1,000万円の余裕資金があったとしたら、株式と不動産のどちらに投資をしますか?投資先に悩んでいる人はシミュレーションをすることで、具体的な投資イメージが持てるかもしれません。いくつかのシミュレーションを参考に、投資前の不安を取り除きましょう。
株式投資の平均配当利回りは2.5%前後。売却益も狙おう
株式投資は、企業が発行する株式に投資を行い、配当や株主優待・売却益を狙う投資方法です。日本取引所グループによると、東証第1部上場企業の配当利回りの平均は2.5%前後となっています。
1,000万円投資したらどうなる?シミュレーションを確認
年間2.5%の配当を出している銘柄に、1,000万円を投資したとします。5年間保有後に売却した場合のシミュレーションを、3つ見ていきましょう。なお、実際の配当金額は業績などにより変動しますが、ここでは2.5%の配当を5年間受け取れたものとして計算します。
ケース | 利益の総額 | 総合利回り(配当と売却損益を合わせた利回り) |
1.購入時と同程度の株価で売却 | 125万円 (25万円×5年) |
2.5% (125万円÷5年÷1,000万円) |
2.時価が1,100万円に上昇した時点で売却 | 225万円 (25万円×5年+100万円) |
4.5% (225万円÷5年÷1,000万円) |
3.時価が900万円に下がった時点で売却 | 25万円 (25万円×5年-100万円) |
0.5% (25万円÷5年÷1,000万円) |
投資資金が100万円の場合はどうなる?
100万円で株式投資を行う場合、株価が安い銘柄も選択肢となるでしょう。東証第1部の株価の平均は2,000円ほどですが、東証第2部の株価の平均は1,200円程度です。そこで、ここでは東証第2部の平均配当利回りの1.7%をもとに、100万円を5年間投資したケースでシミュレーションをします。
ケース | 利益の総額 | 総合利回り |
1.購入時と同程度の株価で売却 | 8万5,000円 (1万7,000円×5年) |
1.7% (8万5,000円÷5年÷100万円) |
2.時価が110万円に上昇した時点で売却 | 18万5,000円 (1万7,000円×5年+10万円) |
3.7% (18万5,000円÷5年÷100万円) |
3.時価が90万円に下がった時点で売却 | -1万5,000円 (1万7,000円×5年-10万円) |
-0.3% (-1万5,000円÷5年÷100万円) |
不動産投資の収入源は賃貸料。平均利回りは4%程度
不動産投資の主な収入源は、賃貸料です。日本不動産研究所が発表した2020年4月の「不動産投資家調査®」によると、東京都内の賃貸住宅1棟の実質利回りは3.9~4.2%となっています。
1,000万円を投資した場合のシミュレーションは?
1,000万円の資金があれば、投資家自身で不動産を購入し賃貸経営することも可能です。1,000万円の不動産に投資し、4%の利益を得た場合の年間収入額は40万円です。5年間での合計収入は200万円になります。ただ、不動産投資は一般的に長期での投資を目指すので、仮に20年間運用したとすると利益総額は800万円にのぼる可能性もあります。
不動産も株式と同様に、価格変動により投資資産の価値が増減します。そのため、地価が高まるなど購入時よりも価格が上昇している場合に売りに出せば、売却益が得られるでしょう。一方で、値下がりしたタイミングだと売却損が発生する点には注意しましょう。売買による影響を抑えるためには、仮に売却損が発生しても相殺できるだけの賃貸収入を積み上げることが大切です。
REITや不動産小口化商品を活用すれば、100万円でも不動産投資できる
100万円で不動産投資をするなら、選択肢としてREIT(リート:不動産投資信託)や不動産小口化商品を検討してみましょう。REITや不動産小口化商品は、物件選びや維持管理を専門家に任せられる一方、手数料分の利回りが低くなります。仮に、3%の配当で5年間運用した場合の利益総額は15万円、長期投資で20年間運用した場合の利益総額は60万円になります。
なお、REITや不動産小口化商品も値動きにより資産の価値が増減します。一般的に不動産は株式よりも値動きの幅が小さいといわれますが、証券取引所で売買されるREITは、株や債券と同様に毎日価格が変動する点には注意しましょう。もちろんREITも投資信託ですので、購入時より価値が高まっている時点で売却すれば、売却益を得ることができます。
大切なのはシミュレーションをもとにした投資スタイルの明確化
同じ金額を投資するにしても、株に投資するか不動産に投資するかで、投資方法や1年間で得られるリターンに違いが出ます。シミュレーションをもとに投資家に合った投資スタイルを選ぶことが、無理なく投資を続け、リターンを増やしていくための最大のポイントとなるでしょう。
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