中国株には世界的に有名な銘柄や、将来性が期待できる銘柄が多く存在します。配当金が高い点も魅力の1つでしょう。この記事では、メリットに加えて中国株ならではのデメリット(注意点)もお伝えしながら、中国株への投資ができるネット証券や、配当利回りランキングを紹介します。
目次
中国株に投資する魅力やメリットとは?
まずは、中国株ならではのメリットをお伝えしていきましょう。中国株にはなんとなく手が出しにくい……と考えている人も、中国株のメリットを知れば、投資してみたくなるかもしれません。日本株との違いもお伝えしていきます。
中国株に投資するメリット1:成長性著しい企業が多い
2019年のIMF(国際通貨基金)の統計によると、中国のGDP(国内総生産)は米国に次いで2位と高く、なおかつ過去数年にわたり成長を続けています。中国株にはアリババ、テンセントといった規模が大きく世界的に有名な企業銘柄が存在しているのもポイントです。
さらに、「ユニコーン」とよばれる設立10年以内かつ企業評価額が10億ドル以上の未上場ベンチャー企業やニューエコノミーの発展も目覚ましく、今後も市場の成長が予想されます。
中国株に投資するメリット2:日本市場とほぼ同時間帯に取引ができる
中国株の魅力は、日本の株式取引時間とほぼ同じ時間帯で取引ができるポイントも挙げられるでしょう。中国と日本の時差は1時間なので、株価が大きく変動するような事態が起こっても、ほとんどのケースで株式取引時間内にタイムリーに対応することができます。これは、欧米株にはないメリットです。
中国株に投資するメリット3:配当金が高い
中国株の特徴として、年に1度の期末配当だけである企業が多い、配当金が高い、というポイントが挙げられます。配当金に関しては、日本株と比べても高い水準で、5%以上の高配当を期待できる銘柄もあり、魅力が大きいといえるでしょう。中国株のなかでも特に銀行は配当利回りが高く、預金金利を上回るよう設定され、配当が継続的に出されているので注目です。
なかでも中国銀行(バンク・オブ・チャイナ)や中国工商銀行(インダストリアル・アンド・コマーシャル・バンク)、中国農業銀行(アグリカルチュラル・バンク・オブ・チャイナ)、中国建設銀行(チャイナ・コンストラクション・バンク)からなる中国四大銀行は、総資産額の高さからも評価されています。
ちなみに、香港証券取引所のほとんどの株式銘柄は、日本の株式と違って配当金に対して現地での税金が発生しないポイントもメリットといえるでしょう。
ただ、気をつけておきたいのは、中国企業の権利確定日です。日本企業の場合、決算日と権利確定日が一致する場合が多いのですが、中国企業の場合は異なるので注意が必要です。年に一度の配当を受け取るためには、銘柄ごとに発表される配当スケジュールを確認し、権利付最終日までに株式を購入しておく必要があります。売却する場合は、必ず権利付最終日が過ぎたことを確認しましょう。
中国株に投資する際に知っておきたい基礎知識
中国株の取引は、上海証券取引所、深セン証券取引所、香港証券取引所の3つで行われており、それぞれで銘柄の種類はもちろん、取引通貨が違うのが特徴です。外国株の取引には、株価だけでなく外国為替の変動も大きくかかわります。中国株を取引する際に、まずはそれぞれの市場の株式の種類や取引通貨をチェックしていきましょう。
中国本土の証券取引所は2つで、それぞれ「A株」と「B株」がある
中国本土の株式は、上海証券取引所と深セン証券取引所で取引されています。どちらの市場にもA株、B株という種類があり、A株はもともと中国人投資家のみが取引可能な株式で、B株は外国人投資家も取引可能な株式でした。現在は、A株の一部銘柄に関しては外国人投資家も取引可能です。
取引通貨は、A株は人民元、B株に関しては上海証券取引所では米ドル、深セン証券取引所では香港ドルとなっています。
▽上海証券取引所と深セン証券取引所各市場における取引通貨の違い
上海証券取引所 | 深セン証券取引所 | ||
---|---|---|---|
A株 | B株 | A株 | B株 |
人民元 | 米ドル | 人民元 | 香港ドル |
香港市場には「香港株」「H株」「レッドチップ」がある
香港の香港証券取引所にはメインボード市場と成長企業向けのGEM市場というものがあり、それぞれ「香港株」「H株」「レッドチップ」という3種類の株式が扱われています。どれも香港ドルでの取引です。
香港株とは、香港にある企業や、香港証券取引所に上場する外国企業の銘柄のことで、H株とは中国の本土で登記されていて香港証券取引所に上場する企業の銘柄をさします。また、レッドチップとは中国の本土以外で登記された、中国資本の企業銘柄のことです。
▽香港証券取引所の市場の種類と取引通貨
香港証券取引所 | ||
---|---|---|
香港株 | H株 | レッドチップ |
香港企業や海外企業 | 登記・資本が中国本土の企業 | 登記は中国本土以外、資本は中国の企業 |
香港ドル |
中国株に投資する際の注意点
中国株にはメリットもありますが、デメリットや注意点もあります。具体的には、値動きが大きい、情報収集が難しい、国策の影響を受けやすい、為替リスクがある、などです。これらをふまえて、中国株へ投資する際に気をつけたいポイントを解説していきます。
中国株に投資する際の注意点1:値動きが大きい
中国株の特徴として、日本株よりも値動きの幅が大きいというポイントが挙げられます。こちらは、キャピタルゲインを得るために活発に取引をしたい人にとってはメリットとなりますが、注意深く市場を観察しておく必要性や、株価が大きく暴落する可能性がある面においてはデメリットとなるポイントでしょう。
中国株に投資する際の注意点2:情報収集がしづらい
中国銘柄に限らず、外国銘柄への投資でネックとなるポイントが情報収集のしづらさです。海外のニュースや企業情報はインターネットの普及にともない得やすくなっていますが、日本銘柄の取引よりは情報収集が難しく感じるでしょう。
値動きが激しい中国株の取引は、情報を得ることが大切です。解決策としては、海外のニュースに気を配る、証券会社の情報やレポートをまめにチェックする、といった方法が挙げられます。証券会社の分析ツールなどの情報を活用するのもよいでしょう。
中国株に投資する際の注意点3:国策の影響を受けやすい
中国は共産党の一党体制で、中国政府の一存により政策が左右され、国策として企業に介入することもある点が特徴であり、日本株とは異なる側面があります。中国株は国策の影響をダイレクトに受けやすいのです。また、米国との関係が中国経済に影響を与えることもあるので、安定した投資には幅広く情報を収集することが求められます。
2021年のはじめにアリババやテンセントといった有名銘柄の株価が急落しました。国際的な問題や、これらの企業への米国人の投資が禁止されるのではないか、という米国の政策に関する懸念があり、売り注文が殺到したという背景があります。このような市場の動きにそなえて、海外ニュースにも気を配ることが重要です。
中国株に投資する際の注意点4:外国株特有のリスクがある
外国株に共通する注意点ですが、中国株を購入するには、市場の取引通貨に合わせて取引口座に資金を用意する必要があり、人民元、米ドル、香港ドル、いずれにしても、投資時のコストには、為替手数料がかかります。
証券会社によっては日本円で投資できる場合もありますが、買付、売却、どちらかで為替手数料が発生します。また、為替の変動リスク以外にも、信用に関するリスクや情報開示リスク、流動性リスク、カントリーリスクなどがあります。
中国企業に投資をする方法を解説
中国株にはデメリットもあることをお伝えしましたが、成長を期待できる市場である中国株の取引にはメリットが多いのも事実です。リスクを把握したうえで、魅力を感じる場合はぜひ中国企業への投資にチャレンジしてみましょう。ここからは中国株への具体的な投資方法を紹介します。
中国株式を扱う証券会社で証券口座を開設して投資しよう
中国株の購入には、中国株を扱う外国株式口座の開設が必要です。値動きが大きいという特徴がある中国株は、リアルタイムで取引ができるネット証券での口座開設が便利でしょう。証券会社により、取引できる銘柄が違うので、目当ての銘柄があるようであれば、口座開設前に確認しておくことが重要です。
外国株式口座を開設したら、取引株式の種類に合わせて通貨を入金します。あとは銘柄を選定して投資をするだけです。銘柄に迷ったら、ネット証券などで紹介されている人気銘柄や、配当利回りランキングなどを参考にするのもよいでしょう。
中国銘柄に投資ができる証券会社
中国株への投資ができる3つのネット証券の特徴をピックアップして紹介します。マネックス証券、SBI証券、楽天証券、それぞれの強みを見ていきましょう。
・マネックス証券
テンセントや中国銀行といった銘柄を扱い、銘柄数が2,000以上という豊富さが特徴です。香港証券取引所に上場する銘柄のほとんどを購入することができます。特定口座での取引も可能で、購入の際は香港ドルに振替せずに円での注文もできます。
手数料は約定金額(香港ドル)の0.275%(税込)となっていて、業界内でも低い水準です。多くの銘柄のなかから購入銘柄を選びたい人は、マネックス証券を選ぶとよいでしょう。
・SBI証券
香港証券取引所に上場する企業の中から選定された銘柄を購入することができます。「香港ドルでの外貨決済」または、「日本円での円貨決済」からニーズに合った決済方法を選択でき、NISA口座や特定口座での買付も可能です。手数料は約定金額(香港ドル)の0.286%(税込)という低い水準となっています。
NISA口座を活用して中国株に投資したいという人に向いているネット証券です。また中国株のみならず、米国株、韓国株、ロシア株、ベトナム株、インドネシア株、シンガポール株、タイ株、マレーシア株といった豊富な外国株式市場へのアクセスが可能なので、中国株と併せてほかの外国株にチャレンジしたい人にもおすすめできます。
・楽天証券
香港証券取引所に上場している銘柄と上海証券取引所A株に上場している銘柄などを扱っていてその種類は900銘柄以上です(2021年1月時点)。特定口座やNISA口座を使用して取引することもできます。人民元や香港ドルを使用せず、日本円で買付ができるのもポイントで、手数料は10万円までの取引であれば550円(税込)、10万円以上100万円未満の取引であれば約定代金の0.55%(税込)です。
楽天証券は、投資レポートが充実しているので、情報をじっくり見比べながら購入株式を選定したい人や、レポートを参考に活発に取引をしたい人に向いているネット証券でしょう。
中国企業の配当利回りランキングトップ10
前項でもふれましたが、株式の銘柄を選ぶ際は、配当利回りを参考にするという手段があります。中国株のなかでも日本人投資家からの注目度が高い香港市場から、配当利回りがよい銘柄ランキングトップ10を紹介しましょう。
香港株の配当利回りトップ10
順位 | 銘柄 | 配当利回り |
---|---|---|
1 | 泰昇集団(687) | 677.50% |
2 | 雷士国際(2222) | 572.29% |
3 | 童園国際(3830) | 76.92% |
4 | コンビニエンス・アジア(831) | 64.79% |
5 | バウハウス(483) | 58.62% |
6 | 貴聯控股(1008) | 53.14% |
7 | 耀才証券(1428) | 49.54% |
8 | 碧生源(926) | 38.60% |
9 | 新華匯富金融(188) | 31.17% |
10 | 中華汽車(26) | 28.22% |
2021年1月25日現在
中国株には配当利回り5%以上の銘柄が多い
ランキングを見ると、配当利回りが2桁以上とかなり高い水準であることが分かります。中国株にはほかにも配当利回りが高い企業が多く存在し、配当利回り5%以上の銘柄も多いのが特徴です。記事冒頭で紹介した中国四大銀行(中国銀行、中国工商銀行、中国農業銀行、中国建設銀行)も配当利回りが高く注目されています。
投資をする際は、業績・PER・負債比率なども確認したい
投資をする際は、配当利回りも注目ポイントですが、企業自体の業績や財務内容も確認して、企業の安定性も鑑みながら総合的に判断することが大切です。特に長期保有を考えている場合は、1株あたりの純利益であるPER(株価収益率)や、負債比率なども確認して、購入すべきかどうかを見極めましょう。
まとめ:成長性著しい中国株に投資をしてみよう
中国株には、アリババやテンセントなど世界的にも有名な企業銘柄が多くあります。中国株の取引市場には上海証券取引所、深セン証券取引所、香港証券取引所という3つがありますが、日本では香港株がポピュラーで購入しやすく、ネット証券での口座開設が便利です。
中国株のなかには、配当利回りが5%以上といった魅力的な銘柄が多いものの、安易に飛びつかず、業績なども考慮して購入の判断をしましょう。中国株は日本にいながら時差をほぼ感じずに株取引ができるメリットもあります。外国株に興味がある人は、ぜひ中国株を検討してみてください。
執筆者:青山 香
企業にて営業職、秘書職を経験し、現在はライターとして活動中。暮らしに関わるお金や保険商品の知識を得るためにFP3級を取得。投資にも関心を持ち、運用を始めている。自分自身の学びも活かしながら情報を伝えられるように心がけている。