主要ネット証券の1つである楽天証券は、2019~2020年にかけて口座開設数を大きく伸ばした証券会社です。では、楽天証券で口座を開設すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。注意点や口座開設までの手順と併せて確認しましょう。
目次
主要ネット証券の1つである楽天証券はどのような証券会社か?
楽天証券は、楽天グループに属するネット証券です。ここではまず、楽天証券の基本事項を確認しましょう。
2019年新規口座開設数ナンバー1のネット証券
楽天証券は1999年の設立以来、インターネットを利用した株式や債券などの有価証券の売買および取次業務を行ってきました。2019年の新規口座開設数はネット証券最多となっており、2020年3月時点の口座数は400万を超えています。
2020年3月時点における年代別口座開設数の割合は、40代以下が82.9%を占めています。また、投資初心者の割合は、72.3%にのぼります。楽天証券は、比較的年齢が若く、初めて投資にチャレンジする人に選ばれることが多い証券会社といえるでしょう。
ネット証券の特徴は?店舗型証券会社との違いも確認
楽天証券のように、オンラインでの取引を専業とする証券会社を「ネット証券」といいます。一方、窓口や店舗を持ち、対面による取引ができるのは「店舗型証券」と呼ばれます。それぞれのメリットおよびデメリットを、表1にまとめます。
▽表1.ネット証券および店舗型証券会社のメリットおよびデメリット
ネット証券 | 店舗型証券会社 | |
メリット | ・手数料が安い ・時間や場所を選ばず取引できる | スタッフに相談しながら取引が可能 |
デメリット | 取引を投資家自身ですべておこなう | ・手数料が高め ・取引時間に制限があることも |
ネット証券は、インターネット上で口座開設から有価証券の売買まで完結します。そのため、パソコンやスマートフォン・タブレットといった端末および、インターネット環境があれば時間や場所を気にすることなく投資できます。また、人件費や店舗維持費が少なく、そのぶん手数料が低く設定されている点も、ネット証券の特徴です。コストを抑えて利便性の高い取引をしたい人は、ネット証券が向いているでしょう。
店舗型証券の特徴は、投資銘柄選定などをスタッフに相談しながら投資できる点になります。ただし、人件費や店舗管理費がかかるぶん手数料が高めに設定されています。店舗型の証券会社を利用する場合には、あらかじめ手数料を確認しておくとよいでしょう。
楽天証券を利用するメリット1:最低水準の手数料
ここからは、楽天証券を利用するメリットを4つ紹介します。1つめのメリットは、業界最低水準の手数料です。手数料は、投資においてコストとなります。そのため、手数料が低い証券会社を選ぶことは、資産運用を成功させるうえで重要なポイントです。
投資信託の購入時手数料無料
楽天証券での投資信託の取引は、購入時手数料がかかりません。投資信託は、多くの投資家から集めた資金を運用会社が運用し、利益を投資家に還元する仕組みです。そのため、初心者でも始めやすい金融商品といわれる一方、専門家に支払う手数料が発生するためコスト管理が重要とされます。投資信託で必要な主な手数料を表2で確認しましょう。
▽表2.投資信託への投資で必要となる主な手数料
手数料の種類 | 詳細 |
購入時手数料 | 購入時に販売会社(※)に直接支払う手数料 |
信託報酬 | 投資信託の運用・管理にかかる費用 日割りで計算され、信託報酬から差し引かれる |
信託財産留保額 | 換金時に直接支払う手数料 支払った手数料は信託財産に留保される |
※投資信託を販売する証券会社や銀行、ゆうちょ銀行といった金融機関
信託報酬および信託財産留保額は、購入する投資信託(ファンド)ごとに定められています。購入時手数料もファンドごとに定められていますが、取引する販売会社によっても差がでます。楽天証券では、この購入時手数料がすべてのファンドで無料となっています。
国内ETFは107銘柄(2020年10月26日時点)で売買手数料無料
楽天証券では107銘柄のETF(イーティーエフ:上場投資信託)を、売買手数料無料で取引できます。楽天証券で取り扱うETFには、国内株式を投資対象とするものだけでなく、国内外の債券やREIT(リート:不動産投資信託)、コモディティ(貴金属や燃料などの商品)に投資する銘柄もあります。
・米国ETFにも買付手数料無料銘柄がある
楽天証券では、一部の米国ETFにおける買付手数料が無料です。2020年11月現在、対象になっているのは9銘柄で、米国株だけでなくREITや現物の金を投資対象とする銘柄もあります。また、金融イノベーション関連やAI、ゲノム科学関連など、一定のテーマに沿った投資を行う銘柄も対象となっています。
国内株取引は2つの手数料プランから選択できる
楽天証券では、国内株取引において2つの手数料プランを用意しているため、投資スタイルに合った手数料体系を選ぶことができます。各手数料プランの詳細を、表3で確認しましょう。
▽表3.手数料プランの詳細(税抜き)
取引金額 | 超割コース (手数料の1%がポイントバック) |
いちにち定額コース |
1回の取引金額に応じて手数料が決定する | 1日の取引金額の合計に応じて手数料が決定する | |
5万円まで | 50円 | 0円 |
10万円まで | 90円 | |
20万円まで | 105円 | |
50万円まで | 250円 | |
100万円まで | 487円 | |
150万円まで | 582円 | 200万円まで:2,000円 300万円まで:3,000 以降、100万円増えるごとに1,000円ずつ追加 |
3,000万円まで | 921円 | |
3,000万円超 | 973円 |
1回の取引金額が100万円を超える人で、取引回数が多くない場合には超割コースを選ぶと手数料が安くなるケースがあります。1日の取引金額合計が100万円に満たない人や、1日の売買回数が多い人は、「いちにち定額コース」も選択肢となるでしょう。
なお、手数料プランの変更は毎営業日受け付けており、15時までに変更手続きを行った場合には翌営業日に変更が反映されます。執行中の注文がある場合には、変更手続きはできません。当月に1度も取引を行っていない場合には、プランの変更は即日適用されます。
楽天証券を利用するメリット2:楽天ポイントが貯まる。ポイント投資も可能
楽天証券を利用するメリットの2つめは、取引内容に応じて楽天ポイントが貯まる点です。貯まったポイントは、投資に利用することもできます。
取引に応じて楽天ポイントが貯まる
楽天ポイントは、表3で紹介した超割コースにおけるポイントバックのほか、表4の取引によっても貯まります。
▽表4.楽天ポイントが貯まる主な取引
サービス名 | 詳細 |
ハッピープログラム(※1) | ・国内株式および外国株式:売買手数料100円ごとに1ポイント ・投資信託:残高10万円ごとに4ポイント ・個人向け国債:買付3万円ごとに1ポイント |
ご家族・お友達紹介プログラム | ・紹介された人が総合口座を開設し1,000円以上入金した場合、双方に200ポイント ・紹介された人が総合口座を開設しiDeCoに加入した場合、双方に200ポイント |
投信積立 | 楽天カードクレジット決済により投信積立(毎月5万円まで)を行った場合、100円につき1ポイント |
投資信託資産形成ポイント(※2) | 投資信託を月初時点で50万円以上保有している場合、残高に応じて50~1,000ポイント |
※1:ハッピープログラムを利用するには、楽天証券と楽天銀行の口座連携(マネーブリッジ)への申し込みおよび、ハッピープログラムへのエントリーが必要
※2:ハッピープログラムにエントリーしている場合、投資信託資産形成ポイントは付与されません。
貯まった楽天ポイントは、楽天市場や楽天トラベルといった楽天グループの各サービスで利用できます。また、ポイントを活用した投資も可能です。
楽天ポイントを投資信託や株取引に使える
楽天ポイントは、1ポイント1円として投資信託や株式投資の取引に使えます。ポイント投資を活用し、リスクが高い銘柄などへの投資にチャレンジしてもよいでしょう。なお、最低投資金額は、各銘柄の最小申込単位(投資信託は100円から)となります。
楽天証券を利用するメリット3:楽天銀行の普通預金金利が100倍に
楽天証券を利用するメリットの3つめは、楽天銀行の普通預金金利が高くなる点です。楽天証券と楽天銀行のマネーブリッジを利用している人は、普通預金金利が年率0.1%(税引き前)になります。これは、メガバンクの普通預金金利年率(税引き前0.001%)の100倍です。
資産形成において、余裕資金のすべてを値動きがある金融商品に投資してよいわけではありません。余裕資金の一部は、いつでも使える資金として現金で保有しておく必要があります。預金金利が高くなることで、現金として保有している資金についても、効率よく資金を増やしていくことができるでしょう。
楽天銀行を利用するメリット4:無料の取引ツールでスムーズな売買を実現できる
楽天銀行を利用するメリットの4つめは、売買をスムーズに進められる取引ツールが無料で利用できる点です。楽天証券では、投資する金融商品や利用する端末により専用のツールを用意しています。各ツールの詳細は、表5のとおりです。
▽表5.楽天証券における取引ツールの詳細
ツール名 | 対応端末 | 取引できる商品 | その他 |
・MARKET SPEED ・MARKET SPEED2 |
パソコン | 国内株式・米国株式・為替・日経225先物・オプション・海外先物 | 20種類以上の分析チャートやリアルタイムランキング、最新のマーケットニュースを無料で利用できる |
MARKET SPEED for Mac | Mac | 国内株(現物・信用) | 画面の自動調整機能により、iMacやMac Pro、MacBookで利用できる |
MARKET SPEED FX | パソコン | FX | 楽天証券に口座がない人でも、無料でリアルタイム為替レートを試せる |
iSPEED | iPhone/Android | 国内株(現物・信用)・米国株 | 約定をリアルタイムで通知する約定アラート機能搭載 |
表5のほか、iPhoneやAndroidでの専門的な取引をサポートする「iSPEED FX」や「iSPEED 先物OP」があります。また、iPadでの取引を行う投資家には、「iSPEED for iPad」も用意しています。さらに、新着ニュースや株価、約定をリアルタイムに知りたい場合には、iSPEEDとApple Watchとの連携も可能です。
楽天証券のデメリット
楽天証券を利用する際に注意するべきデメリットも、併せて確認しましょう。
楽天証券のデメリット:ミニ株(単元未満株)の取り扱いがない
楽天証券では、ミニ株(単元未満株)の取り扱いがありません。通常、株式の売買は単元株単位で行われます。つまり、1株1,000円で単元株価数が100株の銘柄の場合、最低購入価格は10万円になります。
ミニ株は、単元株よりも少ない株数で取引ができるサービスです。ミニ株を取り扱っているかは、証券会社により異なります。楽天証券では、ミニ株の取引ができない点には注意しましょう。
楽天証券で口座を開設する3ステップを確認しよう
最後に、楽天証券で口座を開設する3つのステップを確認します。あらかじめ手順を確認し、スムーズに手続きを進めましょう。
ステップ1:楽天証券ホームページから口座開設の申込をする
口座開設ステップの1つめは、口座開設の申込です。楽天証券ではホームページから口座開設の申込を受け付けています。メールアドレスを登録し、送信されたメールの内容に従い手続きしましょう。
ステップ2:本人確認書類を提出
口座開設の申込が完了したら、本人確認書類を提出します。本人確認書類として認められるものは、表6のいずれかです。
▽表6.本人確認書類一覧
書類の種類 | 注意事項 |
運転免許証 | ・有効期限内のもの ・免許証番号および発行元印が鮮明なもの ・表裏両面の提出が必要 |
マイナンバーカード (通知カードは書類として使用できない) |
・有効期限内のもの ・氏名住所顔写真が掲載された表面のみ提出 |
パスポート | ・日本政府発行で有効期限内のもの ・顔写真ページおよび所持人記入欄を提出 |
各種健康保険証 | ・有効期限内のもの ・発行日および発行元印が鮮明であること |
住民基本台帳カード | ・有効期限内のもの ・氏名住所生年月日、顔写真が確認できるもの |
住民票の写し・印鑑登録証明書 | ・発行から6カ月以内のもの ・発行元印が鮮明であること |
在留カード・特別永住者証明書 | ・有効期限内のもの ・記号および発行元印が鮮明であること ・表裏両面の提出が必要 |
書類を準備したら、以下の方法で提出します。
・提出方法1:スマホで撮影してアップロード
運転免許証もしくはマイナンバーカードを提出する人は、スマホによる本人確認書類および顔写真の撮影が便利です。撮影および提出後、ログインIDが最短で翌営業日にメールにて送付されます。
・提出方法2:パソコンでアップロード
運転免許証もしくはマイナンバーカード以外の書類で本人確認を行う場合は、パソコンからアップロードしましょう。この場合、5営業日程度でログインIDおよび初期パスワードが郵送されます。
ステップ3:ログインIDの受け取りと初期設定
ログインID受け取り後は、楽天証券ホームページからログインおよび初期設定をおこないます。初期設定では、勤務先の入力や暗証番号の設定が必要です。また、本人確認書類としてマイナンバーカード以外を提出している人は、マイナンバーも入力します。
初期設定が終われば、口座開設は完了です。資金を入金し、取引をスタートしましょう。
まとめ:手数料の安さが魅力の楽天証券。楽天ポイントを活用した投資をスタートしよう
口座開設数を伸ばし続けている楽天証券は、店舗や窓口を持たないネット証券の1つです。楽天証券には、手数料の安さや利便性の高さといった魅力があります。また、楽天ポイントによる投資も可能です。投資初心者など現金での投資が不安な人や、楽天ポイントが貯まっている人は、ポイント投資で資産運用を始めてみてはいかがでしょうか。
文・N.ヤマモト
都市銀行にてファイナンシャルプランナーとして主に、富裕層の資産形成・運用相談を担当。投資信託や保険商品・債券・外貨預金の販売に携わる。その後はWEBライターとして、投資や資産形成についての情報を発信。子供の学費や老後資金作りのため、自らも20代から資産運用を続けている