男性用化粧品へのニーズが急激に高まっているそうです。身だしなみとしてのスキンケア製品の使用にはじまり、最近ではファッションの延長としてメイクを取り入れる男性もいるなど、メンズ化粧品市場の拡大傾向は止まりません。男性の美意識の高まりと、メンズ化粧品市場の動向を解説します。

男性の美意識の変遷

メンズコスメ市場拡大か?ヘルシーなメイクでモニター映えの時代
(画像=Evorona/stock.adobe.com)

かつての男性用化粧品といえば、1960年から80年代はヘアリキッドやオードトワレなどが主流で、どちらかといえば「香りをまとう」といったものでした。

しかし1990年代に入ると、ムースやヘアワックス、アイブローキットなど「髪と眉を整える時代」に。2000年代になると肌トラブルにフォーカスしたスキンケア商品などが売り上げを伸ばすようになり、肌色補正効果、紫外線防止効果、スキンケア効果などの機能を備えたBBクリームが2010年以降当たり前のように男性に受け入れられるようになりました。

BBクリームは「Blemish(傷)Balm(軟こう)」や「Beauty Balm」を意味すると言われているクリームで、女性用の商品が主流でしたが、男性も、自分の肌のケアを積極的に行うようになったのです。

そうした肌ケアの延長として、メイク用品が求められるようになっています。さまざまな調査から日々のスキンケアでは隠しきれないクマやくすみに対して即効性がある対策を求めている男性が増加しているのです。

SNSやオンラインでのモニター映えにメイク

もちろん、男性のメイクに抵抗感を示す人はまだいますが、一方で、SNSなどの情報ツールの活用が、公私ともに増えていく中で、少しでもモニター越しの見栄えをよくしたい、というニーズも高まっています。

コロナ禍において、テレワークで仕事をするなど、直接対面する機会が減っていますが、逆に、オンライン会議などでモニターに映った自分の顔を見て「もう少し肌つやのよい健康的な印象を相手に与えたい」といった男性は少なくありません。

そうした中で、男性用のメイク用品の情報をリサーチして、ひそかに利用するビジネスマンも増加してきました。もともとメイクは推奨されることはなかったにせよ、営業などの仕事では、第一印象への気遣いなどは昔から必要なものとされてきたことです。多少化粧品に投資すればすぐに印象が良くなるのですから、若いビジネスマンを中心にメイクに取り組む人が出てきても当然でしょう。

メイク初心者でも始めやすい「メイクに見えない」アイテム

では、男性用のメイクではどんなアイテムが使われるのでしょうか。

男性の場合も女性と同様、洗顔をして、余分な皮脂を落とし、スキンケアで肌を保湿するといった基本動作は変わりません。そのうえで、BBクリームで全体的に塗り、ムラのないプレーンな状態にし、肌のトーンを整えます。

さらにニキビやニキビあと、カミソリ負けなどの青み、赤み、くすみなどを、コンシーラーを使って部分補整していきます。

このほか、専用のブラシで眉毛一本一本に色をつけるアイブロウを使用したり、リップを唇に塗ることで、カサカサした印象を消し、健康的なイメージを演出したり、といったことまで男性のメイクでも普通に行います。

ここまで見ただけでも、しっかりと継続的にメイクをしていくには、男性の場合も、それなりにアイテムをそろえることになります。

男性向けコスメ市場の現状

1990年代中盤以降に生まれたZ世代は、学生時代からヘアケアだけでなく肌ケアも抵抗なく実行してきた世代なので、彼らをターゲットにした男性向けコスメ市場の争奪戦は、化粧品メーカー、販売店、美容サービスなどさまざまなプレーヤーが激しい争奪戦を繰り返しています。

調査によれば、化粧品市場全体は縮小傾向にあるものの、男性の化粧品購入はコロナ禍でも伸びており、「シェービング」が減っているものの、「基礎化粧品」が全体をけん引しています。

熟年世代には、こうした現象はなかなか理解できないものかもしれません。しかし、例えばモニター越しに見た相手の顔がどこか暗く、くすんだものであれば、やはり印象が悪いということは分かるはずです。これは若い世代だけでなく、広い範囲の年齢層の男性が気にすることでもあるでしょう。

いまのところ、若い世代を中心に男性メイク用品の市場は展開しているようですが、今後は若干利用者の年齢層の幅が広がる可能性もあるのではないでしょうか。

(提供:JPRIME


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