新型コロナウイルスの蔓延をよそに、いま不動産投資への熱が高まっているという。そこで今回は、全3回に渡って「不動産投資」および不動産投資の前提となる「融資」について特集してみたい。
不動産ファンドに学ぶ4つの戦略
ほとんどの投資家は、不動産投資を行う際に融資を活用する。不動産投資と融資は深い関係にあり、極論すると「融資を制する者が不動産投資を制す」と言えるだろう。20代の大手新築ワンルーム投資会社の営業マンAさん曰く、「初めて不動産投資にトライする人が増えている」ようだ。
しかし、不動産投資は金融投資と比べて流動性が低く、融資を活用するのが一般的であるため、物件成約後に後戻りすることが難しい。そのため、購入前によく戦略を練ることが重要だ。
不動産投資の戦略を決める際に参考になるのが、プロフェショナル投資家とも呼べる機関投資家(不動産ファンド)の考え方だ。一般社団法人不動産証券化協会によると、不動産ファンドの種類は以下の4つに分類できるという(以下、不動産証券化協会より引用)。
コア型
ファンドの主要な期待リターンの源泉が、不動産賃貸からの生じるインカム・リターン(以下「賃貸インカム」)の獲得を目的として運用されるファンド。この場合、キャピタル・リターンについては、主要な期待リターンではないが、低〜中リスクの不動産市場の変動リスクを負う。
コアプラス型
ファンドの主要な期待リターンの源泉が、コア型と同様、賃貸インカムの獲得を目的とするが、一部についてはキャピタル・リターンの獲得をも目的として運用されるファンド。
バリューアッド型
ファンドの主要な期待リターンの源泉が、賃貸インカムの獲得に加えて、割安に取得した不動産等について、積極的に収益性を高め、不動産価値を増加させることによりキャピタル・リターンの獲得を目的として運用されるファンド。投資対象によっては、現状の収益性が陳腐化等により劣後している不動産等に投資されることも多く、一般に、コア、コアプラス型より、リスクが高い。
オポチュニスティック型
ファンドの主要な期待リターンの源泉が、市場動向予測に基づいた不動産の売買により、キャピタル・リターンの獲得を目的としたファンド。賃貸や売買市場動向の予測に基づく転売利益、またはバルクセールの買収処分、M&Aなど多様な形態があるが、上記よりもリスクが高いもの。
個人投資家に言い換えた場合は?
不動産ファンドと個人投資家では資金力や知識が全く異なるとしても、投資の基本的な考えには通じるものがあるはずだ。特に、豊富な不動産投資経験を持つセミプロ個人投資家ではなく、最近市場に参入した(もしくは参入する予定の)個人投資家はどのような戦略を取れば良いだろうか。上記4つの戦略を言い換えると、以下のように言えるだろう。