『図解即戦力 債券のしくみがこれ1冊でしっかりわかる教科書』より一部抜粋

(本記事は、土屋 剛俊氏監修の書籍『図解即戦力 債券のしくみがこれ1冊でしっかりわかる教科書』=技術評論社、2021年8月26日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)

外国債券は利回り10%以上にも!? 買う前に知っておきたいリスク
(画像=christianchan/stock.adobe.com)

海外の債券を買うこともできるの?

外国債券は利回り10%以上にも!? 買う前に知っておきたいリスク
(画像=『図解即戦力 債券のしくみがこれ1冊でしっかりわかる教科書』より)

外国債券にもさまざまな種類がある

海外で発行される債券は外国債券(外債)と呼ばれています。外債も、外国政府、政府機関、民間企業など発行体で種類が分かれることは同じで、国債や社債などさまざまな債券があります。

国内債券との最も大きな違いは、購入・利払い・償還が円とは異なる通貨になる場合があることです。それに加えて、外債には発行体が属する国、発行される地域により、おもに図のような種類があります。

外国債券は利回り10%以上にも!? 買う前に知っておきたいリスク
(画像=『図解即戦力 債券のしくみがこれ1冊でしっかりわかる教科書』より)

外国債券は高金利が魅力だが国内債券にないリスクが加わる

日本ではマイナス金利政策の影響もあり、社債でも1%前後の低金利が続いています。しかし外債には、5%以上の利回りの政府国債が存在します。なかには、利回り10%を超える国もあります。低金利の日本国内から見ると、非常に魅力的に見えますが、金融の原則どおり、そういった国はインフレ率やリスクが高いため金利も高いのです。

外国債券は利回り10%以上にも!? 買う前に知っておきたいリスク
(画像=『図解即戦力 債券のしくみがこれ1冊でしっかりわかる教科書』より)

信用リスク、流動性リスク、価格変動リスクは、外債にも当然あります。さらに、円ではなく海外通貨(米ドル、ユーロ、英ポンド、独マルク、豪ドル、南アフリカランド、トルコリラなど)で発行される外債は、円とその通貨を交換する際に為替の影響を受けます。

円と海外通貨の交換比率(為替レート)は常に変動するため、外債には国内債券にはない為替リスクが加わります。

為替リスクとカントリーリスクに注意

円建てのユーロ円債やサムライ債を除き、海外通貨建てで発行される外債を購入する場合、お金のやり取りが発生するタイミングで為替レートの影響を受けます。具体的には外債の購入・利払い・償還のときです。

外国債券は利回り10%以上にも!? 買う前に知っておきたいリスク
(画像=『図解即戦力 債券のしくみがこれ1冊でしっかりわかる教科書』より)

たとえば、南アフリカの通貨ランド建ての外債を買うとします。購入時には円をランドに両替して、ランドでの利払いや償還金は円に両替する必要があります。

購入後にランドが円に対して高く(円安に)なると利払いや償還では為替差益を得られます。逆に、円に対して安く(円高に)なると為替差損が発生します。

米ドルやユーロのような先進国の通貨に比べ、新興国の通貨の為替レートは、流通量が少ない分、変動幅が大きくなる傾向があります。つまり為替リスクも高いのです。

なかには隣国との紛争や巨額の財政赤字を抱える国もあります。これをカントリーリスクといいます。その影響で通貨安が進むと、債券の償還時には円にすると元本を割り込む場合もあります。

信用力の低い自国通貨ではなく、米ドルで発行される外債もあります。その場合、為替リスクは米ドルと円の変動幅に収まりますが、もし途中で売りたいときは、カントリーリスクが上昇すると売却価格が下落する可能性があります。

外債はいくら利回りがよくても、これらのリスクを頭に入れて購入する必要があります。

外国債券は利回り10%以上にも!? 買う前に知っておきたいリスク
(画像=『図解即戦力 債券のしくみがこれ1冊でしっかりわかる教科書』より)

*利子は両替時の為替レートが適用されますが、ここでは償還時と同じレートで計算しています。

<監修者プロフィール>

図解即戦力 債券のしくみがこれ1冊でしっかりわかる教科書
土屋 剛俊(つちや たけとし)
土屋アセットマネジメント社長
1985年一橋大学経済学部卒。野村ロンドン、野村香港、JPモルガンチェース銀行、野村証券チーフクレジットアナリスト、野村キャピタルインベストメント審査部長、バークレイズ・キャピタル証券ディレクター、みずほ証券シニアエグゼクティブなどを歴任。2021年より現職。CFA協会認定アナリスト。著書に『入門 社債のすべて』(ダイヤモンド社)などがある。

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(提供:Wealth Road