年間40万円を上限に投資信託などへ投資できる「つみたてNISA」。保有期間中に得た分配金や譲渡益が20年間非課税になるうれしい国の制度だ。そんなつみたてNISAの口座をひらくおすすめのネット証券は、どこだろうか。本記事は、つみたてNISAの概要とおすすめのネット証券2社を紹介する。

つみたてNISAとは?

つみたてNISA,楽天,SBI
(画像=PIXTA)

つみたてNISAとは、少額で長期的な積立分散投資を支援するための国の制度だ。2018年1月にスタートした制度で、40万円を上限に保有期間中に得た分配金や譲渡益が20年間非課税になる。つまり非課税で保有できる投資総額が20年間で最大800万円となるわけだ。つみたてNISAの対象商品は、長期的な積立分散投資に適した公募株式投資信託と上場投資信託(ETF)限定となっている。

そのため一般NISAのように株式や債券などに投資することはできない。なお投資対象には、以下の要件が定められている。

・販売手数料はゼロ(ノーロード)
・信託報酬は一定水準以下(例:国内株のインデックス投信の場合0.5%以下)に限定
・顧客一人ひとりに対して、その顧客が過去1年間に負担した信託報酬の概算金額を通知すること
・信託契約期間が無期限または20年以上であること
・分配頻度が毎月でないこと
・ヘッジ目的の場合等を除き、デリバティブ取引による運用を行っていないこと

つみたてNISAでは、非課税期間の20年間が終了すると課税口座へ移管(払い出し)される。一般NISAのように翌年にロールオーバーすることはできない。またつみたてNISAは、2037年までの制度のため、投資信託などの購入ができるのは2037年までだ。2037年中に購入した投資信託などについては、2056年まで非課税で保有できる。

またつみたてNISAは、一般NISAとの併用はできない。(2021年8月時点)そのため「つみたてNISA」「一般NISA」を選択することが必要だ。

つみたてNISAを始めるステップを解説

では、実際につみたてNISAを始めるにはどうすればいいだろうか。ここでは、SBI証券を例に流れを説明しよう。つみたてNISAを始めるには、証券総合口座とは別につみたてNISA口座を開設する必要がある。なおSBI証券に証券総合口座がなく、他金融機関でNISA口座・つみたてNISA口座がない人は、証券総合口座とつみたてNISA口座を同時に開設することが可能だ。

申し込みは、オンラインまたは書類郵送のいずれかで行う。どちらもまずホームページから「口座開設はこちら」のアイコンをクリックして申し込みフォームへ行き、「つみたてNISAを申し込む」のチェックボックスにチェックを入れて申し込む。つづいて郵送かアップロードで、本人確認書類とマイナンバーを提出する。あとはSBI証券が税務署に照会し、税務署の審査が済めば晴れてつみたてNISA口座の開設となる。

申し込みから口座開設までの期間は、本人確認書類をアップロードで提出すると最短2営業日、書類郵送の場合、最短7営業日で口座が開設される。どちらかというとオンラインでの手続きの方が日数もかからず簡単だ。 ところでつみたてNISAの口座を別の金融機関へ移すのは、非常に面倒となるため、注意しておきたい。

まずは現在利用している金融機関から「金融商品取引業者等変更届出書」を入手し必要事項を記入して提出、「非課税管理勘定廃止通知書」が発行される。次に、口座を移したい金融機関につみたてNISAの口座開設を申し込む。

その後、金融機関から必要書類が送られてくる。必要事項を記入し、「非課税管理勘定廃止通知書」を同封し送付する。その後、問題がなければ改めてつみたてNISAの口座の開設となる。

このようにつみたてNISAの口座を別の金融機関へ移すのは非常に面倒だ。新規でつみたてNISAの口座を開設する際には、金融機関を慎重に選ぼう。

つみたてNISAの証券会社を選ぶポイントとは?

では、つみたてNISAの証券会社を選ぶポイントは何だろうか。

取り扱っている投資信託の数

まずは、取り扱っている投資信託の数だ。証券会社が取り扱うNISAで購入可能な投資信託の数には、違いがある。証券会社の中には、わずかな本数の投資信託しか取り扱っていないところもあるため、注意が必要だ。自分の投資ポリシーやフィナンシャルプランに最もマッチする商品を選ぶためにも、選択肢は多ければ多いほうが望ましい。

最低積立金額

最低積立金額も証券会社によって異なる。特にNISAの初心者で最初はできるだけ少額でつみたてNISAに投資したい場合、最低積立金額は証券会社を選ぶ際の重要なポイントになるだろう。

ポイントの有無

証券会社の中には、積立金額に応じて各種のポイントを付与するところが少なくない。つみたてNISAは、基本的に長期にわたって利用される。そのためポイントの有無は、長期的に大きな差となる。どの証券会社がどの種類のポイントをどの程度どのタイミングで付与するのか、比較検討することは無意味ではない。

つみたてNISAにおすすめの証券会社は?

では、つみたてNISAにおすすめの証券会社2社を紹介しよう。

使いやすさ抜群の「楽天証券」

楽天証券の取扱投資信託数は、177本(2021年8月20日時点)と日本最大クラスだ。主なファンドには、以下のようなものがある。

・国内株式指数との連動を目指すインデックスファンド
・米国株や新興国株、欧州株などの海外株式指数との連動を目指すインデックスファンド
・ポートフォリオにREIT(不動産投資信託)を加えたファンド
・ハイパフォーマンスを目指す各種のアクティブファンド    など

また積立金の引き落としを楽天カードで決済することで、楽天ポイントを獲得できることも楽天証券をおすすめする理由だ。100円につき楽天ポイントが1ポイント付与されるため、つみたてNISAを毎月上限まで使った場合、1年に約4000円分の楽天ポイントが獲得できる。つみたてNISAを20年継続とした場合の金額は、約8万円だ。普段から楽天ポイントを日常的に使っている人にとっては大きなメリットだろう。さらにたまった楽天ポイントでつみたてNISAの決済もできる。

また楽天証券のウェブサイトは、とにかくインターフェースがユーザーフレンドリーで使いやすいと評判だ。投資信託のサーチ機能はつみたてNISAに該当する商品を簡単にサーチできる。

そのため自分の好みや目的に合った商品を正しく選ぶことが可能だ。

外国株や少額投資にも向いている「SBI証券」

楽天証券とともにおすすめなのがSBI証券。SBI証券の取扱投資信託数は、175本(2021年8月20日時点)と日本最大クラスである。楽天証券と同様に以下のような選択肢が可能だ。

・国内株式指数との連動を目指すインデックスファンド
・エマージングカンパニーでポートフォリオを構成しているファンド
・先進諸国の株式市場指数との連動を目指すインデックスファンド
・ハイパフォーマンスを目指す各種のアクティブファンド    など

なおSBI証券は、検索ツールである「投資信託パワーサーチ」の機能が優れていることでも知られている。各商品の基本情報に加え、基準価格、信託報酬額、分配金情報、騰落率、スターレーティングといった情報の入手が可能だ。投資信託への投資では、一般的に信託報酬額などの検討が重要となるため、投資判断をする際にはSBI証券のパワーサーチは非常に便利だろう。

また投資残高に応じてTポイントが付与される「投信マイレージサービス」が使えるのもおすすめの理由だ。たまったTポイントはTポイント加盟店で使えるほか、投資信託の買い付けにも利用できる。

楽天証券とSBI証券はどんな方におすすめなのか?

さまざまなメリットを兼ね備えた楽天証券とSBI証券だが、どんな方に特におすすめなのだろうか。

楽天証券に向いている人の特徴とは?

楽天証券に向いている人には、どんな特徴があるだろうか。

・豊富な選択肢から投資先を検討したい人
取り扱い投資信託数177本と、SBI証券とともに他社を圧倒している。また各種のインデックスファンドに加え、アクティブファンドなどもあるため、ある程度のハイリターンを目指す人にもうってつけだろう。

・楽天グループのサービスを多用している人
楽天市場や楽天銀行、楽天トラベルなど楽天グループで日常的にショッピングや取引などを行っている人にとって楽天ポイントがたまることは魅力となる。楽天市場や楽天トラベルなどの利用で、人によっては相当なポイントを保有しており、それを楽天証券のつみたてNISAへ直接投資することが可能なのはうれしい点だ。

SBI証券に向いている人の特徴とは?

一方でSBI証券に向いている人の特徴についても見ていこう。

・豊富な投資先の中から検討したい人
SBI証券に向いている人の特徴も楽天証券と同様、豊富な選択肢から投資先を検討したい人だろう。取り扱い投資信託数175本と日本最大クラスのため、これも楽天証券と同様、インデックスファンド、アクティブファンドなど豊富な選択肢から投資先を選ぶことができる。

・頻繁に投資信託を売買する人
比較的頻繁に投資信託を売買する人にもSBI証券は向いている。上述した「投資信託パワーサーチ」では、取り扱っている投資信託のすべての情報がリアルタイムでアップデートされているのが特徴だ。投資信託のパフォーマンスが一目瞭然のため、売買の意思決定に活用できる。

・Tポイントサービスを多用している人
これも楽天証券と同様、Tポイント経済圏で日常的にショッピングや取引などを行っている人にSBI証券は向いている。Tポイントは、全国約27万の加盟店に加え航空会社のマイレージなどにも変換することが可能だ。つみたてNISAでの投資は長期投資が基本となるため、投資期間が長くなれば獲得するポイントも相応なものになるだろう。

最適な証券会社を選んでつみたてNISAを始める

つみたてNISAについての基本知識や、おすすめの証券会社として楽天証券とSBI証券の2社を紹介したが理解できただろうか。冒頭に新規でつみたてNISAの口座を開設する際には、金融機関を慎重に選ぶ必要があると説明した。特に自分が投資したい商品を金融機関が取り扱っていないケースでは、事態は深刻となりかねない。

そのようなリスクを避ける意味でも楽天証券とSBI証券は、自信を持っておすすめできる。これからつみたてNISAを始める初心者で証券会社を探している場合は、この2社から選択することも方法の一つだ。