっかりと利益を出していけるようになります。成功している投資家のなかに、偶然成功した人は1人としていないはずです。

株で儲かっている人の特徴2:人から勧められても自分で調べる(自己責任)

他人任せの投資はNGであると述べました。しかし、他人から勧められたりSNSなどで見聞きした情報であっても、それを自分で調べて考え、判断したうえでの投資であれば問題はありません。このとき、自分で考えるためには知識や経験が必要になるので、それを養っているかどうかが自己責任の質を決めます。

株で儲かっている人の特徴3:銘柄選定理由が明確

膨大な数の銘柄から投資する銘柄を選んだことには、何か理由があるはずです。その理由が明確であるか、そして自分で構築した哲学に合致したものであるかが重要です。銘柄の選定理由を尋ねられたときに、しっかりと答えられるかどうかを判断基準にしてください。

株で儲かっている人の特徴4:売買の反省を怠らない

トレードの振り返りが重要であると述べたように、特に失敗したときの反省は今後の糧となります。まさに、「失敗は成功の母」です。なぜ失敗したのか、どこがいけなかったのかがわかれば、次からそれを繰り返さなければ自ずとトレードの技術はどんどん上達します。

株で儲かっている人の特徴5:企業価値にお金を投じ、株価の変動に一喜一憂しない

株価は市場からの評価であり、その企業の価値をいつでも正確に反映しているとは限りません。投機的な資金が流入することでバブルに近いような株価をつけることもありますし、その逆もあります。重要なのは企業価値を見極める力であり、それに裏づけられた投資であれば目先の株価変動に一喜一憂はしないはずです。

株で儲かっている人の特徴6:間違ったと思ったらすぐに180度意見・行動を変える

投資に失敗は付き物なので、重要なのはそこでどうするかです。失敗を認めず「いつかは株価が戻る」という願望のもとに塩漬けをするのは人間心理としてありがちなのですが、ここで相場分析を見誤っていたことを率直に求め、180度の方向転換ができる人は損切りも躊躇なくできます。その結果、大損を回避して利益を出すべきときにはしっかりと利益を出せるようになります。

株で儲かっている人の特徴7:資金管理、リスク管理が徹底している

資金管理とはリスク管理であると言い換えることができます。相場は経済や社会のさまざまな事象を織り込みながら常に動いています。ときには突発的な大事件の影響を受けて大きく動くことがありますし、「コロナショック」のような大暴落が起きることもあります。その「まさか」にしっかり備えるために欠かせないのが、資金管理です。

資金に十分な余裕をもって投資をすることで、こうした「まさか」が現実になっても資金の大部分を守ることができます。長期的な投資をしていると必ず「まさか」を何度も経験することになるので、それにしっかり備えられる人は市場から退場させられることなく利益を残しています。

株で儲かっている人の特徴8:得意な領域で勝負をする

株式投資の方針や方向性は、投資家によって千差万別です。そして結果を出している投資家には必ず、自身の得意な勝ちパターンがあります。どんな分野(セクター)の銘柄に投資をするのか、どのタイミングを狙うのか、どの市場を主戦場にするのか……といった具合に、自分の得意な土俵で勝負するのが勝つための王道です。

まとめ:失敗するパターンを知るだけでも成功に近づく

株で儲かる仕組み自体はとてもシンプルなのですが、それならすべての投資家が勝っているのかというと、大部分の投資家が負けているという現実があります。しかしそれは典型的な負けパターンにはまってしまっていることも多く、それを回避すれば勝率はぐっと高くなります。

当記事では株で利益を上げている人の8つの特徴も解説しました。これを1つでも多く実践することで勝率を高めていくことができるので、ぜひ行動に移してみてください。

文・田中タスク
エンジニアやWeb制作などIT系の職種を経験した後にFXと出会う。初心者として少額取引を実践しながらファンダメンタルやテクニカル分析を学び、自らの投資スタイルを確立。FXだけでなく日米のETFや現物株、商品などの投資に進出し、長期的な視野に立った資産運用のノウハウを伝える記事制作に取り組む。初心者向けの資産運用アドバイスにも注力、安心の老後を迎えるために必要なマネーリテラシー向上の必要性を発信中。