米電気自動車のTesla(テスラ)が、ビットコイン決済の受け入れを停止することが明らかになった。日本時間13日、同社CEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏がTwitterの投稿を通じて発表した。
同社はビットコインのマイニングや取引において、多くの化石燃料が使用されていることに対し懸念を抱いているという。
マスク氏のツイートでは、「暗号資産(仮想通貨)というのは様々な面において良い発想である。我々は暗号資産の将来性が約束されていると考えている。その一方で、環境へ多大な負荷をかけるわけにはいかない」という文章が記載された。
テスラ社は大手企業の中でも率先してビットコインへの投資をしてきたことで知られている。今年2月の時点で、同社は約15億ドル(約1,640億円)をビットコインに投じた。同社がビットコインに対して持っている強気な姿勢は価格面にも影響を与えるほどのものだった。
一方で、ビットコインのマイニングに必要な電力が非常に大きく、今後さらに消費量が増す懸念が指摘されていたのも事実だ。
ビットコインのコンセンサスアルゴリズムであるプルーフオブ・ワーク(PoW)は、膨大な計算作業を行い、ブロック生成を行えたマイナーが報酬を得られるという仕組みになっている。
この計算作業は非常に熾烈で、報酬を得るには多くの電力を必要とすることから、マイニングは電気代が安価な地域で行われることが多い。
今回、テスラがビットコイン決済を中止した決め手になったのは、このマイニングで用いられる電力の発電に石炭や化石燃料など、環境汚染物の排出量の多い資源が使用されていた点だ。
マスク氏の投稿によると、ビットコインマイニングに必要な電気が、環境持続性の高いエネルギーに移行するまで同社は保有しているビットコインは売却しないという。
また、電力消費量がビットコインの1%に満たないような他の暗号資産にも目を向けていると述べた。裏を返せば、環境面を考慮した暗号資産であれば、決済等で採用することを示唆した形と言えるだろう。
今回のテスラによるビットコイン決済中止の一報を受け、ビットコイン価格は急落。一時4万6000ドル(約504万円)を下回り、日本円にして前日比最大100万円以上も価格を落とした。
この影響で暗号資産市場は全面安となっており、ビットコインのドミナンスも40%を下回る可能性が浮上している。
テスラやマスク氏が暗号資産市場に与える影響は非常に大きいため、引き続きその動向を注視する必要があるだろう。(提供:月刊暗号資産)