当コラムで暗号資産のビットコインに触れたのが、昨年12月。そこからビットコイン価格は急騰し、今年4月には一時600万円台半ばまで駆け上がった。足元では、400万円台の攻防となっているが、あまりのボラティリティ(変動率)の高さに投資家は困惑しているようだ。ビットコインやイーサリアムといった暗号資産は今後も有望なのだろうか?

ビットコイン, BTC, 取引所
(画像=PIXTA)

直近1年間で約20倍の上昇となったビットコイン

「ビットコインの急落で1日で数億円のお金が溶けました」――。こんな報告がツイッターやブログに次々と上がったのが、今年の5月中旬以降のことだ。

そもそも、暗号資産の代表的通貨であるビットコインの最初の大相場は2017年だった。この年の12月、ビットコイン価格は一時200万円台を突破した。ちなみに、はじめてビットコイン価格が提示されたのは2009年10月で、1ビットコイン(BTC)は約0.07円だったと言われている。つまりビットコイン価格は、2017年までのわずか8年間で3000万倍近くまで膨れ上がったということだ。

その後、ビットコイン価格は2018年から調整に入り、2020年3月の新型コロナウイルスによる金融不安で、一時30万円台まで売り込まれることになる。そこから約1年後の今年4月にビットコイン価格は600万円台の史上最高値をつけた。1年間で約20倍のパフォーマンスだ。

株式市場でも、1年間で10倍以上のパフォーマンスをたたき出す銘柄は確かに存在する。2020年は約15銘柄がテンバガー(10倍高)となったが、日本株市場に上場する銘柄は約4000社あり、そこからピンポイントで「お宝株」を発掘するのは奇跡に近い。特に、テンバガーを達成する銘柄は、時価総額の低い新興市場の銘柄がほとんど。日本を代表する時価総額トップのトヨタ自動車がここから10倍高する可能性はほとんど考えられない。一方、ビットコインは、暗号資産の中で時価総額がトップでもっともメジャーな通貨だ。暗号資産に投資する人のほとんどがビットコインを中心に投資を行っているはずだ。

1BTCは現在400万円程度だが、取引所によっては1000円以下から投資可能だ。そのため資金的なハードルも低く、投資初心者でも参入しやすい。実際、大学生や芸人の間でもビットコイン投資が流行しているという。日本だけではなく、韓国では大学生の4人に1人がビットコインに投資しているとの報道もあるほどだ。

では、ビットコインは今後も有望なのだろうか?ビットコインのマイニングにいち早く目をつけ、自らもマイニング専用チップの開発に成功したベンチャー起業家に話を聞いた。ちなみにマイニングとは、ビットコインやイーサリアムといった暗号資産の取引承認に必要となる複雑な演算を行い、この報酬として暗号資産を手に入れる行為のことだ。

「新型コロナウイルスの感染拡大によって、世界中が大規模な金融緩和に踏み込みました。そこで生まれた“緩和マネー”がビットコインに大量に流入したのが、直近の上昇の大きな原因です。しかし最近では、ワクチン接種が進展し、金融緩和縮小の議論が起こり始めています。また、テスラのイーロン・マスク氏のネガティブな発言や中国政府による新たな規制などもあり、ビットコイン価格が調整に入ってしまいました」

今後はビットコインよりもイーサリアムがアツい⁉