老後の生活費の準備や早期退職を目的とした資産形成を行う場合、投資活動により収益を増加させることも重要ですが増えた金額を消費してしまっては元も子もないため、同時に家計を見直して支出を減らしていく必要があります。
支出削減を行う際は闇雲に節約を行うのではなく、金額が大きいものや他に替えが利くものからはじめることで、節約を効率的に無理なくすすめることができます。
本記事では家計の中で比較的大きな支出額を占める保険料の効率的な節約について解説していきます。
社会保険と私的保険の違い
保険は疾病や事故・災害により身体・財産に被害を受けた際、生活を維持・再建するための備えとなる重要な制度であり、健康保険や国民年金保険などの加入が義務付けられている社会保険と民間の保険会社などが提供している保険商品である私的保険に大別することができます。
社会保険の保証は幅広いものの、金額や対象範囲が限られている場合もあり、本当に必要な保証とのギャップを埋めるため私的保険が利用されています。
このため、私的保険の保証内容は社会保険にはない様々な保証内容を提供しており、実に90%近い世帯がなんらかの私的保険を利用していますが、当然ながら私的保険を利用する場合は保険料を負担する必要があります。
生命保険文化センターが2018年に実施した調査では、一世帯あたりの年間払込保険料の平均は38万2,000円となり、同年の可処分所得の平均が552万3,000円であることから、手取り収入のおよそ7%が保険料として使用されており、家計へ大きな影響を与える支出となっています。
金額の大きさから私的保険の保険料は削減による効果が期待できる反面、保証内容の見直しを伴う場合はリスクに対し脆弱になってしまう恐れもあります。私的保険の保険料を見直す際は、リスクと必要な保証についてよく把握することが大切です。
私的保険は保証内容によって3つの分野に分けられる
私的保険は契約内容によって、病気や怪我などで死亡などの一定の状態となった場合に保険金が支払われる生命保険(第1分野の保険)と、自動車保険や火災保険など財産が損害を受けた場合に損失額を保証する損害保険(第2分野の保険)、そして近年契約件数を伸ばしている医療保険や介護保険などは第一分野、第2分野両方の性質を併せ持っていることから第3分野の保険といわれ、身体が傷病などで一定の状態となっている間に保険金を受け取ることができます。
損害保険と生命保険などの大きな違いは保険金の支払われ方にあります。損害保険では実損填補という契約した保険金を上限として、実際に生じた被害額が保険金の金額となるため、保険対象となる財産価値が保険金の契約額の上限となります。
しかし、生命保険や医療保険などの保険金は契約に則した金額が支払われるため、実際に生じるリスク以上の保険金を契約することも可能ですが、リスクをしっかり分析せずに平均額や安心感などを理由に過大な保険契約を結んでしまうと保険料負担が家計をむしばんでしまうことに繋がります。
生命保険などを賢く利用するには、家計の支出・収入の状況からマネープランを作成し、入院・死亡といったリスク毎に必要となると見込まれる保険金額を算出することが重要といえます。
生命保険を利用するには条件がある
生命保険や医療保険など保険は、一生涯に渡って保証が得られる終身保険と、保険期間に満期が設定されており契約の更新が存在する定期保険に分けられます。このうち定期保険は比較的少ない保険料で大きな保証が得られるといった特徴があります。しかし、定期保険の場合、契約の更新に年齢制限が設定されていることが多く、生涯に渡るリスク対策として利用することが難しくなっています。
また、保険契約に際し健康状態を告知する義務を課されている場合がありますが、この告知義務の対応には注意が必要です。
健康状態について事実と異なった告知を行い、それが告知義務違反の時効である2年を迎える前に発覚した場合は保険契約が解除となってしまう可能性がありますし、告知義務違反の内容が重大な場合は時効成立後も契約が解除となりリスク発生の際に保険金を受け取ることができなくなってしまいます。
告知義務違反は契約者にとってはデメリットしかありませんので、告知については正確に行うようにしましょう。
保険はリスク対策として有効な選択肢ではあるものの、利用できる保証の回数に限りがあったり、幅広いリスクに備えるには複数の保険契約や特約が必要であったりして、保険料が高額になるなどの制約があるため、万能の解決策とは言えません。
保険の本質的価値は、万が一の際に必要なお金を受け取れること
保険は、支払った保険料の何倍もの保険金を受け取れるレバレッジ効果があり、資産形成が充分に進んでいない場合のリスク対策としては有効な選択肢といえます。
しかし、保険の保証は限られたシチュエーションでしか発揮されないうえ、保険金の支払事由が生じない場合、保険料はコストとして消費されてしまうというデメリットがあります。
保険によるリスク対策の本質は「必要なときに必要なお金を確保する」という点にありますが、これは投資活動においても同様の効果を得ることが可能です。
たとえばマンション投資をはじめとした不動産投資では、所有者の健康状態に関わらず安定した賃料収入が受け取れるため、傷病発生時には医療保険などと同様に収入減少を補う効果が見込めますし、融資を利用することで自己資金以上の物件を購入できるためレバレッジ効果も発揮することもできます。
また不動産投資によるリスク対策では、保険では基本的に支払事由が発生しない限り保険金を受け取ることはできませんが、不動産投資による賃料収入は時間経過により受け取ることが可能なため、リスクが生じていないのであれば、得られた収入を他の目的に転用できるメリットがあります。
リスク対策に保険は有効だが投資活動でも代替可能
お金の問題に備えるには、問題の内容についてよく知ることが大切です。お金の心配をなくそうと収入を増加させても支出が一緒に増加してしまっては意味がないばかりか、収入が減少に転じた場合は家計に大きなダメージを及ぼしてしまう恐れもあります。
お金の問題を解決するには支出をよく分析する必要がありますが、この際支出額の大きな物・他に代替の利くものを優先して行うことで生活レベルへの影響を抑えつつ効果的に削減を行うことができます。
家計支出のなかでは私的保険の保険料が手取り収入の7%と比較的高いことから、削減の効果を期待することができますが、保証の見直しを伴う場合はリスクに対し保証内容が不足していないかをよく把握することが大切です。
保険は少ない金額で大きな保証を得ることができますが年齢や健康状態によっては利用を継続することが難しくなる場合もあります。
保険によるリスク対策の本質はリスク発生時に必要な収入を確保することにありますが、これは不動産投資などの投資活動で不労所得を獲得することでも同様の効果を得ることができます。
不労所得を多く持つことができればその分保険による備えを見直すことができるようになり、保険料の節約につなげることができるようにもなるため、保険以外のリスク対策についても検討してみてはいかがでしょうか。
(提供:Incomepress )
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