要旨
- ESG投資の多くには、ESGに優れた企業や事業への資金提供を増やし、ESGに課題がある企業や事業への資金提供を減らす効果がある。この効果によって、良質な資金へのアクセスを確保するために企業にESG経営に取り組む必要性が生じ、企業がESG経営に取り組むことで持続的成長を遂げると期待されている。
- しかし、ESGに優れた企業への資金提供だけがESG投資ではない。あえてESGに課題がある企業に投資し、議決権など株主としての権利を行使して企業にESGの改善を求める「ESGアクティビスト(モノ言う株主)」もESG投資である。
- 従前より投資家が「顧客・受益者」の中長期的な投資リターンの拡大を図る責任を果たすための活動(スチュワードシップ活動)とESGは密接な関係にあるが、2020年のスチュワードシップ・コード再改訂によって、スチュワードシップ活動におけるESG要素の重要性がより明確になった。
- 2017年のスチュワードシップ・コード改訂では、パッシブ運用も中長期的視点に立った対話や議決権行使すべきであることが明文化された。つまり、2017年の改訂と2020年の再改訂によって、パッシブファンドにもESG要素等の考慮に基づく適切な議決権行使等を通じて、ESG経営を促進することが期待されていると言える。