日本に居ながらにして海外の株に投資ができる外国株投資には、日本株投資にない面白さとメリットがある。ところで外国株へ投資をする場合、どの証券会社から購入するのがよいのだろうか。また外国株投資のメリットやデメリットは何だろうか。本記事では、外国株投資の基本とともに外国株を購入する際のおすすめの証券会社などを紹介する。
外国株はどの証券会社から購入するのがよい?
外国株をどの証券会社から購入するのがよいかを解説する前に、2つほど確認しておこう。
どの国の株式を購入できるのか?
日本では、どの国の株式を購入できるのだろうか。例えば大和証券では、北米や欧州、中国などを含む20カ国の株式の売買が可能だ。(ダイワ・コンサルティングコースの場合)新興国への投資を希望の場合、例えばSBI証券では韓国、ロシア、ベトナム、インドネシア、シンガポール、タイ、マレーシアなどの国の株式を購入できる。欧米先進諸国や主要な新興国の株であれば大抵購入できると考えていいだろう。
手数料をチェック
多くの国の株式を購入できるとはいっても、証券会社によって取引手数料に違いがある点は押さえておきたい。証券会社によっては買付手数料が無料のところもあるので、外国株投資を始める前にチェックをしておこう。
外国株投資に向いている証券会社5選
では、さっそく外国株投資に向いている証券会社5選を紹介しよう。
SBI証券
SBI証券では、アメリカ、中国、韓国、ロシア、ベトナム、インドネシア、シンガポール、タイ、マレーシアの株式の売買が可能だ。また、成長著しいASEAN諸国へ投資するETFなども購入できる。SBI証券の外国株式ウェブサイトから「外国株式取引口座開設」アイコンをクリックし、画面の指示に従って手続きすれば、最短で申し込み完了と同時に開設が可能だ。
なお、外国株式取引口座を開設するには、あらかじめSBI証券の総合口座を開設しておく必要がある。
楽天証券
楽天証券では、アメリカ、中国、シンガポール、タイ、マレーシア、インドネシアなどの株式の売買が可能だ。楽天証券の総合口座があれば特別な手続きなしに、すぐに外国株が売買できる。買付手数料無料の米国ETFなどもあり、手数料も総じて低めに設定されているのが魅力だ。
DMM.com証券
外国株の中でも特に米国株へ投資をするなら、DMM.com証券がおすすめだ。米国株の取引について、約定の金額にかかわらず取引手数料はゼロとなっている。購入した米国株は信用取引の担保として使える点もメリットの一つ。さらに米国株と日本株を同時に取引できるスマートフォンアプリも用意されているため、日米両方の株に投資している人にとっては大変便利だ。
マネックス証券
米国株へ投資するならマネックス証券もおすすめだ。マネックス証券の取扱米国株銘柄は4000を超え日本最大クラスとなっている。またGAFAMなどの大型銘柄に加え中小型銘柄も豊富な点も魅力。さらに米国株取引のための円から米ドルへの為替手数料が無料のため、頻繁に売買する投資家にとっては大きなメリットだ。なおマネックス証券で米国株の取引を行うには、外国株取引口座を開設する必要がある。
大和証券
外国株投資を行うなら大和証券は避けて通れないだろう。110年の歴史を持つ老舗名門証券会社であり、現在も全国47都道府県に180店の店舗を有している。パソコンやインターネットが苦手な投資家にとってはありがたい存在だ。また、店舗で取り扱う「ダイワ・コンサルティング」と、コンタクトセンターで取り扱う「ダイワ・ダイレクト」の2つのコースが用意されている。
「ダイワ・コンサルティング」では、全世界20ヵ国、「ダイワ・ダイレクト」では16ヵ国の株式の売買が可能だ。
外国株投資のメリット
では、ここで外国株投資のメリットとデメリットについて考えてみよう。まずはメリットだ。
リスク分散
外国株投資のメリットの一つはリスク分散だ。リスク分散は投資の要諦の一つだが、例えば投資ポートフォリオを日本株だけで構成している場合、投資のパフォーマンスは日本の景気や経済環境に大きく依存することになる。しかも少子高齢化の時代にあり、高度経済成長期のような大きな成長は望めない。そこで例えば、ポートフォリオの一部に外国株を組み込んでいれば、リスクを分散させ、なおかつ利益を狙うことが可能になる。
少額から挑戦できる
比較的少額から挑戦できることも外国株投資のメリットだ。例えばSBI証券の場合、米国株は最低1株から購入できる。以下のような価格で1株を購入可能だ(いずれも2021年6月11日時点の株価)。
・ノキア
・バンクオブアメリカ
・GE
・ファイザー
・インテル
※()内の数値は1米ドル110円として換算
わずか数千円で世界トップクラスの企業に投資できるのも大きな魅力だろう。
配当利回り
高配当利回りの銘柄が多いのも外国株投資のメリットだ。特に米国株は、高配当利回りの銘柄が多い。例えば2021年6月11日時点では、以下のような高配当銘柄がある。
・アッヴィ
・AT&T
・エクソンモービル
・ピープルズ・ユナイテッド・フィナンシャル
・カーディナルヘルス
※いずれも税引き前
ちなみに日本では、日経平均配当利回り1.69%、日経300平均配当利回り1.67%、東証1部全銘柄平均配当利回り1.72%となっている(2021年6月11日時点)。
配当の回数が多い
配当の回数が多いことも外国株投資のメリットだ。例えばアメリカの多くの上場企業は、四半期ごとに年4回配当している。Appleの場合、毎年2月、5月、8月、11月の配当だ。一方、日本の上場企業の多くは年1~2回しか配当していない。
外国株投資のデメリット
では、外国株投資のデメリットは何だろうか。
為替リスク
まず挙げられるのが為替リスクだ。一般的に外国株投資は、日本円を現地通貨へ交換して行われる。米国株へ1万米ドル投資する場合、1米ドル100円として100万円を米ドルに交換する。 ※話を単純化するためにここでは各手数料や税金などは考慮しない。
実際に1万米ドルを運用して半年後に1万2000米ドルで売却した。その際1米ドル120円の円安になっていた場合、144万円を受け取ることが可能だ。しかし逆に円高となり80円になっていた場合は、96万円になってしまう。一般的に外国通貨に対して購入時のレートよりも円高になると為替差損が発生するので注意が必要だ。
ストップ安・高がない
外国の株式市場においては、日本のストップ安・高のような値幅制限がないところがある。例えば、米国の株式市場や中国の株式市場の多くには値幅制限が存在しない。つまり投資家にとって値上がりや値下がりがプラスに転じた場合、より多くのリターンをもたらすが、逆にマイナスに転じた場合は、より多くの損失をもたらすことになる。
情報が取りづらい
海外の情報が取りづらいのもデメリットだ。これは、言葉の壁が原因となるケースが多いが、例えば新興国などの場合、最初から情報が十分に公開されていないケースもある。さらに国によってはインターネットなどのインフラが十分に整備されておらず、企業のIR活動などが制限されるケースも少なくない。国内での投資に比べれば情報収取の点で課題があるのは事実だろう。
外国株の買い方
では、実際に外国株をどのように買えばいいのだろうか。ここでは、マネックス証券で米国株を購入する例を紹介していく。マネックス証券に証券総合取引口座がない場合、まずは口座を開設することが必要だ。口座開設は、オンラインまたは郵送で申し込みができるが、いずれも本人確認書類とマイナンバーの提出が必須である。オンラインの申し込みのほうが簡単でスピーディーなのでおすすめだ。
証券総合取引口座が開設できたら自分のアカウントへログインし、「外国株取引口座」を開設する。画面の指示に従って情報を入力していくと、比較的簡単に外国株取引口座開設の申し込みができるだろう。マネックス証券では、外国株取引口座の開設には申し込みから最大で3営業日かかるとしている。外国株取引口座が開設できたらログインし、画面の指示に従って口座で資金振替を行う。
通常は、外国株取引口座へ日本円を入金すると管理サイト内で米ドルに為替振替され、米ドルで残高が表示されるようになる。そうなったら後は売買するだけだ。
情報収集の方法は?
外国株投資を行うにあたり、どのように情報収集をすればいいだろうか。例えば、各証券会社が提供している情報を集めて上手に利用することも方法の一つだ。マネックス証券の場合、外国株取引口座には「投資情報」というメニューがあり、米国株の各種の投資情報が入手できる。個別銘柄の決算・財務情報やニュース、ランキングといった情報が入手可能だ。
米国株投資の場合、個別銘柄を詳細に分析できる「銘柄スカウター」という機能も提供されていて、投資を検討している銘柄のモニタリングができる。
始めやすいのやはり米国株
数ある外国株の中でもおすすめは、やはり米国株だ。米国株式市場は、世界最大の時価総額を誇っており世界をリードする優良企業がひしめいている。市場の新陳代謝もスムースで、市場には優れたプレーヤーが多くいることも特徴。また、上述したように米国株には高配当利回りの銘柄が多く、年4回配当するものが多い。さらにコカ・コーラやジョンソンエンドジョンソンといった、50年以上も連続増配している銘柄もあることは魅力だ。
円対米ドルの為替相場も比較的安定しており、為替差損のリスクも少ない。バイオやIT系の将来有望な若い企業も多いのも、始めやすい理由の一つとなるだろう。
投資家は海外に目を向けよう
外国株投資の基本についておすすめの証券会社やメリット・デメリット、実際の買い方などについて解説した。日本は、バブル期以降失われた20年という時代を過ごし、少子高齢化が進むある種の成熟した国家になったといえる。一方アメリカは、いまだに世界最大のGDPを誇りGAFAMに代表される世界的企業を排出している経済大国だ。
またASEAN諸国の中には、今後高い経済成長が見込める国が少なくない。世界経済がさらにボーダーレスになると予想される時代において、投資ポートフォリオを国内株だけで構成するのはリスキーだ。株式投資家には、目を海外へ向けることが今後さらに求められるだろう。