本記事は、三谷淳氏の著書『成長も安定も実現する経営指標「RPG」入門 』(合同フォレスト)の中から一部を抜粋・編集しています。

売上を決める3つの要素

RPGを高める1つ目の方法は、売上を増やすという方法です。

どうやって売上を増やしていくかというのは、企業にとって永遠のテーマといっても過言ではありません。そして、固定費を増やさずに売上を増やすことに成功すれば、RPGも大きく高めることができ、収益性の高い「いい会社」に近づくことができます。

さらに言えば、「変動費率(原価率)を下げてRPGを高める方法」(第3章参照)よりも「物経費(固定費)を抑えてRPGを高める方法」(第4章参照)よりも、大きな可能性のある方法です。すなわち、企業努力で「原価率を半分にしてください」とか「固定費を半分にしてください」と言われても、「そんなの無理に決まっているだろ」となってしまいます。原価率や固定費の削減は、できてもせいぜい数%、2割も削減できれば大成功のはずです。

一方で、売上については、工夫次第で1割や2割の増加は簡単に達成できます。そればかりか、商品やサービスの内容と売り方を考え尽くせば、売上を2倍、3倍と伸ばしていくことも夢ではありません。

このように、売上の増加には無限の可能性がありますので、まずはどの会社でも売上を増やす方法を徹底的に考えてください

そして、すべての会社において、売上というのは、

売上 = 顧客数 × 客単価 × 購入頻度

という計算式で表すことができます。

すなわち、企業は常に「お客様を増やす」「高く買ってもらう」「たくさん買ってもらう」を考える必要がある、ということになります。売上増を考えるに当たっては、この売上の計算式に従って、「A 顧客数を増やす」「B 客単価を上げる」「C 購入頻度を上げる」の3つの施策を順番に考えてみるとよいでしょう。

■A 顧客数を増やす

B to C(Business to Consumer=個人に対して商品・サービスを提供する)の企業と、B to B(Business to Business =企業に対して商品・サービスを提供する)の企業とでは、重点を置くべき戦略が違ってくると考えています。B to Cでは広告を積極的に利用すべきなのに対し、B to Bではたくさんの見込み客と直接会うことが基本となるからです。この点については、項目を改めて詳しくお話しします。

■B 客単価を上げる

自社の別の商品を買ってもらう(クロスセル)、自社のより高い商品を買ってもらう(アップセル)といった施策が中心となります。しかし、それ以外にも、そもそも既存の商品の値上げを検討する必要がある場合もあります。また、不況の時こそ、より高く売れる新商品の開発を怠ってはなりません。

■C 購入頻度を上げる

主に一度きりの顧客でなく、リピーターを増やし、ファンを獲得していく取り組みです。購入者へのポイント付与や次回予約をとることなどが典型例ですが、いわゆるサブスク(定額制)モデルのビジネスでは、解約防止策を講じることも、この取り組みの一環です。

では、それぞれについて、どのような戦略を立てればいいか、そのヒントをお伝えしていきます。

『経営指標「RPG」入門』
三谷淳(みたに・じゅん)
未来創造グループ代表。税理士・弁護士・コンサルタント
1996年に司法試験に最年少合格。大手法律事務所勤務を経て2006年独立、紛争を予防し経営を伸ばす顧問弁護士として全国の中小企業経営者から絶大な支持を受ける。のべ3000人の経営者が参加する同世代経営者勉強会【S70's】を主催し、数々の上場企業を排出したほか、京セラ創業者・稲盛和夫氏から直々に経営哲学を学び、経営の本質を体得した。2017年に税理士登録、2018年に未来創造コンサルティングを立ち上げ、RPGというシンプルな指標を考案するなど幅広く活躍し、顧問先は150を超える。著書に『丸くおさめる交渉術』(すばる舎、2016 年)、『伸びてる会社の意外な共通点』(合同フォレスト、2017年)、『目標達成の全技術』(日本実業出版社、2019年)がある。

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