国際的な現代アートシーンで活躍する若手作家タグ・エイケンの展覧会が、金沢21世紀美術館で開催されています。同美術館所蔵では初公開となる作品に注目が集まっており、今回初公開となる作品は、映像によるインスタレーション形式のもの。ありふれた景色も、エイケンの手に掛かれば洗練された造形美となります。巨大なスクリーンによって、エイケンの世界感に浸ることができる貴重な機会です。
注目の若手現代アーティスト「タグ・エイケン」
ダグ・エイケンは1968 年に米レドンドビーチで生まれました。アート・センター・カレッジ・オブ・デザイン修了後、94 年ニューヨークへ移住し、現在はロサンゼルスを拠点に活動しています。99年ヴェネチア・ビエンナーレに出品した8画面から成るビデオ・インスタレーション作品「Electric Earth」が国際賞を受賞しました。以降は、ホイットニー美術館やニューヨーク近代美術館、ロンドンのサーペンタイン・ギャラリーやパリのポンピドゥー・センターなど、各国の主要な美術館で個展を開催しています。
彼の作風の特徴は、ビデオなどの映像作品を使ったインスタレーションです。インスタレーション (Installation art) とは、70年代以降一般化した芸術作品の表現方法の1つで、空間全体を作品として体験させる芸術。特定の室内や屋外などにオブジェや装置を置き、それらを変化させるなどして表現します。観客は作品世界に入り込む「没入感」を深く感じることができます。
「Electric Earth」では、街の中を青年が歩いていくと、ショーウインドーや、ビデオカメラ、自動販売機、コインランドリーなどに青年の体が反応して一緒に共振していく様子を体験できます。
2021年1月にエスパス ルイ・ヴィトン東京で展示されたのは「New Ocean: thaw」というインスタレーション作品でした。3画面のスクリーンが2つ設置され、その表と裏の合計12画面が客を囲むように配置され、アラスカの溶け行く氷河の景色が映しだされます。映像は、地上の氷河から、海中の氷、青空と太陽光へと変化します。4分あまりの映像と共に氷河の溶ける音と電子音をミックスさせた音楽が繰り返され、アラスカの氷河の世界に引き込まれていきます。
ダグ・エイケンのインスタレーション作品は、見る者の「没入感」がとても深いことで有名で、しかも日常のありふれた風景と音などを使って、非日常にいざなう手法は、世界中で人気となっています。
幻覚のような映像の流れが魅力の金沢21世紀美術館ダグ・エイケン展
今回美術館所蔵作品として初公開となる「アイ・アム・イン・ユー」は、5つのスクリーンで構成された映像インスタレーション作品です。米国郊外の日常的な風景の中にある人間、自然、人工物、幾何学的な図形といったイメージが少女のささやく声や手拍子のリズム、ピアノの旋律に合わせて軽快に重なり、幻覚のような映像の流れのなかに見ているものを引き込んでいきます。
この作品は、2000年制作。1999年のヴェネチア・ビエンナーレ国際賞受賞後の重要な大作として注目されてきました。結果として、「Electric Earth」と同等の評価の受けており、映像インスタレーションのダイナミズムを体験できる展覧会として、今回は多くのファンから金沢21世紀美術館での展示が注目されています。
「アイ・アム・イン・ユー」では、断片的な映像が反復的に繰り返され、とらえようのない感覚を経験することで、鑑賞者は映像と音の中をさまようような気持ちになる、という評判が立っています。美術作品の展覧会でこうしたインスタレーション作品には触れたことがないという方には、おすすめです。最初の「体験作品」として、ダグ・エイケンの作品は最適な入門編となるはずです。
開催期間は11月23日まで。多くの人に貴重な体験を届けてくれることでしょう。
「特別展示 ダグ・エイケン:アイ・アム・イン・ユー」
会期:2021年4月29日(木・祝)〜11月23日(火・祝)
※5月12日(水)〜5月31日(月)は休止(6月1日(火)以降の予定については改めて告知)
会場:金沢21世紀美術館 展示室13
住所:石川県金沢市広坂1-2-1
開館時間:10:00~18:00(金・土曜日は20:00まで)
休館日:月曜日(5月3日(月・祝)、8月9日(月・振替休日)、9月20日(月・祝)、11月1日(月)・22日(月)は開場)、5月6日(木)、8月10日(火)、9月21日(火)、休止期間
観覧料:無料
(提供:JPRIME)
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