タイムマネジメントを行う5つのステップ
実際にタイムマネジメントを行う場合、どのようなプロセスを経るべきだろうか。筆者は、以下の5つのステップを踏むことをおすすめしている。
1.目標設定
タイムマネジメントの最初のステップは目標設定だ。目標設定をせずに「効果的な」タイムマネジメントを行うことは困難である。目標を設定しその実現のためのタスクを考えスケジューリングするのが基本だ。目標が設定されていないと、そもそもタスクを何のために行うのか分からなくなり、いたずらに時間を浪費してしまうことになりかねない。
目標は、自分の仕事やキャリアに直結する傾向のため、戦略的な目標と戦術的な目標を設定するのが賢明だろう。戦略的な目標の例を挙げれば、「1年後に顧客の数を倍にする」「売上を倍にする」といったものがある。戦術的な目標ならば、「ウェブサイトへのアクセスを25%以上増加させる」など週ごとや月ごとに設定してもいいだろう。
目標設定のステップでは、「SMARTの法則」と呼ばれるフレームワークを活用する方法もある。
Specific(明確性):第三者が見てもゴールをイメージできるか
Measurable(計量性):計測可能な数値が盛りこまれているか
Assignable(割当):それぞれの従業員に割り振れるタスクか
Realistic(実現性):実現できるリソースや時間はあるか
Time-bound(期限):いつまでに達成するか
目標が具体性に欠ける場合は、上記の要素を書きだして整理してみよう。
2.タスクのリスト化
次のステップは、タスクのリスト化である。戦略的な目標と戦術的な目標を実現させるためにやるべきことをリストアップするイメージだ。上の例でいえば「集客用のブログを立ち上げて運営する」「ホワイトペーパーを作る」「セミナーを開催する」など、考えられるタスクをできるだけ具体的に書きだしていく。
タスクの洗いだしでは、業務をツリー上に分解する「ロジックツリー」と呼ばれるフレームワークが役に立つ。たとえば、「顧客との商談」というタスクは、「資料の作成」と「営業トークの準備」に分解でき、「資料の作成」はさらに「データ収集」「顧客へのヒアリング」などに分けられる。
業務の理解にもつながるため、社内教育などにロジックツリーを導入してみよう。
3.タスクの優先順位付け
3つ目のステップは、タスクの優先順位付けだ。緊急性などを見てランキングにするのもいいが筆者はアイゼンハワー・マトリックスを使うことをおすすめしている。アイゼンハワー・マトリックスとは、アイゼンハワー米国大統領が在職中に使っていたとされるマトリックスで以下の4つのカテゴリーで構成されている。
- ①Do First:最も緊急性が高く、今すぐやらなければならないタスク
- ②スケジュール:今すぐやる必要はないが、スケジュールに記載していつか行うタスク
- ③アサイン:緊急性は高いが、あなた自身がやる必要がなく誰かにアサインできるタスク
- ④拒否:緊急性もなく、重要でもない、拒否または軽減しても構わないタスク。あるいは仕事が終わったらやる趣味など
ここでのポイントは、④拒否のカテゴリーにできるかぎり多くのタスクを入れ、できるだけ無駄な仕事をしないこと。なぜならタイムマネジメントの要諦は、「いかに有用なことに時間を使うか」にかかっており、無駄なことに時間を浪費しないことだからだ。各カテゴリーに分類したタスクは、それぞれに優先順位をつけておき毎日アップデートできるようにしておくといいだろう。
4.スケジューリング
タスクの優先順位付けが終わった後は、スケジューリングを行う。無地のカレンダーやスプレッドシート、後述する専用ツールを使ってもいいだろう。
- ①Do Firstのカテゴリーから記入
- ②スケジュール、③アサインと続けて記入する
- ④拒否のタスクは記入してもしなくてもどちらでもいい
ここでのポイントは、①Do Firstのタスクで優先順位の高いタスクは、できるかぎり自分の「ピークタイム」にスケジュールすることだ。なお「ピークタイム」については次章で説明する。
5.評価と見直し
タイムマネジメントの最後のステップは評価と見直し。いずれも日、週、月の終わりの段階で行い戦略目標や戦術目標の変更なども行う。タスクが実行できなかったときなども記録しその原因などをメモしておくといいだろう。このプロセスを重ねることでタイムマネジメントの質が向上しアウトプットやスループットも改善してくる。