その人が富裕層であることを外見から見抜くのはなかなか難しいものです。見る人が見れば明らかに高級品であるとわかるものと言えば、「時計」がその一つに挙げられるでしょう。ビジネスマンであれば、誰かと対面した際に「高そうな時計をしているな」などという感想から、その人が富裕層であると認識した経験があるのではないでしょうか。ここでは、富裕層の趣味の一つとして数えられる「時計」についてお話しましょう。

デイトナの買取価格は2年半で50%も値上がり!

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(画像= beeboysyNivens/stock.adobe.com)

よく「靴と時計を見ればその人がお金持ちであるかがわかる」などと言われます。しかし、本当の富裕層は徒歩で移動することは少ないので、無頓着な人も少なくないようです。一方、時計は人と相対する際には必ず目に入るもの。時計はパッと目に入るものであるため、お金をかけることで相手に自分のステータスを知らせることができるツールの一つになり得ます。

日本で「高級時計」といえば、まずロレックスを頭に浮かべる人が圧倒的に多いでしょう。確かに、日本では売上、知名度ともにロレックスが圧倒的。デパートの高級時計売り場などを覗いても、ズラリと並ぶロレックスを目にすることができます。

ある高級時計店における「ロレックスの人気ランキング(2019年)」によると、1位は15年以上のロングセラーを誇る「コスモグラフ デイトナ」。ロレックスの中でもひときわ人気が高いモデルで、近年は買取価格の上昇が続いていました。東京銀座にある時計専門店「RASIN」では、デイトナの中でも一番人気の「116500LN ホワイト文字盤モデル」の平均買取価格は、2017年1月に181万円だったのが、2018年1月には213万円、2019年6月時点には272万円まで値上がりしています。ちなみに、「116500LN」は2020年1月に買取価格が238万円まで値下がりする一方、いまだに値上がりが続くモデルもあるなど、モデルによって値動きにも差が出ているようです。

世界のセレブに人気の新興ブランドも

実は、「ロレックス」が世界最高の時計ブランドかというと、そういうわけでもありません。“世界最高峰”の名を冠するブランドとして挙げられるのは、まず「パテック・フィリップ」、「ヴァシュロン・コンスタンタン」、「オーデマ・ピゲ」の3つ。ヴァシュロン・コンスタンタンは1700年代半ば、パテック・フィリップは1800年代前半に創業した老舗で、現在でも高い人気を得ています。パテック・フィリップは「自社製品の永久的な修理」を掲げていますから、“一生もの”と呼べるのにふさわしい時計です。

前述の店舗において、パテック・フィリップのスポーツウォッチ「ノーチラス」の買取価格は2020年1月現在で750万円~1000万円程度(定価は350万円~500万円程度)。同じ店の「デイトナ」の買取価格をはるかに上回っています。この3つのブランドは日本ではさほど知名度はないかもしれませんが、世界では「3大高級時計ブランド」と定義されるほど著名です。ほかに、老舗では「ランゲ&ゾーネ」、「ブレゲ」、「ブランパン」、新興勢力としては「フランクミューラー」や「ウブロ」、「リシャール・ミル」などが世界的な高級時計ブランドとして挙げられます。

1979年に誕生した「ウブロ」や、2001年に最初のラインナップが発表された「リシャール・ミル」は、メタリックで現代的なデザインが特徴的。世界的なプロテニスプレイヤーのラファエル・ナダルさんや、つい先日ヘリコプターの事故で亡くなったアメリカプロバスケットボール(NBA)のスター選手、コービー・ブライアントさんが愛用するなど、昨今、セレブの間では高い人気を博しています。

世界のトレンドや保存状態にもよりますが、人気の高級時計は価格が値下がりしづらいため、「資産」としての側面も併せ持ちます。メルセデス・ベンツのGクラスなど高級車も価格が値下がりしづらいとされますが、資産としてはそうした高級車と似た部分がありそうです。これら高級ブランドの時計をいくつも所有している場合、単なる浪費家なのではなく、「投資」という観点で時計を捉えている人なのかもしれません。