FX取引を行う中で誰もが迷うのが「いつ売買するのか」といった売買タイミングだろう。売買タイミングをスムーズに決められるようになる手段の一つが、FX取引専用ツール「MT4」だ。MT4を使うと何ができるのだろうか。
この記事では、MT4の特徴と人気の理由、MT4を使えるFX会社について紹介する。現在行っているFX取引をさらに充実させたいが、何から始めたらいいのかわからないという人は参考にしてほしい。
MT4とは何か?
MT4(MetaTrader 4)とは、FX取引のためのプラットフォームの名称で、チャートの分析から売買注文まで行えるツールだ。「FX会社が提供する情報だけでは満足できない」「さらに詳しくチャート分析をしたい」というニーズに応えるツールと言えるだろう。MT4は、一般の投資家だけでなくプロのトレーダーからも人気を集めている。以下で、人気の理由を詳しく紹介する。
MT4がFXトレーダーに人気の理由
MT4がFXトレーダーから人気を集めている理由は以下の3つだ。それぞれ解説していこう。
●多彩な分析ツール
MT4には、多くの分析ツールが搭載されている。各種チャートだけでなく、その他の分析ツールも見ることができるのが特徴だ。一例を挙げると、「ライン」「チャンネル」「ギャンツール」「フィボナッチ」「図形」「数値」などが搭載されている。これらを含め、合計23もの多彩な分析データが提供されているのだ。投資家側はいくつものチャートや分析データの中から自分に必要なものを選ぶことができる。
●利用料が無料
MT4は、無料で利用することができる。利用時には、パソコンやスマートフォンにソフトをインストールする必要があるが、無料で手に入れることが可能だ。(一部、有料インディケーターもある)「優秀な分析ツールが欲しいが、お金を払って購入するのには踏み切れない」と考える人にもおすすめのツールだ。
●自身でカスタマイズすることができる
MT4は、自分で使いやすいようにカスタマイズできる点も人気の理由の一つだ。
FX取引をする際に必要な分析ツールは、人それぞれに異なる。しかしMT4を活用すれば同じチャートでも表示項目を自分で選ぶことができるため、不要な項目は非表示にすることも可能だ。
また分析ツールを選んでチャート上に表示させることもできる。市場の上昇・下降トレンドを表すツール、相場の強弱を表すツールなどニーズに合わせて利用するとよいだろう。
MT4のテクニカル指標とは
MT4では、30の内蔵インディケーターや2,000の無料カスタムインディケーター、700の有料インディケーターが利用可能だ。この中から自分の好きなテクニカル指標を選ぶことができる。指標の追加は、MT4ソフトを入れたパソコンから行えるため簡単だ。ちなみにMT4で表示できるテクニカル指標の一部には、以下のようなものがある。
テクニカル指標(英語) | テクニカル指標(日本語) |
Bollinger band | ボリンジャーバンド |
Moving average | 移動平均線 |
Parabolic SAR | 移動平均線 |
Ichimoku kinko hyo | 一目均衡表 |
MT4を利用できるFX会社は?
日本には、多くのFX会社があるが、MT4はどの会社でも利用できるわけではない。ここでは、MT4を利用できるFX会社を紹介する。
●JFX
FX会社の一つ「JFX」では、MT4と自社の分析・取引ツール「MATRIX TRADER(マトリックストレーダー)」を組み合わせて利用できる。MT4の分析能力と約定能力が高く、26種類もの注文方法があるMATRIX TRADERを組み合わせることで、より高度なFX取引が実現できるだろう。初心者はMATRIX TRADERのみ利用し、慣れてきたら細かい分析ができるMT4を追加するというのもよいだろう。
●楽天FX
楽天FXのMT4は、22通貨ペアに対応している。注文方法は、成行注文やストリーミング注文など7通りある。楽天FXのMT4の最大の特徴は、取引サーバを日本国内に置いていることだ。安定した環境にあるため、安心して取引できるだろう。
楽天FXでMT4を利用したい場合は、まず楽天FX口座を開設し口座開設完了後に楽天MT4口座への申し込みが必要になる。MT4口座だけ開設することはできない。
●OANDA
OANDAは、為替情報提供に力を入れている会社だ。会社自体もユーザー向けにオリジナル分析ツールを作成し、配布している。初心者は会社から提供されるツールを利用し、FX投資に慣れてきたらMT4を利用してみるのもよいだろう。
MT4のデメリット
MT4には、「多くの種類の分析ツールやチャートが搭載されている」「自分が見やすいように画面をカスタマイズできる」というメリットがあるが、デメリットもある。どのようなデメリットがあるのか、利用を検討する前に確認しておこう。
●利用できるFX会社が限定されている
MT4は、すべてのFX会社で利用できるわけではない。利用できるFX会社が限られている点がデメリットだ。どうしてもMT4を使いたい場合は、口座を開設する前に導入しているFX会社を探す必要がある。同じMT4でもFX会社によって搭載されている分析ツールやチャートが異なる場合もあり、注意が必要だ。
さらに取り扱っている通貨ペアもFX会社によって異なる。自分の条件に合ったFX会社を探し出すだけで手間がかかる場合もある。
●初心者にはハードルが高い
詳細な分析ツールやチャート、自分でカスタマイズできる画面などがMT4の魅力だ。しかしツールが豊富すぎて、これからFX取引を始めたい人や初心者が使いこなすのは難しい一面もある。初心者のうちは、まだMT4は必要ないかもしれない。これから投資を始めたい人が使うには、若干ハードルが高いシステムだと覚えておいたほうがよいだろう。
MT4は利用できなくても自動売買したい場合に選ぶべきFX会社
MT4を扱っていないFX会社の中でも、「自動売買」ができる会社を紹介する。自動売買とは、あらかじめ決めたルールの中で自動的に取引が行われるシステムだ。ユーザーが取引前に条件(ルール)を設定していれば、自分で注文を出すことなく売買が自動的に行われるので、チャートを見続ける必要や相場を分析する必要もない。自動売買は、FX取引初心者や忙しい人にぴったりのシステムだ。
●FXブロードネット
FXブロードネットの自動売買システム「トラッキングトレード」は、「リピート型自動売買」という手法を用いている。リピート型自動売買では、「売りから開始」「買いから開始」を決める必要はあるが、その後は指定した値幅に到達する売買注文が繰り返される。一度に得られる利益は小さいかもしれないが、確実に利益を得られる可能性は高くなる。
トラッキングトレードは、FXブロードネットの店頭FX口座を持っていれば別途申し込みの必要はなく利用できる点もメリットだ。
●インヴァスト証券
インヴァスト証券の取引システム「トライオートFX」は、自動売買と自分で売買タイミングを判断して注文を入力する「裁量取引」を同時に利用できる。例えば、初心者の間は自動売買を利用し、慣れてきたら裁量取引に移行するという利用法も可能だ。
また自動売買取引でも既存プログラムのアレンジやオリジナルの自動売買の設定ができる。さらにレンジ幅の設定、数量、利益確定幅、損切り幅などを細かく決めることもできるため、「自動売買にお任せにしたけれども想定していた取引と違っていた」という事態は起こりにくいだろう。
●FXプライムbyGMO
FXプライムbyGMOの取引システム「ちょいトレFX」は、簡単に取引戦略を構築できる自動売買システムだ。画面の指示どおりに入力すれば、独自の戦略を作ることができる。用意されたいくつもの戦略の中から選択することもできるため、「いろいろなことを決めるのが難しそう」といった場合でも安心して利用することが可能だ。
一度決めた戦略は無料でシミュレーションできるので、万が一うまくいかなかった場合の修正も簡単に行えるので安心だろう。
MT4を使いこなすためのポイント
MT4を使いこなすためには、自分に必要な分析ツールやチャートを見極めることが重要だ。ただし「情報が多すぎて判断ができなくなった」ということだけは避けたほうがよいだろう。
その点を考えると、やはり初心者や時間がなく自動売買システムに任せしたい人には不向きと言える。MT4を使いたい場合は、ある程度FX相場の分析やチャートに慣れてから始めてみるとよいだろう。
MT4で一段上のFX取引を
MT4を使いこなすことができれば、自分好みに分析ツールをカスタマイズすることができる。「FX会社が提供する分析ツールだけでは物足りない」「自分が見やすいようにチャートや取引画面を作ってみたい」という人には、非常に便利だ。
FX初心者には使いこなすのが難しいかもしれないが、取引に慣れてきたら導入を検討してみることも選択肢の一つだろう。きっと一歩先のFX取引が実現できるはずだ。