ニューヨーク・ブルックリンで活動するポップアートの巨匠KAWS(カウズ)の展覧会「KAWS TOKYO FIRST」が、7月16日~10月11日まで森アーツセンターギャラリーで開催しています。この記事では、現代アートに関心の高いJPRIME読者に知ってほしい、国内初の大型展覧会となる本展の見どころ、そしてKAWS(カウズ)作品の魅力を紹介します。

アートのジャンルの垣根を超えて活動するアーティストKAWSとその作品

KAWS TOKYO FIRSTが開催中。アーティストKAWS(カウズ)の魅力とは?
(画像=J PRIME編集部)

・KAWSの原点
KAWSは1974年、ニュージャージー州ジャージーシティ生まれで本名はブライアン・ドネリー(Brian Donnelly)といいます。

現在はブルックリンのスタジオを拠点としながら、東京、韓国、香港、イギリス、ロンドン、ロサンゼルス、ニューヨークなど、世界中で制作を行なっています。

彼は、1993年から1996年までニューヨークの美術学校「School of Visual Arts」でアートを学びました。

アーティスト名に使っている「KAWS」の由来は、ジャージーシティのストリートで描いた「タギング」による作品に、自分の名前、所属チーム、出身地を書いたタグを残すようになり、そのタグを「KAWS」と命名していたことだそうです。ストリートで描くのは、小学生の時から行っていたといいます。

1993年から、移住したニューヨークのバス停や公衆電話ボックスのビルボード広告に自身のキャラクターを描き始め、キャラクターの目には、KAWS作品の特徴となったバッテン印が入るようになりました。そのころから注目を集めるようになり、キャラクターを描いた広告が盗まれる現象が起きるようになりました。

・KAWSと日本の関わり
1996年に初来日し、東京のサブカルチャーに接し、ストリートアートのプロジェクトにも携わりました。1999年、原宿のファッションブランド「BOUNTY HUNTER(バウンティハンター)」と、ミッキーマウスをモデルとして取り込みつつ自身の新たなキャラクター「Companion(コンパニオン)」を生み出しました。このコンパニオンは大人気となり、後に彼のアイコン的キャラクターになりました。2001年には、渋谷パルコで国内初個展を開催しています。

2019年7月に実施された「KAWS: HOLIDAY」プロジェクトは、日本では富士山麓の「ふもとっぱらキャンプ場」が会場となり、原っぱに寝そべる巨大なコンパニオンと共にキャンプができるという催しが話題となりました。

・海外で開催の展覧会
作品の展覧会としては、1999年にパリのコレットで個展を開催し、2010年には、コネチカット州リッジフィールドにあるアルドリッチ現代美術館で、美術館で初の個展を行いました。さらに2011年にはテキサス州のフォートワース現代美術館とジョージア州アトランタのハイ美術館で大規模な個展が開催されました。

KAWSの現代美術としての価値は?

KAWS作品の価値ですが、2019年4月にサザビーズ香港で開催されたNIGOの個人コレクションオークション「NIGOLDENEYE Vol.1」では、KAWSの「THE KAWS ALBUM」が最高予想落札価格の約15倍上回る、1,478万4,505ドル(約16億4,700万円)で落札されました。このようにアート市場での人気は高く、作品価格も3年ほど前から急激に上昇しているといいます。

彼の作品は、前述したコンパニオンをはじめとしたファインアートと従来のポップカルチャーを融合した作品でよく知られています。KAWSが用いるキャラクターたちは、ペインティング、スカルプチャー、アート・トイなど様々な表現媒体で制作されます。立体作品の素材もブロンズ、木彫、ビニールなど多岐にわたり、ひときわ目立つサイズ感が見る者の好奇心を刺激します。

本展の見どころ

KAWS TOKYO FIRSTでは、国内初の大型展覧会として、150点を超える作品を展示。コマーシャルアートとファインアート双方の領域を網羅しています。

アーティストとして初期の作品から最新作までの絵画や彫像、プロダクトなどを一覧でき、同時にそのユニークな芸術制作の軌跡や美術史的意義をたどることもできます。その意味で今回の展覧会はKAWSを知るきっかけとして、最適な機会となるはずです。

さらに同展ではKAWSが実際に保有するコレクションの中から、影響を受けたアーティストの作品も展示され、KAWS自身のブルックリンのスタジオの一室を再現しています。展覧会会場でKAWSのプライベートを覗けるまたとない機会となるでしょう。

本展のタイトルKAWS TOKYO FIRSTは、実は前述した2001年の日本で開催した初個展と同じタイトルだといいます。20年の時を経て、作品の変遷をたどりつつ「原点回帰」へという考えが込められています。

現在彼はストリートアーティストからファインアートの作家として移行しており「美術史を更新する作家」という評価さえ受けています。その稀有な作家の過去から現在を一望できるのですから、貴重な体験になることは確実でしょう。

(提供:JPRIME


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