投資といえばかなりの額の資金が必要だと思っている人も多いだろう。しかし10万円からでも十分に投資を始めることができる。10万円の予算で投資を始める場合、どのような商品を選ぶといいのだろうか。

この記事では、少額から始められる投資商品や投資方法、選びたい証券会社の特徴などについて紹介していく。

10万円あれば投資は十分スタートできる

10万円,投資
(画像=PIXTA)

初めての投資の場合、「まずは少額から始めてみたい」と思う人が多いのではないだろうか。10万円ほどの予算があれば以下のような投資はすぐに始めることができる。

・ミニ株
・小型株
・IPO

では、一つずつ解説していこう。

1株から始められる「ミニ株」

ニュースなどで「1,000円」「2,000円」などと各企業の株価が紹介されているのを見たことがあるだろうか。一般の人でも証券会社を通じて上場株式を購入することができる。ただし一般的に株式の購入は1単元100株単位であるため、例えば1,000円の株価の銘柄であれば1,000円×100株=10万円、2,000円の株価の銘柄であれば2,000円×100株=20万円は必要だ。

このように株式投資にはまとまった金額が必要であるが「ミニ株投資」という方法を使えばさらに低い金額で株式を購入することができる。ミニ株とは「単元未満株」の通称だ。通常であれば100株単位で売買されている株式もミニ株として購入する場合、1株から買うことができる。そのため株価が1,000円の株式であれば必要資金は1,000円で済むのだ(※売買手数料は考慮していない)。

ミニ株のメリット

ミニ株には、どのようなメリットがあるのか具体的に見ていこう。

・株価が高い銘柄も買える

上場している銘柄の中には、株価が1株1万円以上になるものもある。このような銘柄を100株単位で購入すると100万円以上の資金が必要だ。しかし、ミニ株であれば1株から購入できるため、必要資金は1万円程度で収まる。株価が高い銘柄には、有名企業も多い。ミニ株投資をすれば10万円以下でも有名企業の株式を保有することができるのだ。

・株を少しずつ買うことができる

一度に10万円準備することは難しくても「1ヵ月に1万円なら準備できる」という人も多いだろう。ミニ株投資は、毎月少しずつ株を購入していきたい投資家にも向いている。例えば株価1,000円の銘柄を毎月10株(1万円)ずつ購入すれば、10ヵ月で100株保有することも可能だ。

・購入代金の平均化ができる

購入価格の平均化が可能になる点もミニ株投資のメリットといえるだろう。例えば、株価1,000円の銘柄を一度に100株購入したら必要代金は10万円である。しかし以下のように2回に分けて購入すればどうだろうか。

・1回目:株価900円×50株=4万5,000円
・2回目:株価1,000円×50株=5万円

必要代金:9万5,000円
購入株価(平均):950円

株価は、株式市場が開いている日は毎日変動している。一度に100株購入するのではなく、50株ずつ分けて購入するなど工夫することで平均購入株価を下げることが可能となり、結果的に必要代金を少なくすることが期待できるのだ。

・分散投資がしやすい

「値下がりなどのリスクを分散するためにいろいろな株式を持ちたい」と考えている人もいるだろう。ただ単位株で複数銘柄を保有すると資金がかなり必要だ。しかし、ミニ株であれば1株単位から保有できるため、少ない資金で複数銘柄への投資ができる。分散投資もしやすくなるのだ。

ミニ株のデメリット

少ない資金で株式投資ができることがメリットのミニ株だがデメリットもあるので押さえておこう。

・リアルタイムでの取引ができない

100株単位の単元株の場合、株式市場が開いていればいつでも注文が出せ、価格が合えば約定(売買の成立)できる。しかし、ミニ株は注文時間によって約定タイミングと価格が決まっているため注意が必要だ。例として、ある証券会社のミニ株の約定タイミングを見てみよう。



注文時間 0:00~7:00 7:00~10:30 10:30~13:30 13:30~24:00
約定タイミング 当日前場始値
(9:00約定)
当日後場始値
(12:30約定)
当日後場終値
(15:00約定)
翌営業日前場始値
(翌9:00約定)

上の表のように注文時点では、どの株価で約定するかも分からない。そのため相場が大きく動く場合は、予想外の株価で約定することもあり得る。なおミニ株の注文では株価を指定する「指値注文」はできない。

・証券会社によってミニ株投資のルールが異なる

単元株の場合、どの証券会社で取引しても売買手数料が異なるくらいで、ほぼ違いはない。しかし、ミニ株は証券会社ごとにルールが異なる。先ほどの約定タイミングもそうだが取扱銘柄、1日で受けられる注文回数などもそれぞれにルールがあるため、取引前には必ずチェックしておこう。

小型株

10万円以下の少額からできる株式投資といえば「小型株」もある。一般的には、東証1部に上場している銘柄のうち時価総額と流動性が高い上位100銘柄を「大型株」、その次に高い400銘柄が「中型株」、それ以外を「小型株」と呼んでいる。小型株は、株価も数百円程度と低い傾向のため、10万円以下で1単元(100株)を購入できる可能性が極めて高い。

株価によっては、数銘柄保有することも可能だろう。小型株投資のメリット、デメリットも知っておこう。

小型株のメリット

小型株のメリットは、以下の通りだ。

・業績の割に株価が低いことがある

一般的に投資家は、業績が良好で流動性が高い大型株に目を向けがちと言われている。小型株は、銘柄数が多すぎるため、なかなか個別銘柄にまで注目されないことも多い。そのため業績が良好であるにもかかわらず株価が低いままの銘柄もある。

・株価が急に上がる可能性も

小型株は、数が多いため優良銘柄を精査することに時間がかかる。また株価が低いことが多い。ただ何かのきっかけで注目され株価が急騰する可能性もある。

小型株のデメリット

小型株のデメリットも確認しておこう

・流動性が低い

大型株や中型株に比べて流動性が低い点は、大きなデメリットだ。流動性が低いと売りたいときに買い手が付かず希望する株価で売れない恐れもある。逆に買いたいときに希望する株価で買えない可能性がある点もリスクだ。

・値動きが激しくなることも

小型株は、時価総額が低い傾向のため、注文数が多くなると株価が急激に変化する可能性がある。急騰する可能性があることはメリットだが、逆に大きく急落する可能性もあるため、思わぬ損失を抱える恐れもあるのだ。

当選すれば利益大!少し資金を足してIPO

10万円だけでは難しいかもしれないが、少し金額を足してIPOに申し込む手段もある。IPOとは、新規上場株のことだ。IPO投資とは、新規上場株への投資を指す。IPO投資では、まず投資家が幹事証券会社へ購入意思を表明するブックビルディング(需要申告)を行う。購入希望者が多い場合は、抽選が行われ当選者は公募価格で株式を取得することができるという仕組みだ。

IPOのメリット

IPOのメリットには、以下のようなものがある。

・大きな値上がり益が期待できる

IPOでは、初値(上場後最初の株価)が公募価格より大きく値上がりすることが期待できる。例えば2020年に上場したIPO銘柄の中には騰落率が+200~300%以上を記録したものもあった。上場後すぐに売却すれば大きな利益が得られる可能性が高いのだ。

・購入手数料は0円

一般的に株式取引をする場合は、売買手数料がかかる。例えばある店舗型証券会社の場合、店舗で売買注文を受けた場合、約定代金の1.265%(最低手数料5,500円)も必要だ。しかしIPOは公募で株式を購入するため、購入手数料は無料である。

IPOのデメリット

IPOのデメリットは、どのような点だろうか。こちらも紹介しておこう。

・抽選に当たりにくい

IPOは、値上がり益が期待できるため、非常に人気が高い。そのため参加者が非常に多く抽選に当たる確率は低くなる。

・抽選が平等に行われない場合もある

幹事証券会社に口座があればIPOは誰でも申し込めるが平等に抽選が行われるとは限らない。例えば「預かり資産が多い顧客を抽選で優遇」としている証券会社はいくつもある。優遇の有無は、各社のホームページなどで明記されているため、IPO申し込みの前に確認しておきたい。

IPOに当選するためのポイント

人気が高く当選しにくいIPOだが当選確率を上げるためのポイントもある。

・平等抽選式で取扱数の多い証券会社を組み合わせる

預かり資産額にかかわらず平等に抽選を行っている証券会社を選ぶことが重要だ。また一つの会社だけでなく複数の証券会社で申し込むと当選確率を上げることができる。IPOの取扱実績が多い証券会社を選ぶのもよいだろう。証券会社の中には、IPO情報をメールで知らせてくれるところもある。いろいろな企業のIPOに申し込むのも当選確率を上げるために大切なことだ。

・主幹事証券会社から申し込む

IPOは、主幹事証券会社と幹事証券会社で申込可能だ。ただし幹事証券会社に比べると主幹事証券会社への株式割り当てが非常に多くなっている。そのため主幹事証券会社で申し込んだほうが当選確率は高くなる。

10万円の少額投資におすすめのネット証券会社

10万円できる投資について解説してきた。ここで少額投資におすすめのネット証券会社を2社紹介する。これから口座を開設したい人は、参考にしてほしい。

SBI証券

SBI証券の特徴は、以下の通りである。


ミニ株 IPO実績 株式売買手数料
取扱いあり 2021年3月期:86社 スタンダードプラン:55円~
国内株式アクティブプラン:1日の約定代金100万円まで0円

SBI証券は、株式売買手数料の低さで人気を集めている。またIPO実績も非常に高く2021年3月期は86社だ。投資信託の取扱いの多さも評判の高い証券会社である。

楽天証券

楽天証券の特徴は、以下の通りだ。


ミニ株 IPO実績 株式売買手数料
取扱いあり 2020年:38社 ・超割コース
取引金額5万円まで:55円(税込み)
取引金額10万円まで:99円(税込み)

・いちにち定額コース
1日の売買約定代金の合計が100万円まで:0円

いちにち定額コース

1日の売買約定代金の合計が100万円まで:0円

楽天証券のIPOは、抽選方法について詳細にホームページで紹介している。公平な抽選を求める人には、好感がもてるだろう。また国内株式の売買手数料も非常に低い。少額投資を希望するならばぜひチェックしておきたい証券会社である。

10万円以下の少額投資は可能!さまざまな投資方法を検討しよう

紹介した通り10万円程度からでも投資を始めることは十分可能だ。1株単位から投資できる「ミニ株」、株価が低い銘柄を購入する「小型株投資」、大きな利益が狙いやすい「IPO」などさまざまな方法がある。

ただしミニ株については、取扱いのない証券会社もありIPOも幹事証券会社でないと申し込みができない。これから少額投資を始めたいのならばミニ株やIPOの扱いがあるかについても確認しておくとよいだろう。