入居者が退去する時期は予測が困難であるため、思いがけず賃貸需要の少ない閑散期(7〜8月、11〜12月頃)に入居者募集をしなければならないことも想定されます。
閑散期に空室を抱えるオーナーの中には、入居者募集について以下のような不安を感じる方が少なくないでしょう。
・閑散期の入居者募集で特に重要な点は?
・家賃を下げずに入居者を見つけるためにはどうすればいい?
・空室が長期化した場合にどう備えればいい?
賃貸需要には時期によって大きな波があり、借り手市場の閑散期と貸し手市場の繁忙期で入居者募集の作戦を分けるのが合理的です。
本記事では、借り手市場となりやすい閑散期の入居者募集において特に大切なポイントを3つご紹介します。
閑散期に入居者を獲得するために必要な対策とは?
部屋探しをするお客様の数が少ない閑散期でも入居者を見つけるために必要な対策は以下3つです。
・エリア特有の賃貸需要を探る
・仲介業者に直接訴求する
・入居希望者からの要望に柔軟に対応する
空室募集を出したその日に複数の入居申込が入るということもあり得る繁忙期とは異なり、閑散期の入居者募集ではオーナー側から積極的にアクションを起こす必要があります。
エリア特有の賃貸需要を探る
エリア特有の賃貸需要とは、その物件があるエリアにしかない特定の賃貸需要のことです。
具体的には、法人(企業等)の部署移動、新入社員の配属、支店の新規開業等の理由で特定の法人からの社宅ニーズが閑散期に旺盛になるといったケースが挙げられます。
そのエリアにある企業等の個別事情によって、部屋探しをする時期がずれ込み閑散期に特定のお客様からの賃貸需要が高まることがあるということです。
エリア特有の賃貸需要を掴むことができれば、閑散期であっても賃貸市場のニーズにリーチすることは十分に可能です。
仲介業者へのヒアリングを行い、どんなお客様がどのような時期に部屋探しをしているのかを具体的に把握することで、そのエリア特有の賃貸需要を掴めるかもしれません。
特に法人からの社宅ニーズが見込めるエリアでは、法人顧客の成約実績が多い仲介業者へのヒアリングが効果的でしょう。
仲介業者に直接訴求する
仲介業者とは、部屋探しをしているお客様に対して実際に空室物件を紹介する不動産業者のことです。
実際にお客様とともに物件を内見し、魅力を伝えて契約締結まで行うのは仲介業者であるため、空室募集においては第一に仲介業者に物件を認知してもらうことが重要といえます。
閑散期の入居者募集において仲介業者への直接訴求が重要といえる理由は以下の3つです。
・認知度を高めることでお客様に紹介してもらう可能性を高める必要がある
・仲介業者は接客よりも紹介物件の選定に時間を充てがちになる
・仲介業者が多忙でない場合が多く、ヒアリングや物件告知に応じてもらいやすい
繁忙期は短期間で多くの案件に対応する必要があるため、仲介業者は接客や事務手続のために多忙になります。
お客様に紹介する物件の選定やオーナーからのヒアリング・物件告知に応じられる時間的な余裕は少なくなるでしょう。
一方で閑散期はお客様の動きが少なく仲介業者は接客以外のことに時間を割きやすくなり、オーナーからのヒアリングや物件告知に応じやすくなるため、仲介業者への直接訴求が功を奏しやすくなります。
お客様の数が少ない中でも自分の物件を紹介してもらい、お客様の目に触れるチャンスを少しでも高めましょう。
物件の遠方に住んでいる場合や仲介業者への訴求活動をする時間的な余裕がない場合は、管理会社(物件の賃貸管理を委託している会社)に依頼するのが得策です。
優秀な管理会社であれば、どのエリアの仲介業者にどのような方法で訴求するのが最も効果的かを知っている可能性が高いため、積極的に管理会社に動いてもらいましょう。
仲介業者への訴求活動においては、広告料(「AD」と呼ばれることもある)を繁忙期よりも割り増すことで仲介業者の直接的なメリットを提示することも効果的な手段の一つです。
広告料とは、物件に入居者を付けた仲介業者に対して貸主側が支払う成果報酬のことで、仲介業者の主たる収入源の一つです。
仲介業者は広告料の高い物件に入居者を付けた方が金銭的なメリットがあるため、大きなインセンティブとして機能します。
入居希望者からの要望に柔軟に対応する
借り手市場の閑散期においては、入居希望者から「家賃や礼金を下げてほしい」「契約開始日を先に延ばしたい」といった条件で交渉することもあります。
繁忙期であればお客様が多いため、交渉に応じずに他のお客様を探す余裕がある場合もありますが、閑散期はその契約が破談になった場合に次の入居希望者を探すのが難航する可能性もあるでしょう。
閑散期の入居者募集では、賃貸経営上の収支とのバランスを考えたうえで、応じられる範囲内で入居希望者からの交渉に柔軟に応じるのも選択肢の一つです。
具体的には、家賃5,000円の減額交渉に対して2,000円の減額で応じる、家賃を下げない代わりにフリーレント(契約開始後に家賃なしで部屋を貸す期間)の付与でオーナー側から再交渉をするといったことです。
閑散期の入居者募集では、毎月のキャッシュフローを圧迫しない程度で繁忙期よりも柔軟に入居希望者からの要望に対応する姿勢が重要といえます。
次の繁忙期まで待つのも一つの選択肢
閑散期は入居者を見つけるために家賃や礼金を減額したり広告料を増額したりする必要に迫られることもあるでしょう。
貸主が不利になりやすい閑散期の入居者募集にはあえて注力せず、次の繁忙期まで待って貸主に有利な条件(家賃および礼金を上げ、広告料を下げる)で入居者募集をするというのも選択肢の一つです。
繁忙期は年に2回ある
一般的に賃貸市場の繁忙期は1〜3月(進学、就職、転勤等が最も多い時期)と9〜10月(法人の人事異動による転勤がある時期)の年2回です。
実際にお客様が部屋探しを始める時期は繁忙期より前(12月または8月頃)であることもあるため、繁忙期に近い時期に発生した空室については次の繁忙期まで待つのが合理的な場合もあります。
閑散期から入居者募集を行いながら、入居希望者が見つからなくても焦って条件緩和(家賃および礼金を下げ、広告料を上げる)をせず、繁忙期になってお客様の動きが活発化する時期を待つことも視野に入れておきましょう。
次の繁忙期まで待てる資金的な余裕を持っておこう
次の繁忙期まで待つという選択をする場合、数ヶ月間に渡って空室が続くということも想定しておく必要があります。
特にローンを組んでいる場合は家賃収入がない中でもローン返済をしなければならないため、綿密な資金計画を立てておきましょう。
不動産投資の主たる収入源は家賃収入であるため、家賃収入が大きく減少する可能性を見越して手元資金を確保し、資金的な余裕を持ったうえで次の繁忙期を待つことが必要不可欠といえます。
閑散期でも計画的な作戦で入居者募集を有利に行うことができる
一般的に入居希望者を見つけにくい閑散期ですが、賃貸経営をするうえでは不利な状況下においても入居者募集を成功させるための作戦を考えておく必要があります。
そのエリアの賃貸需要を把握し仲介業者に対して積極的に働きかけることで、チャンスが少ない中でも入居者募集を有利に行える可能性を高めることができるでしょう。
閑散期ゆえに空室期間が長期化して家賃収入が減少することも想定して、ローン返済をはじめとする固定費を支払える資金的な余裕を持っておくことも忘れてはいけません。
(提供:Incomepress )
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