日本ではあまり知られていないヴァーシュ(VASS)という高級革靴ブランドがあります。東欧のハンガリーが故郷です。日本でわれわれがなじんでいる革靴ブランドのほとんどはイギリスやイタリアですが、ハンガリーの革靴は、これまで市場でもネットでも取り上げられることはほとんどありませんでした。

今回は、知られざるハンガリーの高級革靴、ヴァーシュ(VASS)の歴史とその魅力に迫ります。

知る人ぞ知るヴァーシュ、そのブランドヒストリーとハンガリーの靴作りの技術

ハンガリーの伝統的なハンドメイド技術の詰まった高級靴ヴァーシュ(VASS)
(画像=NejronPhoto/stock.adobe.com)

もともとハンガリーやポーランドにはモノづくりに関して優れた文化がありましたが、戦後、共産主義圏に属したことによって、国家統制の元、新しいトレンドを取り入れることも外に情報を発信することもありませんでした。

また、資本も大きくないため良質の材料、特にレザーをそろえることができず、せっかくの優れた職人がいながら、靴づくりの伝統も廃れつつありました。

そこに、1978年にラズロ・ヴァーシュ氏が「ヴァーシュ(VASS)」という革靴ブランドを立ち上げました。

伝統的な技法を受け継ぎつつ、外国産の上質なレザーを使って、西側の愛好家やバイヤーたちの評価眼にかなう品質の高級革靴を作り始めたのです。

ヴァーシュの靴の特徴

ヴァーシュの靴づくりの特徴は、ソール磨きのグラインダーを除いてほとんど機械を使っていないということでしょう。手でカットして、手で縫う。使っている道具も100年前のものがあるのだと言いますから、ものすごく伝統が守られている感じがします。

革には非常にこだわりがあって、英国のビスポークで使用するのと同じ、有名な革なめし工場から仕入れています。日本や西欧のバイヤーや愛好家たちから一目置かれたのも、この上質な皮を使用していることが1つの理由となっています。

ラスト(木型)に関してですが、これは、代々引き継がれてきた職人の個性が出るポイントです。ラストは「靴のエンジン」とも言われ、最も重要な部分です。

ブタペストのラストは、イギリスやイタリアのファッション界でもてはやされるようなスタイリッシュ感とは一線を画した、レトロで伝統的かつ、オーセンティックなものです。

「変化の速いファッショントレンドの変化を超越し、いつまでも変わらず愛され続ける靴を目指す」

ヴァーシュの公式サイトの最初にはこのような意味の言葉が書かれています。

ラストの種類が多いのもまちがいなく特徴の1つだと言えるでしょう。ヴァーシュのラストは大きく分けて次のような種類があります。

細め――U、S、K
標準――F、R、FB、P2
ゆったりめ――P、Budapest、3636

靴はラスト選びによってシルエットががらりと変わり、印象が変化します。日本人の足の形に合うのはFかRになるのでしょうか。日本のセレクトショップではFラストで作られたラインアップが多いようです。

ヴァーシュのモデル紹介

それでは、ヴァーシュの革靴のモデルのうち代表的なモデルを3つほど紹介しましょう。

・London 3-eyelet
シンプルな3つ穴のV字フロントなのでこの名があります。無駄な装飾のないシンプルさがオンオフに活躍する、どのようなイベントでも合わせられる万能のデザインです。日本人の足の形に合うFラストによく合ったデザインで、日本ではよく売れたと聞きます。英国のカッコよい靴もいいですが、東欧の革靴の形状は日本人によく合うのではないかと思わせるモデルです。

・Budapest
ハンガリー靴らしい名のBudapestは、ヴァーシュの代表作ウィングチップ(装飾)のモデルです。華やかな印象になるウィングチップは、カジュアルなファッションに合わせるとデザインの良さが引き立ちます。

また、ゴールドカーフとコニャック系スエードのコンビ使いのBudapestも東欧の靴にはよく見られる造りの一足です。足の甲の曲がる部分がスエードなので歩きやすく機能的です。スエードとカーフの質感の対比を楽しめるのでお薦めです。このようにあえてコンビ使いでオーダーするのもこのモデルの楽しみ方です。

・Austerity brouge
ウィングチップを施していないブラインドブローグのモデルがAusterity brougeです。華やかさが控えめのエレガントな印象のモデルです。

これも、FやRラストの似合う、東欧的形状のオーソドックスなモデルです。フォーマルなシーンでもビジネスのシーンでも合わせることができる汎用性の高さが魅力です。

上等な革を使っていて丁寧に職人が作る靴で、こんなにも日本人に向いているのは、英国ブランドには実はないのかもしれないと思わせるモデルです。

日本では取り扱い店舗がまだ少数

ヴァーシュの靴は、日本ではまだ取り扱いが少なく、あまりメジャーではないのかもしれません。しかし、日本人に合っているので、非常に気に入っているファンも多いようです。

ヴァーシュに関しては、公式ホームページで直接販売がされており、サイズ選びに多少注意が必要ですが、お店で購入するよりかなり安く個人輸入できるようです。

上質な革を使用した職人の手作りによる良い靴を、手ごろな値段で手に入れるチャンスです。ぜひ一足そろえてみてはいかがでしょうか。

(提供:JPRIME


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