比較的安心・安全な投資先として挙げられることが多い投資信託。2021年5月末時点で日本には5897本の公募株式投資信託が組成・運用されている。

しかし初心者の投資家は、たくさんある投資信託の中からどのような観点で選べばいいのだろうか。この記事では、初心者を対象にインデックスファンドについて解説し、おすすめする理由を説明する。

投資信託なら「インデックスファンド」がおすすめされる理由!

投資信託,インデックスファンド
(画像=PIXTA)

投資の初心者は「インデックスファンド」をおすすめされることが多いだろう。インデックスファンド(Index fund)とは、日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)などのインデックス(指数)との連動を目指して組成・運用される投資信託やETF(上場投資信託)のことで、パッシブファンド(Passive fund)とも呼ばれている。

インデックスファンドは、日経平均株価などの国内株式市場のインデックスとの連動を目指しているものが多い。しかし中には、ダウジョーンズ平均株価やS&P500などの米国株式市場の主要インデックスとの連動を目指すものもある。インデックスファンドのポートフォリオは、連動を目指すインデックスに採用されている企業の株や債券で構成されるのが一般的だ。

インデックスファンドは、長期スパンにおいて株式市場のパフォーマンスが個別企業のそれを上回る期待のもと運用されている。

一方で「アクティブファンド」とは?

インデックスファンドに対しアクティブファンドと呼ばれるものもある。アクティブファンド(Active fund)とは、ファンドマネージャーがオリジナルのポートフォリオを組成。投資先を選別して投資し最大限のパフォーマンスを目指すタイプの投資信託またはETFのことだ。多くのアクティブファンドがインデックスファンドを上回るパフォーマンスを目指している。

アクティブファンドのファンドマネジメントは、ファンドマネージャーやアナリスト、リサーチャーなどのチームメンバーで構成されるのが一般的だ。インデックスファンドの多くは、株などの「バイ・アンド・ホールド戦略」(株を長期保有してキャピタルゲインを得る戦略)を採用している。しかしアクティブファンドは、比較的短期で売買を繰り返し利益確保することが多い。

そもそも投資信託とは?

では、そもそも投資信託とは何だろうか?投資信託とは、複数の投資家から資金を集めてプールし対象となる投資先に資金を投下してキャピタルゲインやインカムゲインを確保、収益などを投資家へ還元するファンドのことである。投資信託は、投資先によって以下の4つのタイプに分けられるのが一般的だ。

・株式に投資するエクイティファンド
・債券に投資するフィクスドインカムファンド
・短期債に出資するマネーマーケットファンド(MMF)
・株式と債券の両方に投資するハイブリッドファンド

米国では、運用されている投資信託の55%がエクイティファンドであるとされる。

ETFとの違いは?

ETFという言葉を聞いたことがある人も多いだろう。ETFとはExchange Traded Fundの略で、直訳すると上場投資信託となる。投資信託の多くは未上場だがETFは上場しているため、株式のように市場で売買することが可能だ。そのためリアルタイムで売買したい人にとってはETFがおすすめである。またETFは、一般的な投資信託よりも運用コストが総じて安い傾向だ。

投資信託を買う証券会社を選ぶポイント

では、投資信託を買う証券会社を選ぶポイントは何だろうか。以下にまとめる。

投資信託の数

投資信託は、証券会社以外にも銀行などの金融機関でも販売されている。冒頭で投資信託の本数が多いことを述べたが、すべてを取り扱っている会社はない。証券会社によって取り扱っている投資信託の数と内容が異なり、中には自分が投資したい投資信託を扱っていないケースも考えられる。

コスト

投資信託を買う場合は、金融機関やファンドによって一定の購入手数料が取られる場合がある。しかし購入手数料ゼロ円の投資信託を取り扱うネット証券会社なども出てきている。また取り扱うファンドによってファンド運用者に支払う信託報酬の割合も異なるため、注意が必要だ。

情報の豊富さ

取り扱う投資信託に関する情報が豊富でアクセスがしやすいことも重要だ。証券会社によっては、投資信託の基本情報のほか、運用実績や各種のレポート、ファンドスコア、パフォーマンスなどの情報を詳細に提供し、投資家の意思決定を支援している。

投資信託を買うのにおすすめの証券会社

実際に投資信託を買ううえでおすすめの証券会社を4つ紹介していく。

SBI証券

SBI証券が取り扱っている投資信託の本数は、2640本(2021年8月20日時点)で日本最大クラスだ。販売手数料無料の「ノーロードファンド」も1300本以上扱っている。ウェブサイトでは国内株式、国際株式といった種類別検索やブル・ベアなどの投資信託の特性で検索することもできるため、初心者でも使いやすいだろう。

レポートや動画なども豊富で情報の発信量も他を圧倒している。

楽天証券

楽天証券が取り扱っている投資信託の本数は、2685本(2021年8月20日時点)とSBI証券に匹敵する水準となっている。投資信託の残高に応じて楽天ポイントが貯まる「ハッピープログラム」などが用意されているため、楽天ポイントユーザーにとっては大きなメリットだろう。また他でためた楽天ポイントを投信積立で積み立てることも可能だ。

ウェブサイトは総じて初心者に分かりやすいインターフェース。チャットで問い合わせができるなどサポートも充実している。

マネックス証券

マネックス証券が取り扱っている投資信託の本数は、1218本(2021年8月20日時点)だ。SBI証券や楽天証券と比べると少ない感じがするが、その代わりマネックス証券が取り扱っている投資信託は、すべて購入時申込手数料がゼロ円となっている。楽天証券と同様に投資信託の残高に応じてマネックスポイントがたまる仕組みも用意。

マネックスポイントは、TポイントやWAONポイント、Amazonギフト券などへの交換も可能だ。インターフェースも分かりやすいため、初めて投資信託を買う人にも向いている。

松井証券

松井証券が取り扱っている投資信託の本数も1471本(2021年8月20日時点)とマネックス証券よりもやや多めだ。またマネックス証券と同様に投資信託の購入手数料はすべて無料となっている。さらに「投信工房」「投信提案ロボ」「投信見直しロボ」の3種類のロボットアドバイザーが利用できるため、ロボットアドバイザー好きな人にはベストマッチだろう。

インデックスファンドのメリットとデメリット

では、インデックスファンドのメリットとデメリットは何だろうか。

インデックスファンドのメリット

なんといっても低リスクであることが第一だろう。インデックスファンドは、基本的にインデックスとの連動を目指しているので必然的に低リスクとなる。市場全体が成長を続ける限り同時に成長が期待できるだろう。またインデックスファンドは、運用コストがアクティブファンドよりも総じて低い点もメリットだ。

インデックスファンドの運用チームは、アクティブファンドよりもシンプルでポートフォリオの入れ替えも少ないため、売買コストもかからない。結果的に投資家が負担する信託報酬なども抑えることができる。

インデックスファンドのデメリット

インデックスファンドは、アクティブファンドよりも柔軟性がないため、パフォーマンスが限定的な点はデメリットだ。投資先に高いパフォーマンスを求める投資家には向いていないだろう。

つみたてNISAやiDeCoでも選ばれるインデックスファンド

インデックスファンドは、少額投資非課税制度のつみたてNISAや個人型確定拠出年金のiDeCoのユーザーからも選ばれている。なぜならインデックスファンドは「リスクが低め」「運用コストが低いものが多い」といった特徴があるからだ。そのためつみたてNISAやiDeCoとの相性がぴったりである。

インデックスファンドの選ぶならこの点に注目!

ところでインデックスファンドを選ぶ際は、どこに注目すべきだろうか。

コスト

インデックスファンドのメリットとしてコストの安さを上述したがまずはコストをチェックする必要がある。例えば投資したファンドAとファンドBが同じようなパフォーマンスを残した場合、コストが安いほうがリターンは高い。インデックファンドのコストの中でも特に大きいのが信託報酬だ。一般的にインデックスファンドの信託報酬は、純資産総額の0.1~1%程度かかるとされる。

つまりコストとしての信託報酬には10倍程度の開きがあるのだ。信託報酬は、必ず生じるコストのため、投資する前にしっかりとチェックする必要がある。

純資産総額

純資産総額とは、投資家から集めた資金の総額にファンドの運用成果を加え、信託報酬や売買手数料などのコストを差し引いた金額のこと。当然、純資産総額は安定して増加しできるかぎり金額が大きいほうが望ましい。逆に純資産総額が減少しているようなファンドは注意が必要だ。また、純資産総額が増加すると信託報酬が安くなるファンドなどもある。

投資する国

インデックスファンドに投資する際は、日本国内だけでなく海外(特に米国)の株式市場の銘柄などを組み込んだものに注目してもらいたい。米国のダウジョーンズ平均株価はこの10年で3倍になっている。つまり10年前にダウジョーンズ平均株価と連動するインデックスファンドに投資して10年間持ち続けていれば資産が3倍になっていたのだ。

インデックスファンドの中には、世界各国のインデックスとの連動を目指すものもあるため、そうしたものにもぜひ注目してほしい。

2020年版投信ブロガーが推薦するインデックスファンドランキング1位~5位

なお「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2020」が2021年1月16日に発表され1位は前年2019年に続いて「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」が選ばれた。以下、5位まで紹介する。

1位 「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」/三菱UFJ国際投信
2位 「<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド」/ニッセイアセットマネジメント
3位 「バンガード・トータル・ワールド・ストックETF(VT)」/ザ・バンガード・グループ・インク
4位 「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」/セゾン投信
5位 「ひふみ投信」/レオス・キャピタルワークス

実際に、インデックスファンドへの投資を行う際には、こうした投資ブロガーの声を参考にしてみてもよいだろう。