不動産投資をしていると、「レインズ」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。レインズには不動産売買の情報が多数掲載されており、物件探しや所有物件の売却で活用できます。今回は、レインズの仕組みやメリット・デメリット、不動産投資で活用する方法について解説します。

レインズとは

レインズの仕組みとは?利用するメリットや不動産投資で活用する方法を解説
(画像=ラト/stock.adobe.com)

レインズとは、不動産流通機構が運営している不動産情報ネットワークシステムです。「Real Estate Information Network System(不動産流通標準情報システム)」の頭文字をとって「レインズ(REINS)」と呼ばれています。

不動産売買情報が一元化されており、会員になっている不動産会社のみが閲覧できる仕組みです。不動産会社は顧客からの依頼に基づいて、レインズに登録された物件を購入希望者に紹介したり、買い手を探すために売却物件をレインズに登録したりします。

レインズは不動産会社向けのシステムであるため、基本的に一般の人は利用できません。ただし、物件売却のために不動産会社と媒介契約を締結した売主は、自身の売却物件情報のみ閲覧できます。

レインズは対象地域によって、以下4つの不動産流通機構が運営しています。

・東日本不動産流通機構(東日本レインズ)
・中部圏不動産流通機構(中部レインズ)
・近畿圏不動産流通機構(近畿レインズ)
・西日本不動産流通機構(西日本レインズ)

不動産投資でレインズを活用する場面

不動産投資において、レインズの存在を意識することは少ないかもしれません。しかし、レインズは以下2つの場面で活用されており、特に物件を売却するときは重要な役割を果たします。

物件を売却するとき

所有物件を売却するときは、少しでも多くの人に物件情報を知ってもらわなくてはなりません。レインズに売却したい物件を登録すれば、多くの不動産会社が物件情報を閲覧できます。買い手の希望条件に合致していれば不動産会社が物件を紹介してくれるので、成約しやすくなります。

レインズに登録しないと物件情報を目にする人が限られてしまい、成約の可能性が低くなります。

収益不動産を探すとき

買い手として収益不動産を探すときも、レインズは活用できます。不動産会社に物件の希望条件を伝えれば、レインズに登録された不動産情報の中から条件に合致した物件を紹介してもらえます。

レインズに登録された多くの情報から物件を探せるので、タイミングによっては優良物件に出会えるかもしれません。

レインズを利用するメリット

レインズを利用するメリットは以下の通りです。

媒介契約制度に基づいて安全に取引できる

レインズは、不動産会社との媒介契約を締結した物件情報が登録されています。レインズの登録物件であれば、媒介契約制度に基づいて安全に取引できます。媒介契約のうち、「専任媒介契約」と「専属専任媒介契約」についてはレインズへの登録が義務付けられています。

過去の取引事例を参考に適正価格で取引できる

レインズには、豊富な取引事例が蓄積されています。レインズを利用することで、過去の取引事例を参考にしながら適正価格で取引できます。売却価格の査定もレインズの取引事例を参考に行われており、いくらで売却できそうかを事前に把握することが可能です。

不動産情報の一元化によりスピーディーな売買が可能

レインズに登録された不動産情報は一元的に管理されており、会員である多くの不動産会社に共有されています。顧客の希望条件に合った物件を速やかに紹介できるため、スピーディーな売買が可能です。

レインズのデメリット

レインズは不動産情報が一元化されていますが、すべての物件情報が掲載されているわけではありません。

優良物件はレインズに登録される前に不動産会社が購入してしまったり、非公開物件として売買されたりすることもあります。また、レインズに長期にわたって登録されている物件は売れ残りで、不動産投資には適さない可能性もあります。

所有物件を売却する際は、レインズに登録することで成約の可能性が高まるでしょう。ただし、収益不動産を探すときは、不動産会社の未公開物件(レインズ未登録)も含めて投資判断を行うことが大切です。

売却物件をレインズに登録してもらう方法

売却したい物件をレインズに登録してもらう方法は以下の2つです。

専任媒介契約を締結する

所有物件を仲介で売却する場合、不動産会社との媒介契約は以下の3種類があります。

・一般媒介契約
・専任媒介契約
・専属専任媒介契約

レインズへの登録を希望するなら、専任媒介契約を選ぶといいでしょう。一般媒介契約は複数の不動産会社に仲介を依頼できますが、レインズへの登録が義務付けられていません。

一方、専任媒介契約と専属専任媒介契約はどちらも1社のみに仲介を依頼する契約で、レインズへの登録が義務付けられています。契約内容に大きな差はありませんが、専属専任媒介契約は自分で見つけた相手との取引が認められないので、実務では専任媒介契約が選ばれる傾向にあります。

成約すると不動産会社は仲介手数料を得られるので、専任媒介契約なら熱心に営業活動を行ってくれる可能性が高いのもメリットです。

一般媒介契約の場合は不動産会社に依頼する

一般媒介契約はレインズへ登録が義務付けられていませんが、任意で行うことは可能です。一般媒介契約で売却活動を進める場合は、レインズに登録してもらえるように不動産会社に依頼してみましょう。

ただし、登録を依頼しても断られる可能性があります。売却物件を確実にレインズに登録したい場合は、専任媒介契約を選ぶのがおすすめです。

個人がレインズの情報を見る方法はある?

レインズに掲載されている不動産情報は、基本的に不動産会社しか閲覧できません。ただし、一部の情報は個人でも見られます。ここでは、個人がレインズの情報を見る方法を紹介します。

自分の売却物件を確認する

所有物件の売却で不動産会社と媒介契約を締結し、レインズに登録した場合は、売却を依頼した物件の情報は確認可能です。登録証明書に記載されている売主向けのIDとパスワードを利用し、インターネット上の専用画面でレインズの登録内容や取引の現状を閲覧できます。

登録証明書はレインズから不動産会社に発行されるので、不動産会社に登録証明書について問い合わせてみましょう。

過去の取引状況を確認する

「REINS Market Information」というサイトを利用すれば、一般の人でもレインズに登録された物件の過去の取引状況を確認できます。

個別の不動産取引が特定できないように、物件名称や詳しい住所などは削除されています。しかし、建物種別(マンション、戸建)や都道府県、地域などの条件を指定して、過去の成約価格を確認することは可能です。

確認できる取引情報の内容は以下の通りです。

・成約価格
・単価
・面積(建物・土地)
・築年
・成約時期

REINS Market Informationを利用すれば、「投資を検討している地域の物件価格」や「所有物件の売却価格」などを判断する際に役立ちます。

まとめ

売却したい物件をレインズに登録すれば、多くの不動産会社の目に留まるため、買い手を見つけやすくなります。早期に物件を売却したい場合は、不動産会社と専任媒介契約を締結してレインズへ登録するといいでしょう。

また、投資物件を選ぶ際も、レインズに登録されている物件の中から優良物件が見つかることもあります。ただし、長期にわたって登録されている物件は売れ残りの可能性があるので注意が必要です。

(提供:Incomepress



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