株式投資を始めたいとは思っていても「自分には難しそう」と感じてしまい最初の一歩を踏み出せない人は多い。「難しい」というのは、実は投資のノウハウのことよりも「株式投資がどういうものでどう始めれば良いのか」「買った後は何をすれば良いのか分からない」といった不安を感じているだけの可能性もある。

そこで株初心者が感じる株式投資の疑問を10個挙げて一つずつ説明していこう。

株初心者入門0:株とは?

株式投資,疑問
(画像=PIXTA)

株は、企業が事業資金を調達するための手段の一つで資金提供者(投資家)に対して発行する有価証券のこと。

企業が事業資金を調達するには、創設者(オーナー)が手持ち資金を出したり、銀行融資を受けたりする方法などさまざまあるが、「一般の人(投資家)から資金を募る」という方法がこれにあたる。

お金を出してもらう代わりに資金提供者(投資家)が企業の経営に参加できる権利や配当金を受ける権利などが付いた証券を発行する。この証券が株だ。なお株のことを「株式」や「株券」と呼ぶこともある。

株初心者入門1:株式投資で利益を得る方法

株式投資で利益を得るには大きく2つの方法がある。

・譲渡益となるキャピタルゲイン
株を買ったときの値段(株価)より値上がりしたときに売ることで値上がり益を得る方法だ。これを「キャピタルゲイン」あるいは「譲渡益」といい、売ったときと買ったときの株価の差額が利益となる。

・配当金や分配金などのインカムゲイン
株を保有し配当金や分配金などで利益を得る方法をインカムゲインと呼ぶ。配当金は、企業活動の成果として得られた利益をもとに株主に分配されるお金のことだ。所有する株の権利確定日(企業の決算日と同一日が多い)時点で株主名簿に登録されている株主に対し、出資比率(持ち株数)に応じて支払われる。

ただし必ずしもすべての企業が配当金を分配するわけではないことは知っておこう。また、これらに加えて、株を購入することで「株主優待」というメリットの恩恵を受けられる場合もある。

株初心者入門2:株のリスク

株式投資は値上がり益を期待できる一方で、買ったときよりも株価が下がるリスクもある。また株価は常に変動しているため、仮に株価が下がってもまた株価が戻る可能性もある。しかしお金が必要になり売却したいと思ったときに、購入時の株価よりも価格が下がっていれば元本割れすることになってしまう。さらに保有する株を発行した会社が倒産してしまうリスクもある。

このような場合には、投資資金が元本割れするどころかゼロになる可能性もある。

株初心者入門3:1万円から株は買える、ミニ株とは

一般的に株の売買は、単元ごとに行う。単元とは、売買取引をするときの最低単位のことで1単元は100株だ。一方「ミニ株」といって単元未満の株を売買できる証券会社も増えてきている。通常、ミニ株というと1単元の10分の1、つまり10株から取引できるものを指す。しかし近年では、1株から購入できる単元未満株をミニ株と呼ぶ証券会社もある。

例えば日本の代表的な企業の一つであるトヨタ自動車<7203>の株価は、2021年8月19日終値時点で9295円。つまり一単元(100株)で同社の株を買う場合は、最低92万9500円(9295円×100株)が必要になる。しかし単元未満株となる1株から購入できる場合は、9295円+手数料で購入できるのだ。

ただしミニ株制度(単元未満株取引サービス制度)を利用して売買できる株は、各証券会社が選定しているため、すべての銘柄が買えるわけではないことは押さえておきたい。

株初心者入門4:株はギャンブルか?

株式投資では、利益を期待できる一方で損失を出す可能性もあるため、ギャンブルのように考える人も少なくない。しかし株式投資は、当該企業や事業の成長・拡大を見込んでお金を投資するもので、一か八かで利益をねらう投機的なギャンブルとは性格が大きく異なる。投機的な投資とならないためには、以下のような内容をしっかりと確認して将来性の見込める企業へ投資することが大切だ。

・投資する企業の事業内容や経営方針の情報を把握する
・決算情報や事業計画の進捗状況など財務内容を把握する

よく企業情報を確認せずになんとなく値上がりを期待して株を購入すると、ギャンブル的な行為となりかねないため注意しよう。

株初心者入門5:口座開設から購入(約定)までの流れ

株式投資を始めようと思ったら、まずは証券会社で証券口座を開設することが必要だ。株は、証券口座に入っているお金を使って購入し、保有している株を売れば自分の証券口座に売ったお金が入る仕組みだ。

ネット証券だけでなく多くの証券会社がオンラインで口座開設申し込みできるようにしている。名前や住所など指定された項目を入力し必要書類を提出、口座開設完了通知が届けば手続き完了だ。口座開設完了後に証券口座に入金しておけば、買いたい株の銘柄(会社)が見つかったときにすぐに買い注文ができるようになる。

買い注文を出して注文が通れば「約定(やくじょう)」だ。ちなみに買いたい・売りたいと希望を出すのが「注文」、買いたい人と売りたい人の条件が合致し取引が成立することを「約定」という。株式取引は、需給関係で成り立っており、ある銘柄を買いたいときは、それを売ってくれる人がいて初めて取引が成立する仕組みだ。買い注文を出し約定すれば、めでたくその企業の株主になれる。

株初心者入門6:上昇銘柄の見極めに役立つツール、情報収集先

株式投資でどの株が上昇しそうか見極めるためには、企業の決算情報や事業計画などを確認しながら将来性を考察することが大切だ。そのためには、最低でもその企業の決算情報や過去の株価の動き(ヒストリカルデータ)、業界の動きなどを確認しておきたい。会社のホームページからIR情報を開けば決算報告書や決算短信、個人投資家向けに作成された企業情報などを確認できる。

また日本経済新聞のサイトからは、企業の株価の推移やその企業に関する記事を検索できるので利用してみると良いだろう。他にも東洋経済新報社が四半期ごとに発行する「会社四季報」という株式投資の情報誌には、銘柄(企業)ごとの詳細な情報が記載されている。会社四季報は、オンライン版もあるので確認してみよう。

また専門家の意見を参考にすることも方法の一つだ。多くの証券会社では、独自の株式トレンドの分析やアナリストによる株価予想などの情報を閲覧できるようにしている。先に挙げた日本経済新聞や日経速報ニュース、会社四季報など投資に必要な情報も見られるようになっているので便利だ。

株初心者入門7:株式投資にお金はかかる?売買手数料とは?

株を売買するときには、証券会社に支払う売買委託手数料がかかる。手数料の設定の仕方は、証券会社ごとに異なる傾向だ。しかし一般的にネット証券会社のほうが対面型のサービスを行う証券会社よりも安い。1回の売買ごとに手数料が発生するコースや、1日あたりの約定合計額で手数料が決まる「1日定額コース」を設けているのが多い傾向だ。

なかには、1ヵ月の約定合計額で手数料が決まる「月額料金制」にしていたり、買うときは手数料が無料で、売るときにだけ手数料がかかったりする証券会社もある。そのため以下のような点を考えながら証券会社を比較し選ぶことがおすすめだ。

・自分がどれだけの投資にお金をかけられるのか
・頻繁に売買したいか
・一つの銘柄を長く持っておきたいか

株初心者入門8:株を取引できる時間はいつ?

株取引は、東京証券取引所などの株式市場が開いている時間にのみ行うことができる。株式市場が開いている時間帯は、平日の次の時間帯だ。

・前場:9時~11時30分
・後場:12時30分~15時

平日の上記時間以外や土・日・祝日、年末年始などは、取引所は営業していないため取引はできない。ネット証券が増え株のオンライン取引も多くなってきていることから、「24時間いつでも株が買える」というイメージを持っている人もいるのではないだろうか。しかし取引できることと注文できることは、違うものであることを知っておこう。

「注文」自体は、基本的に24時間365日(メンテナンス時間などを除く)いつでも行える傾向だが、時間外に出した注文は翌営業日に取引される。なお一部の証券会社では、夜に取引ができる『夜間取引(PTS)』サービスを取り扱っているところもある。夜間取引(PTS取引)とは、証券取引所を介さず株式を売買できる証券会社独自の私設取引システムのことだ。

詳しい取引時間帯は、証券会社によって異なるが、例えば平日の「17時~23時59分まで」という証券会社もある。平日の日中に取引するのは難しい人は、PTSが利用できる証券会社を選択することもよいだろう。

株初心者入門9:株の売り方

株を売るときの基本的ルールは、買うときと同じで単元ごとに行う。証券会社に売り注文を出して買いたい人との条件が同じなら取引が成立する。株の売り方(売り注文の入れ方)の種類は、大きく分けると「指値(さしね)」「成行(なりゆき)」の2種類だ。

・指値:「この金額で売りたい」と値段を指定して注文する方法
・成行:売りたい値段を指定せずに注文を入れたときの値動きで、即座に売買が成立する方法

「指値(さしね)」と「成行(なりゆき)」の2種類があるのは、買い注文も同様。成行に対して指値の場合は、注文をしてすぐに約定しないこともあり、約定を待っている間に株価がさらに上下する可能性もあることは知っておこう。多くの証券会社では、アラート機能を提供しているので事前に売りたい価格を登録しておくのもおすすめだ。

株初心者入門10:信用取引とは?現物取引と何が違うの?

株取引には「現物取引」と「信用取引」の2種類がある。現物取引は、証券口座に入っている資金以上の取引ができないものだ。一方信用取引は、証券口座内の資金や保有株を「担保」にして自分が持っている資産以上(約3.3倍)の取引を行う方法である。例えば口座内に100万円しかなくても信用取引を利用すれば、約300万円分の株取引が可能になるようなイメージだ。

100万円という資金で300万円分の株式を取引できるため、株価が上がったときの利益は100万円分のときよりも大きくなる。逆に株価が下がったときの損失もその分大きくなってしまう点は注意が必要だ。現物取引では、どんなに損が出ても自分が投資した金額以上にはマイナスにならない。しかし信用取引では、損失次第では追加でお金を補てんすることが必要になる場合もある。

実際に株式投資を始めてみる

株取引の基本知識について説明したが、何より大切なのは実際に試してみることだ。仮に損をしても大丈夫なように、まずは1万円程度の少額で気になる株を買ってみるといいだろう。情報の見方やツールの使い方など最初は難しく感じることもあるかもしれない。しかし投資をしながら学んでいくこともできるはずだ。

そのための授業料だと思えば高くはないだろう。早速気になる証券会社で証券口座を開設してみよう。