アディダスは、地球環境を意識したサステナブルな取り組みの1つとして、2024年までに全ての製品において、再生プラスチックを100%使用すると発表しました。第一歩として2021年4月に同社の名作スニーカー「スタンスミス」を、再生プラスチックを使用した新しいモデルへと生まれ変わらせたのです。

こうしたモデルを開発することによって、新たな販売戦略の立案も可能になります。今回は、そうしたアディアスのサステナブルへの取り組みとベストセラーである定番スニーカー「スタンスミス」について解説します。

アディダスが手掛けるサステナブルの取り組み

アディダスのベストセラー、スタンスミスがリサイクル素材に!
(画像=Albo/stock.adobe.com)

さまざまなスポーツ用品を製造、販売しているアディダスは、スタンスミスについて、外観は変えずに、すべての部分において動物由来の素材を排し、リサイクル素材を使った「ヴィーガン設計」を取り入れています。

同社は、2024年までに製品すべてにおいてリサイクルポリエステルを使用するという目標を持っており、アイコンモデルであるスタンスミスのすべての商品を、100%リサイクルポリエステルに切り替えようとしているのです。

往年のテニスプレーヤーにちなんだシューズ

スタンスミスは往年のテニスプレーヤーの名で、その名を冠したアディダスの定番スニーカーとして有名です。もともとはテニスシューズとして販売されていましたが、現在では、一般的なスニーカー用途として人気があります。

アディダスのアイコン・スリーストライプスをパーフォレーション(通気孔)で表現したデザインで、1991年には「世界で一番売れたスニーカー」としてギネス認定され、アディダスを代表する商品となりました。

2012年から一時販売中止になったものの、2014年に再び販売され大ヒット。元サッカー選手のデヴィッド・ベッカムをはじめとした世界のセレブがスーツやジャケットに合わせて利用したことから、オフィシャルなスタイルにもマッチするスニーカーとしても定着したのです。

従来は皮革を使っており、現在も皮革仕様の製品が一部流通していますが、在庫がなくなり次第販売を終了する予定です。

新スタンスミスとアディダスのこれから

新モデルは、内側には高機能リサイクル素材を利用、アッパーにはレザーと同じ外観と手触りを持つリサイクルポリエステルを使用しています。この素材は、日本製のプレミアムコーティングを施したものです。

また、アウトソールには天然ラバーとリサイクルラバーを用い、靴ひもやインソールなどの細部もすべてリサイクル素材で作られています。

アディダスはサステナビリティへのコミットメントとして「END PLASTIC WASTE」を掲げています。バージンポリエステルの使用を廃止し、100%リサイクルポリエステルに切り替え感興に優しいアイテム作りをしていくことにしています。

しかし、一般的なランニングシューズは65ものパーツがあり、完成までの行程は360段階以上という複雑さを持っています。そのため、一足の製品に多様な素材を使うスニーカーのリサイクルは難しいとされてきました。しかしスタンスミスはこの困難を乗り越え、今後、素材の再利用率を高めながら、リサイクルされていくことになります。

アディダスは2019年4月、200足のサンプルシューズをユーザーに使用してもらい、翌年に回収した使用済みのシューズを洗浄後、リサイクルし、TPU(熱可塑性ポリウレタン)を粒状のペレットに戻して、その原料を一部用いて新たなシューズを製造しました。このシューズは商品化され、2021年夏に発売される予定です。

顧客から人気の高い定番商品を回収し、リサイクルして販売する、という戦略は、「サステナブルな社会の実現」という目標達成への本気度を内外に示す意味があるでしょう。

また、新しい販売戦略にもリサイクル商品化は大きく貢献するはずです。それがサブスクリプションビジネスです。ユーザーに一定の料金を支払ってもらい、その料金枠の中で、一定期間、複数種類の製品を使ってもらうという販売方式です。こうした販売戦略にリサイクルの循環を組みいれることで、社会貢献もできるプランとして、消費を刺激できるのではないでしょうか。

(提供:JPRIME


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