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つみたてNISAは年間40万円の「非課税投資枠」を活用して毎月はもちろん毎日でも積立を行うことができ、最長20年間投資が行える制度です。長期投資によって資産を増やす効果が期待できますが、将来の運用実績はもちろんのこと、手数料を意識して利用することが大切です。今回は投資商品とコストにスポットを当ててお伝えします。
目次
つみたてNISAは「長期」「積立」「分散投資」に適した制度
日本の家計には1,700兆円を超える金融資産があるといわれています。これらの資産を安定的に増やしていくことが日本経済にとっても重要とされていますが、資産の有効活用が行われてきたとはいえず、金融資産のうちの52%が現預金で占められていて、諸外国と比較して株式・投資信託などの割合は低くなっています。このような違いが欧米と比べ金融資産の増加水準の低さにも表れています。
預金は元本保証があり安全性が高い反面、長期間続く低金利の影響でリターンはほとんどありません。一方で株式・投資信託などのリスク商品はリターンを期待できる反面、元本割れのリスクも存在します。このリスクをできるだけ軽減しながら安定的な資産形成を行うためには、長期・積立・分散投資が有効とされています。投資対象の分散によって特定のリスクの影響を軽減し、積立投資によって投資時期を分散、長期保有によってリターンの安定化を図るという考え方です。
2018年からつみたてNISAがスタート
この安定的な資産形成を支援するための制度として「NISA」が創設され2014年からスタートしましたが、さらに積立による分散・長期投資を後押しするという目的で2018年から「つみたてNISA」が新たにスタートしたという経緯があります。
このような経緯で創設されたつみたてNISAなので、投資対象となる商品は「長期・積立・分散」投資に適した商品に限定されています。具体的には「投資信託など」が対象となっており、詳細については後述しますが、最長20年という長期間にわたって投資を行うため、投資信託の中でもそれに相応しい商品に限定して投資が行えるとされています。具体的には、次の条件を満たした商品がつみたてNISAで投資できる商品となります。
- 販売手数料はゼロ(ノーロード)
- 信託契約期間が無期限または20年以上である
- 毎月分配型でない
- 一定の場合を除き、デリバティブ取引による運用を行わない
- その他一定の事項
投資信託にかかる手数料は?
一般的に、投資信託には次の3つの手数料がかかります。
まずは投資信託を購入する際の「購入時手数料(販売手数料)」、運用期間中に信託財産から差し引かれる「信託報酬」、換金時にかかる「信託財産留保額」の3つです。このようなコストがどれくらいかかるのかは投資信託によって異なり、「目論見書」などで事前に確認することができます。投資信託の運用実績などのほかにこれらのコストについても確認することが重要となります。
・購入時手数料(販売手数料)
時期 | 購入時 |
支払い方法 | 直接支払い |
内容 | 購入時に販売会社に支払う費用。申込価額の一定%を支払う(換金時に支払うファンドも有り)。ファンドや販売会社によってはこの費用がない場合もあり(ノーロード) |
・信託報酬
時期 | 保有時 |
支払い方法 | 投資信託の信託財産から間接的に支払われる |
内容 | 投資信託を保有している間、投資信託の保有額に応じて日々支払う費用。年率でいくら支払うのか、目論見書などに記載がある |
・信託財産留保額
時期 | 換金時 |
支払い方法 | 直接支払い |
内容 | 投資信託を購入または解約(売却)する際、手数料とは別に徴収される費用。販売会社が受け取るのではなく信託財産に留保される。投資信託によって差し引かれるものと差し引かれないものがある |
つみたてNISAの場合の手数料はどうなる?
では、つみたてNISAで購入する投資信託にはどのようなコストがかかるのでしょうか。3つのコストのうち、つみたてNISAの投資対象商品の要件の1つにノーロードがあるため、「購入時手数料(販売手数料)」はかかりません。また「信託報酬」についても低水準の商品が選定されているので、通常の投資信託よりもコストを抑えて毎月の積立が行えます。「信託財産留保額」については上記の通り投資信託によってかからないものもあるので、目論見書などで確認が必要となります。
このようにつみたてNISAでは、商品保有時の「信託報酬」と、商品によって「信託財産留保額」がかかることになります。この2つのコストが投資信託によって異なるので、購入前に比較検討する必要があります。
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手数料 | 投資信託 取扱本数 |
特徴 |
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つみたてNISAの対象となる投資信託、その内訳を大公開
つみたてNISAは、これまでお伝えした通り「長期・積立・分散」投資を行えるよう創設された制度なので、投資対象となる商品もそれに適した商品が選定されています。対象商品は以下のような種類となります。
インデックス投資信託
インデックス投資信託は、TOPIX、日経平均株価、S&P500など、国内外のマーケット全体の値動きに連動することを基本としている商品です。そのため世界経済や日本経済が成長していけば、その成長に見合ったリターンが期待できます。また、値動きのわかりやすさやコストの低さなどのメリットもあり、投資を始めたばかりの投資家にも適していると考えられるため、つみたてNISAの対象商品として「指定インデックス投資信託」(156本、2020年4月1日時点)が基本商品として位置付けられています。
なお指定インデックス投資信託は「株式型」「バランス型」の2種類があります。さらにその種類ごとに「国内型」「海外型」の区分があり、合計4つのカテゴリに分けられています。
株式型はTOPIX、日経平均株価、S&P500など国内外の株価指数の動きに連動する運用を目指す投資信託が選定されています。バランス型は、国内・先進国・新興国株式や債券、国内・先進国のREITなど2~8つの資産が投資対象となり、それぞれの指数の動きに連動する運用を目指す投資信託が選定されています。国内型は日本国内の資産が投資対象、海外型は欧米などの先進国や新興国の資産が投資対象となっています。
・指定インデックス投資信託(156本)
指数区分 | 国内外区分 | 指定指数の名称または数 |
株式型 | 国内型 | TOPIX(12本) |
日経平均株価(16本) | ||
JPX日経インデックス400(5本) | ||
海外型 | MSCI ACWI Index(8本) | |
FTSE Global All Cap Index(2本) | ||
MSCI World Index(MSCIコクサイ・インデックス)(16本) | ||
FTSE Developed All Cap Index(1本) | ||
S&P500(7本) | ||
CRSP U.S. Total Market Index(1本) | ||
MSCI Emerging Markets Index(10本) | ||
FTSE Emerging Index(1本) | ||
FTSE RAFI Emerging Index(1本) | ||
バランス型 | 国内型 | 2指数(2本) |
2指数(2本) | ||
海外型 | 2指数(5本) | |
3指数(3本) | ||
4指数(17本) | ||
5指数(2本) | ||
6指数(13本) | ||
7指数(2本) | ||
8指数(30本) |
アクティブ運用投資信託
インデックス投資信託以外に「アクティブ運用投資信託」もつみたてNISAの対象商品として選定されています。アクティブ運用投資信託は、マーケット全体の値動き以上のリターンを狙うという商品特性上、一般的にはリスクとコストはインデックス投資信託よりも高くなる傾向にあります。
また、つみたてNISAで運用する20年間にわたって、マーケット全体のリターンを上回るアクティブ運用投資信託を事前に見分けることは難しいとされています。さらに現在販売されているアクティブ型投資信託は、中長期で保有し続けるというより短期売買に活用されているという側面もあり、つみたてNISAの対象商品とするか、制度設計時に慎重に議論が交わされました。
そこでアクティブ運用投資信託は、次の2つの条件を満たした商品に限り、つみたてNISAの対象商品とすることとなりました。
- 信託の設定以来5年以上が経過していて、そのうち3分の2以上の年数で資金流入超の実績がある
- 50億円以上の純資産がある
アクティブ運用投資信託もインデックス投資信託と同様に「国内型」「海外型」の2区分があり、株式、公社債、REITの3資産が投資対象となります。株式のみに投資するファンド、株式を含む2資産または3資産に投資するファンドなど、それぞれリスクが異なります。指標とする指数があり、それを上回る運用を目指しているため、一般的にインデックス投資信託よりリスクやコストは大きくなります。2020年4月1日現在18本の投資信託が対象となっています。
・アクティブ運用投資信託など(18本)
国内外区分 | 投資対象区分 |
国内型 | 株式(6本) |
株式及び公社債(1本) | |
海外型 | 株式(4本) |
株式及び公社債(5本) | |
株式及びREIT(1本) | |
株式・公社債及びREIT(1本) |
上場株式投資信託(ETF)
上場株式投資信託(ETF)は、現在インデックス投資信託と並んでインデックス運用の代表的な商品で、コスト(信託報酬)も比較的抑えられています。本来は長期投資に適した商品と考えることができますが、積立投資という観点からは、以下の点が指摘されました。
- 通常の購入方法で投資するには最低売買金額が大きくなってしまう
- 上場されているETFで流動性が低いものは適切な価格が付きにくい場合がある
- 対象となるインデックスは、インデックス投信について選定されたものと同じもの
- 最低取引単位が1,000円以下
- 国内上場のETFについては、マーケットメイクにより円滑な流通のための措置が講じられているものとして金融商品取引所が指定したもの
- 外国上場のETFについては資産残高が1兆円以上ある
ETFはTOPIX、日経平均株価、S&P500など、国内外の株価指数の動きに連動する運用を目指す商品で、金融商品取引所に上場している投資信託となります。
運用方法はインデックス投資信託とほぼ同じですが、株式と同様に市場で売買されるという点が投資信託との違いです。投資信託は1日に1回算出される「基準価格」が取得価額となりますが、ETFは株式と同様に取引時間内に変動する価格が取得額となります。ただし、つみたてNISAの場合には自身で取引時間内にタイミングを見て購入できないため、この違いはあまり問題とはなりません。なおETFは2020年4月1日現在7本の商品が投資対象となっています。
・上場株式投資信託(ETF)(7本)
指定指数の名称 |
TOPIX |
日経平均株価 |
JPX日経インデックス400 |
MSCI ACWI Index |
MSCI World Index(MSCIコクサイ・インデックス) |
S&P500 |
MSCI Emerging Markets Index |
このようにつみたてNISAの投資対象となる商品は「長期・積立・分散」投資に適した商品が選定されています。
・つみたてNISA対象商品の分類(合計181本)
国内 | 内外 | 海外 | ||
公募投信 | 株式型 | 39本 | 10本 | 43本 |
資産複合型 | 5本 | 75本 | 2本 | |
ETF | 3本 | - | 4本 |
投資信託によって異なる手数料を徹底比較
前述の通り、つみたてNISAで購入できる商品は「インデックス投資信託」「アクティブ運用投資信託」「上場株式投資信託(ETF)」の3つの運用手法に分けられ、さらにその中に複数の商品ラインアップがあります。そのため商品によって手数料も異なってきます。
ただしくり返しお伝えしている通り、つみたてNISAは少額の長期・積立・分散投資によって資産形成を支援するための制度という位置付けのため、継続的に高いコストがかかる商品は向いていないと考えられます。そこでNISAの対象商品には、購入時手数料(販売手数料)や信託報酬に一定の上限が設けられています。これによって低コストで長期間にわたって投資を行うことが可能となります。
購入時手数料(販売手数料)は「ノーロード(手数料不要)」の投資信託に限られ、「信託財産留保額」を除く解約手数料も0%の商品に限られています。また信託報酬についても長期間にわたるコスト負担の影響を考慮して、運用手法や投資対象によって次のような上限が定められています。
- 国内資産のみに投資するインデックス投信:0.50%
- 海外資産を組み入れているインデックス投信:0.75%
- 国内資産のみに投資するアクティブ運用投信:1.00%
- 海外資産を組み入れているアクティブ運用投信:1.50%
信託報酬の違いを確認してみる
このようにつみたてNISAでは投資期間中にかかるコストができるだけかからないように定められているので、運用益が非課税となるメリットに加えて低コストで運用できる利点もあります。では実際の信託報酬はどれくらい負担することになるのでしょうか。ここでは運用手法や投資対象によって信託報酬がどの程度違うのかをお伝えします。
・インデックス投資信託の信託報酬
信託報酬(税抜) | 本数 |
0.05%超0.1%以下 | 0 |
0.1%超0.2%以下 | 20 |
0.2%超0.3%以下 | 3 |
0.3%超0.4%以下 | 12 |
0.4%超0.5%以下 | 2 |
0.5%超 | 0 |
いちばん多いのは0.1%超0.2%以下の20本となりますが、37本全体の平均は0.27%となっています。
2.投資先を国内外または海外とするインデックス投資信託(119本)
信託報酬(税抜) | 本数 |
0%超0.1%以下 | 7 |
0.1%超0.2%以下 | 30 |
0.2%超0.3%以下 | 21 |
0.3%超0.4%以下 | 17 |
0.4%超0.5%以下 | 33 |
0.5%超0.6%以下 | 11 |
0.6%超0.7%以下 | 0 |
0.7%超0.75%以下 | 0 |
0.75%超 | 0 |
いちばん多いのは0.4%超0.5%以下の33本となりますが、119本全体の平均は0.32%となっています。わずかの違いではありますが、投資先が国内のインデックス投資信託よりもコストが高くなっています。
・つみたてNISA対象の公募投信の信託報酬
1.指定インデックス投資信託
分類 | 商品数 | 告示で定める信託報酬率の上限(%、税抜) | つみたてNISA対象の公募投信の信託報酬率の平均(%、税抜) |
株式型 | 82 | 0.27 | |
国内 | 33 | 0.5 | 0.26 |
海外 | 40 | 0.75 | 0.30 |
内外 | 9 | 0.75 | 0.20 |
バランス型 | 74 | 0.34 | |
国内 | 4 | 0.5 | 0.27 |
海外 | 2 | 0.75 | 0.49 |
内外 | 68 | 0.75 | 0.35 |
総計 | 156 | 0.31 |
株式型がバランス型よりも若干低くなっていますが、インデックス投資信託は年間0.3%前後のコストで購入することができることがわかります。
2. アクティブ運用投資信託など
分類 | 商品数 | 告示で定める信託報酬率の上限(%、税抜) | つみたてNISA対象の公募投信の信託報酬率の平均(%、税抜) |
株式型 | 10 | 0.96 | |
国内 | 6 | 1.0 | 0.95 |
海外 | 3 | 1.5 | 1.20 |
内外 | 1 | 1.5 | 0.31 |
バランス型 | 8 | 1.12 | |
国内 | 1 | 1.0 | 1.00 |
海外 | 0 | 1.5 | - |
内外 | 7 | 1.5 | 1.14 |
総計 | 18 | 1.03 |
アクティブ運用投資信託は年間1%前後の信託報酬がかかり、インデックス投資信託の約3倍のコストがかかることになります。
このように運用手法や投資対象によって投資信託にかかるコストが変わってきます。短期間ではあまり意識しない差も、長期間で見ると大きくなるケースがあるので、コストも意識して商品選択を行うことが重要となります。
信託報酬の違いが将来の資産額にどう影響するのか、試算する
では信託報酬の違いによって、将来の資産額にどのような違いが出るのでしょうか。ここでは3種類の信託報酬によって将来の資産額の違いを試算してみます。なお信託報酬は投資信託の残高に対して日々控除されるものですが、便宜上下記の年利から信託報酬を控除した年利で計算をしています。
・毎月3万円を年利5%で運用した場合の資産額の推移
積立年数 | 5年 | 10年 | 15年 | 20年 | |
積立総額 | 180万円 | 360万円 | 540万円 | 720万円 | |
信託報酬 | 0.50% | 201万4,367円 | 453万5,942円 | 769万2,440円 | 1,164万3,731円 |
1.00% | 198万8,969円 | 441万7,494円 | 738万2,715円 | 1,100万3,239円 | |
1.50% | 196万3,983円 | 430万2,975円 | 708万8,581円 | 1,040万6,078円 |
このように、積立年数があまりたっていない時期には大きな差は出ませんが、20年後で比較すると信託報酬が1%違うことによって100万円以上資産額に差が出ることがわかります。コストの差は実質の利回りの差にもなりますので、できるだけ低コストの商品で長期間継続運用していくことも意識する必要があります。
金融機関で取り扱う商品が異なる。コストをしっかり比較して積立を行う
つみたてNISAの投資対象となっている商品は、金融機関によって取扱本数が異なります。NISAの口座開設をする際は、自身が投資したい商品があるのか、商品の選択肢はどの程度あるのか、毎月の積立金額はいくらから行えるのかなど、金融機関を選択する際の条件を決めたうえで、その条件に合った金融機関で積立を行うことが大切です。なお同じ投資信託であれば、どの金融機関で積立を行っても信託報酬や信託財産留保額などのコストは変わりません。
投資信託個別のコストについては、金融機関のサイトでつみたてNISAの取扱商品の詳細を見れば確認できますが、投資信託協会などのサイトでは、現在つみたてNISAの投資対象である181商品のコストなどを比較して確認することができます。これらのサイトではコストのほか、基準価額や騰落率などを確認できますので、投資商品を選択する際の参考になります。
試算でわかる、つみたてNISAの「ドル・コスト平均法」の効果
つみたてNISAは「ドル・コスト平均法」の要素を取り入れて投資を行っていきます。毎月定期的に投資信託などで積立投資を行っていく方法には、大きく「定額購入」と「定量購入」の2つの方法があります。定額購入はドル・コスト平均法とも呼ばれ毎回1万円など、同じ金額を積み立てて投資信託などを買い付けていく方法で、つみたてNISAがこれに当たります。一方で定量購入は、毎月同じ口数を購入していく方法で、例えば投資信託であれば毎月1万口ずつ買い付けていく方法となります。
ドル・コスト平均法では、投資信託の基準価額が安いときには口数が多く購入でき、基準価額が高いときには少なく購入していくことになりますが、長期間継続していくことで「平均買付価額」を定量購入と比較して低くすることも可能となります。つみたてNISAではこの方法で毎月一定額の積立を行っていくので、結果的に平均買付価額を低くしてより多くのリターンを得ることも可能となります。
ただし、すべての状況においてドル・コスト平均法の効果があるわけではなく、基準価額が長期間下落した状態が続いた後に売却をした場合には、その効果を得られない可能性もあります。
定額購入(ドル・コスト平均法)と定量購入を比較してみると?
一例として短い期間ですが半年間、定額購入と定量購入をした場合の平均買付単価、6ヵ月後の資産の評価額と利益の比較を試算してみます。
毎月同じ金額を買い付ける方法がつみたてNISA(ドル・コスト平均法)となります。毎月3万円を積み立て、積立総額は18万円、買付できた口数は17万8,758口、1万口平均買付価格は1万69円となりました。一方で毎月同じ口数を買い付けた場合には、積立総額は18万3,900円、買付口数は18万口、1万口当たりの平均買付価格は1万217円となり、買付価格はドル・コスト平均法のほうが低くなりました。
では6ヵ月後の資産の評価額はどちらが高くなっているのでしょうか。結果は次のようになります。
1.毎月同じ金額の買付を行った場合
- 資産の評価額:(12,500÷10,000)×17万8,758口=22万3,447円
- 利益:22万3,447円-18万円=4万3,447円
2. 毎月同じ口数の買付を行った場合
- 資産の評価額:(12,500÷10,000)×18万口=22万5,000円
- 利益:22万5,000円-18万3,900円=4万1,100円
このように、資産の評価額は同じ口数を買い付けたほうが高くなりますが、利益は平均買付価格が低い分、ドル・コスト平均法で買付を行ったほうが多くなります。同じ商品を安い単価で購入できた分、利益も多くなるということになります。
前述の通りドル・コスト平均法はすべての状況において効果を発揮できるわけではありませんが、つみたてNISAはこのような方法で長期間投資を行っていく制度だということを念頭に置いていただければと思います。
つみたてNISAの「長期・積立・分散」投資で将来に備える
今回お伝えしたように、投資信託で積立を行うつみたてNISAは、選択できる商品が決まっている点、商品によってコストに違いがある点、コストの違いが将来の資産額に影響が出る可能性がある点などを考慮して活用していくことが大切です。また、短期間で資産を増やす制度ではなく、長期間継続して投資をすることで結果が出る仕組みであるということも考慮する必要があります。
毎月の積立額は少額でも、時間を味方につければ「長期・分散」の効果によって資産が大きく育つ可能性もあります。20年の「非課税投資枠」という大きな税制メリットがあるので、自身の将来のために資産を準備する方法の1つとしてつみたてNISAを活用してみてはいかがでしょうか。
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