普段の消費では円を使うため日本円を保有しておく必要はありますが、長い期間で「資産としての円」を考えた場合、「円」だけを保有するのはリスクになる可能性があります。今回は円以外の通貨を持っておいたほうがいい理由を、3点に絞って説明します。

日本での資産形成を考えてみると

金融
(画像= metamorworks/stock.adobe.com)

日本に滞在している人が日本で資産を増やそうと思った時、どのような候補があるのでしょうか。円で資産形成する場合に、一番身近なのが「現金・預金」だと思います。では現在、預金すると金利はいくらになるのでしょうか。大手都市銀行・地銀ともに普通預金の金利は「0.001%」となっています。また、2019年1月21日現在、日本10年国債は年利回り約0.005%となっています。

では、海外の国債利回りはどうでしょうか。2019年1月21日時点でアメリカ10年国債の年利回りは2.7%台を推移、イギリスは1.3%台、シンガポールで2.2%台と、各国の中で日本は非常に低い利率となっています。日本での資産形成を考えると「株式」「投資信託」などがありますが、日本国内での資産形成は利回りの低さがデメリットとしてあります。

日本人は「金融資産」より「現金・預金」が好き

日本人は昔から金融資産の比率よりも現金・預金比率が高いと言われています。日本銀行の「資金循環の日米欧比較」によると、日本の家計の金融資産のうち、現金・預金の占める割合は51.5%となっています。実に総資産のうち、932兆円が現金・預金として保有されているのです。

アメリカとヨーロッパエリアとも比べてみましょう。アメリカは現金・預金約13.4%、ヨーロッパは比較的大きく約33.2%となっており、日本の現金・預金比率が大きいことがよく分かります。

日本は今後、インフレ率2%を目指していることから、将来的に今よりも円の価値が低下していくと考えられています。現金の価値が銀行預金の金利以上に目減りして、円の価値が落ちていく可能性がある点には注意が必要でしょう。さらに、2048年には人口が1億人を下回る推計も出ているため、税収低下、生産性低下からくる国力低下が起きる可能性もあります。

今後は円以外の資産所持が必要となる?

日本の少子高齢化が進み、債務残高がふくれることでいったいどうなってしまうのか、不安に感じる方もいるかもしれません。そんな方におすすめなのが「外貨預金」です。

円だけを持っていると、日本経済の動向が判断材料の全てとなってしまいますが、外貨を持っていれば所持している通貨の好景気に乗ることができますし、海外に滞在する際にもキャッシュとして利用することができます。

かなり相場変動する年もありますので、円安になった年に円に変更することで為替差益を得ることもできるでしょう。日本の今後を不安に感じるところがあるのであれば、円だけではなく複数の通貨を所持してみるのはいかがでしょうか。ただし、円高に振れた場合は資産が減ってしまうことになるので、その点はリスクとして理解しておきましょう。

今後が予想できないからこその分散投資

現金はいざという時に必要ではありますが、万が一のことがなかった場合には、銀行に預けて少ない金利を得るだけの資産となってしまいます。日本がこのまま豊かであればいいのですが、未来がどうなるのかは分かりません。「老後破産」や「年金問題」など今後に不安を感じるニュースも多く見受けられます。

現在は円だけの預金で特に問題がなかったとしても、円以外の通貨を所持することでリスク分散させることができます。リスクヘッジとして「海外資産形成」を検討してみてはいかがでしょうか。