多くのクレジットカードには、家族カードという仕組みがある。本来であればクレジットカードを持つことが難しい人であっても持ちやすいことや、全体的に年会費が安いのに本会員同様のサービスを受けられることなど、家族カードには特有のメリットがいくつもある。

そこで当記事では家族カードの基本的な知識から「おすすめできないポイント」として留意しておくべき点、カードの選び方など、家族カードを検討している方に必要な情報をお届けする。

家族カードのおすすめポイント

家族カード,メリット
(画像=PIXTA)

家族カードとは、最初のカード保有者である本会員の家族が持つことのできるクレジットカードのことだ。本会員がすでに審査にパスしているため、特に別途審査をすることもなくクレジットカードを持つことができる。これだけでも人によっては大きなメリットだが、それ以外にも家族カードには多くのメリットがあるので、ここではおすすめのポイントとして紹介する。

全体的に年会費が安い

年会費が発生するカードであっても、家族カードは本会員よりも年会費が安いことが多く、家族が別のカードを作るよりも維持コストを抑えやすくなる。年会費は文字どおり毎年発生するコストなので、カードを保有する期間が長くなるほどコストの差が大きくなる。

このことを踏まえて、クレジットカードの維持コストにはシビアになるべきだろう。その意味で家族カードはコストパフォーマンスに優れている。

本会員が受けるサービスが家族にも適用される

家族カード保有者には、本会員と同様のサービスが適用される。年会費が発生したとしても本会員よりも安いうえに同等のサービスが受けられるのは嬉しいところだ。

夫婦でポイントをためやすい

ポイントシステムはクレジットカードの大きな魅力だ。家族カードは本会員を含めてポイントが合算される仕組みになっているカードが多く、家族それぞれがカードを利用することによってポイントをためる効率が高くなる。

家計管理にも利用できる

家族カードの大きな特徴の1つに、利用分が本会員にまとめられる点が挙げられる。本会員のもとには家族カードを持っている全員の利用明細が届き、請求も合算されるため、家計管理にも活用できる。

専業主婦や非正規雇用の方でもカードが持てる

数ある家族カードのメリットの中でも特に大きいと思われるのが、専業主婦や非正規雇用の人など、本来であればクレジットカードを持つことが決して簡単ではない人であってもカードを保有できる点だ。

今やネットショッピングやキャッシュレス決済など、以前よりもクレジットカードを必要とする場面は多い。社会がこれほど変化していてもクレジットカードを持つための審査はそれほど大きく変わっていないため、カードを必要としているのに持つことができない「空白」は依然として存在している。

家族カードは本会員の信用状態に基づいて発行されるため、本来であればカードを持つことが難しい人には「渡りに船」となるかもしれない。

家族カードのおすすめできないポイント

メリットの一方で、家族カードに関しておすすめできないポイントもある。ここでは家族カードを検討している方々に3つの項目で注意喚起をしておきたい。

カード利用者の信用情報は育たない

クレジットカードには、「信用情報を育てる」という概念がある。カードを使用して代金を決済し、それを支払日に支払うことで実績を作ると、次第に信用が積み重なることをいう。信用情報を育てると、カード会社から優良顧客と見なされて利用限度額が増額されたり、ワンランク上のカード(ゴールドカードなど)に招待されたりといったように利用者にとってメリットがもたらされる。

他社でクレジットカードを作る際にも信用情報を育てていると審査に通りやすくなるため、カード利用者にとって見えない財産といってもよいだろう。

しかし、家族カードはあくまでも本会員の信用に基づいて発行されるため、家族カード保有者が利用と支払いを続けたとしてもその人の信用情報が育つわけではない。今後に向けて信用情報を育てていきたいと考えている人は、家族カードではなく自分名義のカードを持つべきだろう。

利用内容がわかってしまう

先ほど、家族カードは請求が本会員に合算されると述べた。このことで家計管理が楽になるメリットがあるとも述べたが、これは裏を返すとカードの利用内容が本会員に筒抜けになってしまうことと表裏一体だ。

家族なので情報を共有するのは当たり前かもしれないが、買い物の内容によってはプライバシーに関わるものがあるかもしれないので、その場合は「本会員のところに請求がいく」ことを留意しながら利用したほうが無難だ。

利用可能枠は本会員カードとシェア

家族カードは本会員カードからの「分家」のような位置づけなので、利用可能枠も本会員カードとシェアすることになる。たとえば本会員カードの限度枠が50万円であれば、家族カードを持っている人の分も全部合わせて限度枠は50万円となる。

もし家族カードを持っている人が50万円の枠を使ってしまったら、本会員であってもそれを超えて利用することはできなくなる。思わぬトラブルや不利益の原因にもなりかねないので、家族カードを含めて複数の人がカードを利用する場合はコミュニケーションをしっかりと図る必要がある。

おすすめの家族カードの選び方

家族カードを設定しているクレジットカードはたくさんあるが、そのどれもが同じではない。年会費やポイント還元率など、それぞれのカードには特徴があるので、家族カードを含めたカード選びのポイントを解説しておこう。

年会費無料のカードを選ぶ

年会費はクレジットカードを持つための維持コストなので、無料であることに越したことはない。サービス内容に応じて年会費はカードブランドによってまちまちで、本会員と家族カード会員ともに永年無料のカードがあるかと思えば、逆に本会員、家族カード会員ともに年会費が発生するカードなど、年会費の視点だけで見てもばらつきがある。

維持コストのことを考えると本会員、家族カード会員ともに年会費が永年無料であることが理想だ。当記事ではどちらも永年無料で持つことができるカードをいくつか紹介しているので、そちらも参考にしていただきたい。

ポイント還元率で選ぶ

ポイントシステムはクレジットカードを使ううえでとても比較しやすい部分だ。使えば使うほどポイントがたまるため、ポイント還元率の差はどんどん大きくなる。家族カードを持つ場合は本会員と家族カード会員それぞれがカードを利用するためポイントがたまる速度はその分速くなる。

つまり、ポイント還元率が高いカードを選ぶことで享受できるポイントの恩恵も大きくなるので、選ぶ際の大きな基準となるだろう。

付帯サービスで選ぶ

クレジットカードは持っているだけで役に立つものではなく、「使ってナンボ」だ。旅行保険や優待など、付帯サービスもクレジットカードの重要な「性能」である。カード会社はそれぞれ付帯サービスの充実度でも競い合っているため、付帯サービスをどれだけ利用するかとの視点で家族カードを選ぶのもよいだろう。

たとえばネットショッピングにカードをよく使う人であれば楽天カードのようにポイントが3倍になる付帯サービス、飛行機を使った移動が多い人であれば空港ラウンジを利用できるサービスが付帯しているJALカードといったように、付帯サービスをお目当てに家族カード選びをするのも楽しい。

利用者の属性で選ぶ

クレジットカードは利用者の属性によって多くのグレードに細分化されているので、この属性についても最適なものを選ぶべきだ。家族カードも含めて利用額がそれほど多くない人がゴールドカードを持っていても宝の持ち腐れになってしまうだろうし、逆に利用額が多いのに年会費無料にこだわるあまりに利用限度枠が小さいカードを使っても物足りないだろう。まして家族カードを持つとなると家族全員で1つの利用枠をシェアすることになるため、なおさらだ。

年会費と利用限度枠、そして付帯サービスの内容が属性に適しているかどうかを精査すると、総合的に最も合ったカードを選びやすくなる。

家族カードはこの5つがおすすめ

それでは実際に家族カードを含めたクレジットカード選びで参考にしていただきたい5つのカードを厳選して、紹介しよう。

アメリカン・エキスプレス・ゴールドカード

世界的にも通用するアメックスブランドのゴールドカード。年会費は本会員が3万1900円で、家族カード会員が1万3200円だ。ポイント還元率が1%と高いうえにプライオリティ・パスが付帯しているため、世界中の空港ラウンジを無料で利用できるなどVIPカードらしいサービスが満載だ。それを家族会員なら1万円台の年会費で利用できるため、コストパフォーマンスはとても優れているといえるだろう。

イオンカードセレクト

イオングループのクレジットカードなので、「お客様感謝デー」に利用すると買い物代金が5%引きになることや、イオングループの対象店舗で利用するとポイントが2倍になるなど、イオンを日常的に利用する人にとって非常にメリットが大きいカードだ。家族それぞれがカードを持ってイオンを利用するような人であれば、そのメリットはより大きくなる。

JCB CARD W

JCBブランドのカードであり、最大の特徴はポイント還元率が1%で高いこと。年会費が永年無料でありながらこれだけのポイント還元が得られるカードは珍しい。家族カードも含めてポイントをどんどんためたいとお考えなのであれば、かなり有力な選択肢だ。

楽天カード

年会費無料であることを前面に打ち出したCMキャンペーンも有名な楽天グループのクレジットカード。年会費無料でありながら本会員、家族カード会員ともにポイント還元率は1%だ。楽天市場でネットショッピングをするとポイント還元率が最大3倍になるため、ネットショッピングをよく利用する人(家族)に適したカードだ。

dカード GOLD

ゴールドカードなので本会員は年間1万1000円の会費が発生するが、注目なのは家族カードの1枚目は年会費が無料であることだ。つまり夫婦など2人で持てば実質的な年会費は半額になる。NTTドコモブランドのクレジットカードなので、ドコモ携帯料金のポイント還元率が10%と非常に高いため、携帯電話と併せてカードを利用するとオトク感がより大きくなる。

家族カードを使いこなそう

家族カードは本会員の信用状態さえ良好であれば手軽に持つことができるため、専業主婦や無職、非正規雇用などカードの審査に通りにくい人には強い味方である。しかも家族カードは年会費が安くなっていたり無料になるなど特有のサービスもあるので、家族カードを含めたオトク感を考慮してカードを選び、自分たちに合ったカードを使いこなすのがよいだろう。