ネットショッピングやキャッシュレス決済など、クレジットカードを利用するシーンは以前と比べて飛躍的に多くなっている。そこでクレジットカードを作りたいと思ったものの、クレジットカードはそもそも安定的な収入がある人や良好な属性の人など、審査に通る人でなければ持つことができないのでは?との不安を抱いてしまう方も多いのではないだろうか。

専業主婦の方々がクレジットカードを申し込む場合、職業欄は「無職」だ。実際には家事や子育てなど忙しく働いているのに納得がいかない方も多いかもしれないが、クレジットカードの審査では無職扱いになってしまう。クレジットカードの審査に通らないのではないかと心配になってしまう方もおられると思うが、実際のところはそうとは限らない。

専業主婦であってもクレジットカードを持つことは十分可能だ。しかしそれには知っておくべき知識とノウハウがあるので、当記事では専業主婦の方々が無事にクレジットカードを手にすることができるよう、必要な知識を指南する。

専業主婦でもクレジットカードを作ることはできる?

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(画像=PIXTA)

審査で不利になりそうな専業主婦でもクレジットカードを作ることはできるか?という問いへの答えは、イエスだ。専業主婦であってもクレジットカードを作ることはできるが、そこには2つ留意するべき点がある。

審査基準は扶養してくれている夫の収入面がカギ

先ほど専業主婦は無職のカテゴリーに入ってしまうと述べたが、本当に無職の人との大きな違いがある。それは配偶者の有無で、さらにいえば扶養の有無だ。専業主婦には、家族を扶養できるだけの収入がある配偶者がいるはずで、専業主婦のクレジットカード審査ではこの配偶者の収入が1つのカギになる。

クレジットカード会社の審査では専業主婦である本人が支払い困難になったとしても配偶者の収入で支払いができると推測できれば、審査にパスできるというわけだ。逆に、専業主婦である本人が過去に金融事故(延滞や債務整理など)を起こしていなくても、配偶者にそのような履歴があるとその妻もクレジットカードの審査に通るのが極めて困難になってしまう。

申請内容や過去の支払い状況も影響する

クレジットカードを作るためには、まず申し込み書類を提出することになる。今ではオンラインで完結できるものが多いが、その場合であっても入力フォームに個人情報を含むさまざまな情報を入力して申請することになる。審査ではこの入力情報が大きく影響する。どんな影響があるかは後述するが、申請内容によって審査の行方は大きく変わると認識しておきたい。

そしてもう1つは、過去の支払い状況だ。本人が金融事故(債務整理や延滞など)を起こした過去があれば審査にはかなり影響を及ぼす。先ほども述べたように、配偶者に同様の過去があっても影響は避けられない。いわゆるブラックリストに情報が残る年数は大手信用情報機関のJICCが「5年」と定めているため、少なくとも金融事故が起きてから5年間はクレジットカードの審査が極めて不利になると思っておくべきだろう。

専業主婦がクレジットカードを持つメリットは

クレジットカードを持つメリットは数多くあるが、専業主婦に特化したメリットもある。ここでは専業主婦がクレジットカードを持つメリットを3つ挙げてみた。

盗難被害防止につながる

専業主婦を含む女性を狙った該当犯罪が後を絶たない。女性が被害者となってしまった犯罪件数は年間20万件ほど発生しており(2018年データ)、そのうちの6割以上は「窃盗」だ。窃盗にはひったくりも相当数含まれており、ひったくり犯罪の被害者は約8割が女性であることを考えると、女性が多額の現金を持ち歩くことにはリスクを感じざるを得ない。

日々の買い物をクレジットカードで決済するようにすれば現金を持ち歩く必要がなくなり、万が一窃盗被害に遭ったとしてもカードを止めてしまえば犯罪者が勝手に使用することはできなくなる。仮に不正使用されたとしてもそれを証明できれば保険が適用されて支払い義務はなくなるため、実害はない。

家計管理が容易になる

現金だと逐次記録しておかないといくら使ったのかを忘れてしまいがちであるが、細かいお金の出し入れまですべて記録するのは面倒だ。クレジットカードであれば使用履歴を簡単にチェックできるため、何にいくら使ったのかを自動的に記録することができる。

買い物のログを残すことにより、無駄遣いを洗い出すことも期待できるので、クレジットカードによる家計管理には一次的、二次的なメリットがある。

節約になる

主婦の方々がクレジットカードを使う最も直接的なメリットは、ポイントシステムではないだろうか。おそらくクレジットカードを作りたいとお考えの主婦の方の中には、ポイントをためてオトクに利用したいという方も多いことだろう。

カード会社同士もポイントシステムの充実度を競い合っているため、主婦層をターゲットにしたカードでは特にポイントシステムの充実が図られている。これを利用しない手はないので、クレジットカードを節約アイテムとして上手に活用したいところだ。

専業主婦がクレジットカード審査に落ちないための方法

それでは、いよいよ本題だ。専業主婦がクレジットカード審査に落ちないようにするために知っておくべきことをまとめた。もちろんこれらの4項目をすべて満たしたからといった100%審査に通るわけでないが、ただ闇雲に申し込むのと比べると審査に通る確率は格段にアップするのは間違いないだろう。

●ショッピング枠は30万円以内

クレジットカードの申し込みをする際には必ず、利用枠の希望を記入する欄がある。もちろん利用したい任意の金額を入力(もしくは選択)して構わないが、審査に通ることを意識するのであれば30万円以内にしよう。

というのも、クレジットカードの審査には「支払可能見込額の調査」が含まれることがある。文字通りその本人や、専業主婦の場合は配偶者の収入に照らして、クレジットカード会社がどれだけの与信枠を設けるかを決めるためのものだ。ショッピング枠が30万円を超えるクレジットカードを作る場合は、この「支払可能見込額の調査」が義務となるため、いわば審査に落ちてしまう可能性を1つ増やしてしまうことになる。

30万円以下の申し込みだと「支払可能見込額の調査」は原則免除となるため、クレジットカード会社による審査の関門が1つ少なくなり、その分だけ審査に通る可能性は高くなると考えられる。

よって、専業主婦がクレジットカードを申し込む場合は、ショッピング枠の希望を30万円以下にすることをおすすめする。

キャッシング枠は0円で申し込む

クレジットカードにはショッピング枠だけではなく、キャッシング枠を設定することができる。これはクレジットカードでありながらキャッシング(現金の借り入れ)が可能なサービスで、ショッピング枠とは取り扱いが異なる。

ショッピング枠については割賦販売法の適用を受けるが、キャッシング枠については貸金業法などの適用を受ける。これはつまり、消費者金融と同じカテゴリーだ。

キャッシング枠があると確かに便利ではあるが、専業主婦がクレジットカードを申し込む時にキャッシング枠を希望すると、別の審査をもう1つ受けることになる。キャッシングの審査に通らなければショッピング枠のみのカードを作れることもあるが、スムーズな審査のためにはキャッシング枠は0円、つまり希望しない設定で申し込むのが無難だ。

どうしてもキャッシング枠が欲しいということであれば、ある程度の利用実績を作ったうえでキャッシング枠の追加申し込みをするようにしよう。

流通系のクレジットカードを選ぶ

流通系のクレジットカードとは、イオンやイトーヨーカドーといった大手スーパー系列のカードのことだ。これらのクレジットカードはそもそも主婦層をターゲットにしており、専業主婦が申し込みをしても何ら不自然なことではない。

ポイントシステムなどの使い勝手も含めて、審査に通りやすいことも期待できるため、たくさんあるクレジットカードブランドの中でも流通系を選んで優先的に申し込んでみよう。

同時に複数のカードに申し込まない

「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」の言葉ではないが、どれか1つでも審査に通ればとばかりに複数のカードに同時申し込みをするのは絶対に避けるべきだ。というのも、複数の会社で審査が同時に行われていることをそれぞれのカード会社が知ることになるため、「この人はお金に困っているのでは?」とあらぬ疑念を抱かれてしまう恐れがあるからだ。

これは消費者金融にも同様のことがいえる。クレジットカード、消費者金融ともに複数業者に同時申し込みをすると、仮にどこからの業者で審査に通った場合、その業者の与信枠を差し引いた分の信用状態を審査することになるため、仮に審査に通ったとしても利用できる金額が狭められる可能性がある。

いずれにしても複数カードの同時申し込みは損をすることはあってもプラスになることは全くないので、絶対に避けよう。

専業主婦におすすめのクレジットカード5選

最後に、専業主婦におすすめのクレジットカードを5つ厳選して紹介しよう。

JCB CARD W plus L

特定の店舗やサービスが決まっている人であれば、それらのポイント還元率が高いカードを選ぶべきだが、特にそういったものが決まっていない人であればこの「JCB CARD W plus L」が最適だ。

年会費が永年無料なので利用しないことがあっても無駄なコストはかからず、還元率は1%と高め。ネット通販をよく利用する人であればamazonのポイント還元率が2%と高いことも秀逸だ。

楽天PINKカード

「PINK」という名称のとおり、楽天カードの中でも女性利用者を意識したブランドだ。カードの年会費は永年無料で、ポイント還元率は基本的に1%、さらに女性に喜ばれるカスタマイズ特典が用意されている。女性がよく利用する施設や飲食店などのクーポンが充実しており、さらに女性向けの保険「楽天PINKサポート」も用意されている。

Orico Card THE POINT

コストにシビアな専業主婦にとって必須の機能ともいえる年会費無料はもちろんのこと、ポイント還元率が総じて高いのも嬉しいところだ。入会後の半年間はポイント還元率が通常の倍の2%になるため、積極的に買い物をする時期に合わせて入会するのもいいかもしれない。

イオンカードセレクト

流通大手、イオングループのクレジットカード。イオンが全国的に開催する「お客様感謝デー」では買い物代金が5%引きになり、特定日ではなくてもイオングループ対象店舗での利用ならポイント還元率が倍(1%)になる。イオンを日常的に利用する人であれば、最も優先順位の高いカードといえよう。

エポスカード

前項のイオンカードと同様、流通大手の丸井グループが発行しているクレジットカードだ。こちらも年会費は永年無料で、丸井グループの各店で利用するとポイントが2倍(1%)になる。飲食店や美容室、ホテルなど女性が利用する可能性が高い店舗での優待が受けられるなどのメリットもある。

クレジットカードで家計の管理を楽に

家計の管理は、いわば家庭内の経理事務だ。経理はそれ自体を仕事にしている人もいるほど作業量は多く、苦手な人にとっては苦痛かもしれない。日常の買い物をクレジットカードで支払うようにすれば盗難対策になるばかりか、自動的に利用履歴が記録されていくため、家計管理も楽になる。

日常的に使うのであれば、クレジットカード選びにもこだわりたいところだ。当記事では5つのカードを紹介しているので、ライフスタイルに合ったカードを選んでオトク感をしっかりと実感してほしい。