2020年上半期の相場急落の影響で、株式投資を始める人が急増しています。一発当てたい、老後のための資産づくりがしたい、経済を学びたいなど理由はさまざまです。この記事ではこれから株式投資を始めたい人に向けて、魅力やリスク、株価が下がってしまったときの対処法について解説していきます。

目次

  1. 株式投資の魅力やメリットとは?
    1. 金銭的なメリット:キャピタルゲイン、インカムゲイン、株主優待
    2. 金銭面以外のメリット:金融・経済知識、経営者目線
  2. 株式投資のリスクとその対処法
    1. 株式投資のリスクとは?
    2. リスクに対処する方法
    3. 値下がりしたときはどのように行動すればいい?
  3. 株式投資をする前に確認しておきたいこと
    1. 投資前に確認したいこと1:株式投資の目的は?
    2. 投資前に確認したいこと2:目標金額は?いつまでにクリアする?
    3. 投資前に確認したいこと3:自分のライフスタイルと運用スタンス・手法が合っているか
    4. 投資前に確認したいこと4:NISAやiDeCoなどの税制優遇制度を理解する
  4. 株式投資で失敗しないために意識しておきたいこと
    1. 中長期の投資は報われやすい
    2. 「企業価値」に投資することを意識しよう
    3. リスク許容度を定め、投資は余裕資金で行う
  5. メリットとリスクを理解して、株式投資を始めてみよう

株式投資の魅力やメリットとは?

まずは、株式投資に取り組むとどんないいことがあるのか、その魅力やメリットについて見ていきましょう。

金銭的なメリット:キャピタルゲイン、インカムゲイン、株主優待

投資に取り組んでいる人のほとんどは「お金を増やしたい」という気持ちがあり、金銭的なメリットに魅力を感じて株式投資を選択していることでしょう。株式投資で得られる利益には、大きく分けてキャピタルゲイン、インカムゲイン、株主優待の3種類があります。

・キャピタルゲインとは?
キャピタルゲインとは「値上がり益」のことです。自分が株式を持っている企業が成長して株価が上昇すれば、その分自分の資産も増えます。

例えば、100万円の株を購入して110万円になったときに売却すれば、その差額の10万円がキャピタルゲインとなります(手数料・税金を除く)。

・インカムゲインとは?
インカムゲインは「配当」のことで、企業が事業活動を通して得た利益の一部を株主に還元するものです。株式を保有していると、その株数に応じた「配当金」が受け取れます。

所定の日に株式を所有していた人を対象に、年1~2回程度支払うという会社が多いですが、企業の業績や方針次第では配当がまったくないということもあり得ます。インカムゲインを狙いたい場合は、その会社がどれだけ配当にお金を回しているのかをチェックしておくことが必須です。

・株主優待とは?
株主優待は、「うちの株を持っていてくれてありがとう」という意味で、配当とは別に株主に贈られるプレゼントのようなものです。自社商品の詰め合わせや割引券を中心に、カタログギフトや地域の特産品などさまざまな種類があります。

近年、株主優待だけで生活する投資家の様子がテレビで取り上げられたこともあり、優待目当てで投資を始める人が増えました。それを受け、今まで優待を用意していなかった企業が新たに始める、もともと優待があった企業はさらに内容を充実させるといった動きも出ており、注目を集めています。

金銭面以外のメリット:金融・経済知識、経営者目線

株式投資には、金銭面以外のメリットもあります。

うまく運用していくためには、ニュースで報じられる政治や経済、各企業や業界の動向、身近な買い物スポットで目にした光景、すべてが重要になってきます。それまで何気なくスルーしていた情報も、株式投資を始めた途端、自分と関連して捉えることができるようになります。

株式投資で追うべき情報は、株価の値動きだけではありません。為替相場が動いたら「今投資している企業にはどんな影響がある?この動きが追い風になる業界は?」と考えますし、新たな商品が大ヒットしているとなれば「この商品を作っている会社はどこ?上場している?関連企業は?ライバルの動きは?」と気になります。

どうすればもっと株式投資で利益が出せるだろうと真剣に考えれば考えるほど、おのずと金融・経済・最新のトレンドなど仕事にも役立つ知識が身につきます。有価証券報告書や財務諸表などを読み込めるようになれば、マーケティングや経営戦略、会計など企業経営に欠かせない視点を持つこともできるでしょう。

株式投資のリスクとその対処法

株式投資には多くのメリットがある一方で、リスクもあります。リスクがあると聞くと、なんだか不安になってしまう人もいるかもしれません。漠然とした不安は、具体的に考えることで解消できます。「なんとなく怖い」ではなく、どのようなリスクがあるのか、どういった状況のときにどう考えて、どのような行動を取れば対処できるのかを事前に知っておけば、いざというときにあわてずに済みます。

株式投資のリスクとは?

まず、株式投資を始めるときに知っておきたいリスクについて見ていきましょう。

・リスクとは不確実性のこと
「リスク=損、危険」と思われがちですが、投資用語の「リスク」は不確実で結果にバラつきがあることを指します。高いリターン(見返り)を得るためには、高いリスク(不確実性)を許容する必要があります。リスクを抑えようとすればリターンは少なくなります。

株式投資のリスクには、次のようなものがあります。

・リスク1:価格変動リスク
株式投資のメリットとして「キャピタルゲイン(値上がり益)」を挙げましたが、その反対の「キャピタルロス(値下がり損)」もあります。株価は常に変動していますが、タイミングによっては高いときに買って安いときに売ってしまい、損が出てしまうかもしれません。

また、個別の企業だけでは対応しきれない事態に見舞われることもあります。世界的な政治・経済の状況や為替相場の変動に巻き込まれれば、その企業自体に悪い点がなくても、株価が大幅に下がってしまうこともあり得るのです。

・リスク2:倒産リスク
投資先の株価が下がるのもマイナスですが、倒産したり上場廃止になったりしてしまうと、さらに多大な影響を被ります。株式を売ろうにも売り注文ばかりが殺到してなかなか手放せなかったり、最終的に保有していた株式が無価値(ゼロ円)になったりすることもあります。

リスクに対処する方法

株式投資のリスクを抑えるためには、「分散投資」が有効です。

投資の世界には「卵は一つのカゴに盛るな」という格言があります。いくつもの卵を1つのカゴに盛っていた場合、そのカゴに何かあったら一気にすべてを失ってしまいます。いくつかのカゴに分散して盛っておけば、1つのカゴにトラブルが起きて卵がダメになってしまっても、まだほかのカゴの分は無事な状態を保てます。

投資でも、1社の株や1つの業界に全投資するのではなく、複数の企業や複数の業界にわけておくことがリスクを下げることにつながります。もっと広い意味で捉えて、株式だけに投資するのではなく、債券など別の資産に分散させるのもよいでしょう。

また、時間を分散させるのも有効です。一度に全額を投入するより、毎月決まった金額を少しずつコツコツ積み立てていくほうがリスクを抑えられます。これは「ドルコスト平均法」と呼ばれる投資の王道的な方法で、初心者でも取り組みやすいでしょう。

値下がりしたときはどのように行動すればいい?

値下がりしたときの対応には次のような種類があります。

・ロスカット
損切り。値上がりを待つのではなく、損失が拡大する前に売る。

・ナンピン買い
下がったタイミングで買い増しすることで平均購入単価を下げる。

・塩漬け
売りも買いもせず、そのまま様子見。

どの方法を選ぶかは、値下がりの要因にもよります。まずは株価が下がった原因を見極めましょう。

例えば、投資先の会社の主力商品がトラブルを起こしてまったく売れなくなったなど、今後の値上がりが見込めないと判断する状況ならロスカット、たまたますべての株が落ち込む状態になったけれど、これからまだ上がるだろうと踏んだらナンピン買いといった具合です。

ただし、金融危機などで「暴落時は大バーゲン!」とばかりにお金を投入する投資家もいますが、ナンピン買いは損失が拡大する可能性もあるリスクの高い方法なので、慎重に行いたいところです。

どの対処法を選ぶにしてもタイミングが重要です。感情に左右されると誤った判断につながりやすいので、「20%下落したら売る」など、自分がいくらまで耐えられるか考えて事前にルール化しておくとよいでしょう。

また、短期間の値動きだけで一喜一憂せず、数年、数十年単位の長期的なスパンで考えることも大切です。

株式投資をする前に確認しておきたいこと

株式投資のメリットとリスクがわかったところで、さぁスタート!としてもよいのですが、その前にあと少しだけ考えておきたいことがあります。必要以上のリスクを取って後悔したり、たまたま本で読んだ自分に合わない投資スタイルを続けて疲弊したりせずに済むよう、自分の投資への向き合い方を確認しておきましょう。具体的には次のような項目です。

投資前に確認したいこと1:株式投資の目的は?

「老後の資金準備の一環」「投資を通して経済を学びたい」「株主優待でお得な暮らしがしたい」など、どんな目的で株式投資を始めるのかによって、投入する金額も運用方針もリスクの取り方も変わってきます。

目的(目指す方向)と手段(目指す方法)が合っていないと失敗につながりやすいのです。まずは目的を明確にしてブレないようにしましょう。

投資前に確認したいこと2:目標金額は?いつまでにクリアする?

目的が定まったら、次はいつまでにいくら増やしたいのか目標を考えてみましょう。金額と時期の目標設定ができれば、そのために必要な資金や運用利回りが計算できます。

例えば、現在40歳の人が老後に向けて60歳までに2,000万円用意したいという目標を立てたら、毎月5万円ずつ年間約5%で運用すれば達成できるということがわかります。

「1%のリターンで増やしたい人」と「10%のリターンで増やしたい人」では、取るべきリスクや適した投資手法がまったく違います。「とりあえず増えたらいいな」で取り組むのではなく目標値を定めておくことで、自分に合った投資手法を見極めることができ、達成できたかどうかの振り返り・反省・改善もしやすいのです。

投資前に確認したいこと3:自分のライフスタイルと運用スタンス・手法が合っているか

目標を立てたら、それを達成するためにはどのような運用スタンス、手法で投資すればいいのかを考えてみましょう。

大企業に投資して安定的に配当を狙う人、将来大きく成長しそうな中小企業を見つけて値上がり益を狙う人、自分の好きなお店で使える株主優待を狙う人、同じ「株式投資」でも取り組み方は人それぞれです。得たいリターンと予想されるリスクを把握し、自分の生活や価値観に合う方法を選びましょう。

投資前に確認したいこと4:NISAやiDeCoなどの税制優遇制度を理解する

NISAやiDeCoといった制度を利用して投資すれば、税金の負担が軽くなります。これらの制度を活用しているかどうかで、同じ銘柄に同じ時期に同じ金額を投入していても手元に残る利益が2割以上違ってくるので、面倒でも一度調べておきたい部分です。

株式投資で失敗しないために意識しておきたいこと

株式投資を実際に行っていくと、利益を出せるときもあれば損失が生まれるときもあります。いくつかのポイントを意識して投資に取り組むことで、大きな失敗を回避することができるでしょう。

中長期の投資は報われやすい

投資というと、一日中パソコンの前に張り付いて株価の値動きをチェックしているといったイメージを持っている人もいますが、それができるのは専業のデイトレーダーか金融機関で運用を任されている投資のプロだけです。

普通の個人投資家は、本業を別に抱えていることが多く、短期の値動きを常に見ていることができません。株式投資をする際は、基本的に数年、数十年といった中長期のスパンで考えましょう。

長い期間投資し続けることでリスクを下げることができ、複利効果も見込めます。

「企業価値」に投資することを意識しよう

株価の動きに一喜一憂しないことが大切です。投資初心者ほど短期間の値動きに一喜一憂してしまい、高いときに買って安いときに売る、儲けが出るのとは真逆のほうに進んでいる状態になってしまうことがあります。

もちろん、見込みが外れたらどこかの時点で損切りをするのも大切ですが、感情的にならず数値を見極めましょう。自分が応援したいと思った企業や今後成長すると思った企業の「企業価値」を信じて投資しているわけですから、その価値が変わっていないのであれば、むやみに動かす必要はありません。

リスク許容度を定め、投資は余裕資金で行う

投資のプロとして何十年も第一線で活躍している人でも、値動きを完全に予測することはできません。「絶対に成長する!」と思った会社でも、新規事業でトラブルを起こして大赤字を出したり、災害に見舞われて不運にも売上を落としたりすることがあるかもしれません。

お金が減る可能性は捨てきれませんが、一時的にお金が減ったとしてもそれは失敗ではありません。まだ挽回できるチャンスがあるからです。自分のリスク許容度をオーバーしたり資産をコントロールできていなかったりしたために、一度の値下がりで再起できないほどのダメージを負ってしまえば、それは失敗ということになります。

株価の値動きはコントロールできませんが、自分の行動は自分でコントロールできます。しばらく使う予定のない余裕資金を投資に回す、なくなっても許せる金額をあらかじめ決めておくなどして、感情に流されず冷静なコントロールを心がけましょう。

メリットとリスクを理解して、株式投資を始めてみよう

株式投資では、自分の気に入った企業を応援しながら値上がり益や配当金などを狙うことができます。もちろんリスクはゼロではありませんが、どんな事態にどう対処すればいいのかを知っておけば、過度に恐れることなく心穏やかに投資できます。

株式投資に関する情報をしっかり集め、他者のアドバイスも参考にしつつ、最終的には自分で考えて判断するようにしましょう。

馬場 愛梨
所属・ばばえりFP事務所 代表
関西学院大学商学部卒業後、銀行にてクレジットカードやカードローン、投資信託などの金融商品を扱う窓口営業に従事。 その後、不動産会社や保険代理店での勤務を経て、独立。 お金にまつわる解説記事を数多く執筆。保有資格:AFP、証券外務員一種、秘書検定1級。