国税庁の「民間給与実態調査(2018年分)」によると、年間給与1,000万円以上は全体の5%、同2,500万円以上は全体の0.3%となっており、年収1,000万円プレーヤーは極めて少数といえます。さらに、年収3,000万円となれば、上場企業役員の年収中位に位置し、5,000万円といえば常務以上のレベルです(「みずほインサイト2019年9月9日」より)。

そんなアッパー層は、時間の浪費を嫌います。カウチポテトやスマホゲームなどに時間を費やすことはなく、多忙な時間を縫って趣味やスキルアップに余念がありません。

今回はアッパー層がハマっている「大人の習い事」について紹介します。

金融

(画像= Lukas Gojda/stock.adobe.com)

スーパーリッチの「ゴルフライフ」は一味違う

会員数は少数精鋭、メンバーには著名人がズラリ、年会費は準会員で税別90万円(2019年11月現在、正会員の募集は停止)、そんなハイグレードなゴルフクラブが茨城県にある「イーグルポイントゴルフクラブ」です。

ゴルフ場の入り口には門番が立ち、予約名簿を確認してから開門する高いセキュリティー、クラブハウスではポーターがキャディーバッグを下ろしてくれます。入り口では毛並みのきれいなラブラドール・レトリバーがお出迎え、レストランにはワインセラー常設、アドバイザーには片山晋呉プロが名を連ねるという豪華ぶりです。

イーグルポイントがニューリッチの牙城とすれば、オールドリッチは茅ヶ崎の「スリーハンドレッド」です。1962年に東急が設立した同クラブの入会資格は「政治家なら首相・大臣経験者、財界人は50歳以上の上場企業役員」とされており、会員数も300名に絞った、まさに超エリートご用達のゴルフクラブです。

スコアアップを目指したレッスンも一味違います。アッパー層に人気のレッスンプロ、江連忠(えづれ・ただし)プロが主宰するゴルフアカデミーでは、48回のインドアレッスンとラウンドを通じて「江連理論」を修得します。年会費は全日会員で85万円ですが、真剣にゴルフと向き合う時間から得られる価値は、料金に十分見合うのかもしれません。

アドレナリンを上げる!ハードな趣味にハマる

欧米ではプライベートジェットを所有するだけでなく、自ら操縦して余暇を楽しむアッパー層も少なくありません。日本でも「青空を自由に飛び回る」は実現できます。ハードルが高いイメージですが、工学・航法など5教科と実技の合格で免許を取得できる点は車と似ています。もちろん一足飛びにジェット機というわけにはいかず、まずはレシプロ単発機(いわゆるセスナ機)の免許を取得します。

取得費用は500万円前後ほどかかります。機体の費用は、3~4名乗りのセスナ機で約3,000万円と、比較的リーズナブルです。

ハードな山への登頂も、チャレンジ精神をかき立てられる世界です。中でも海外の高山への山行はハイクラスのビジネスパーソンに人気です。キナバル、キリマンジャロ、エベレストなど、世界の名峰に登ることは大きなチャレンジになります。費用はエベレストツアーが一人600万円(59日間)など。

この他にもスカイダイビング、サーフトリップ、トライアスロン、トローリングといったアドレナリンが上がるハードな趣味にのめり込むアッパー層が多いようです。

伝統芸能を学ぶビジネスパーソンが増えている

コミュニケーションを学ぶ、日々の喧騒から離れて自分を知る、先人が築いてきた伝統に触れる。さまざまな目的で茶道・日本舞踊・華道といった伝統芸能を習うビジネスパーソンが増えています。

茶道でいえば、外資系コンサルティング会社が有志で茶道部を立ち上げたといった動きもあります。懐石料理人を呼んだ茶会が人気を集めたり、日本橋や銀座といったビジネスエリアに教室ができたりと、厳格なイメージが強かったお茶の世界も最近は変わりつつあります。

釜・茶器・茶碗・茶杓といった美術品としての価値もある茶道具に凝るアッパー層も少なくありません。中には、路地・躙り口・水屋など本格的な建築様式で茶室を作り、お茶会を自宅で催す趣味人もいるようです。

スーパーリッチな習い事でランクアップを目指す

趣味や習い事は、生半可でなく本格的に取り組むと違った世界が見えてきます。自分を高めると同時に、社交に役立つことも少なからずあるものです。それが巡りめぐって実益にもつながるかもしれない「大人の習い事」の世界に、足を踏み入れてみるのもいいかもしれません。